なぜなに?中古ソフト。その2.前編。



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投稿者: きゆき @ ww-pa02.proxy.aol.com on 98/4/25 16:11:51

..
こんばんは、きゆきです。

今回はその2、「頒布権はどこまでおよぶのか」と、
その1のまとめとフォローとおわび、
将来のスナイパーカスタムの展望・・・じゃなくて、
将来のゲームソフトウェアコピーライトの展望のさわりを
行いたいと思います。
(Gスナイパーカスタム:ある意味私が連邦の中で
一番好きなMS・・・って、おい。全然ギレンが進んでいません。
ギレン総帥、申し訳ありません。ちなみにジオンでは、
玄人風?に言えば赤ザク・赤ズゴが好き)
(コピーライト:本当ならばインテレクチュアル・プロパティという
べきなのですが、あんまり長くてなじみのない言葉を用いると
アレなんでやめました。たぶん将来はコピーライトなんて言葉では
なくなると思うのですが)

さて、その1でも触れたように、パックマン訴訟以来、
ゲームソフトウェアは映画に準ずる著作物とされています。
(映画に準ずる著作物:パックマン訴訟を今から考えると
映画としての認定の仕方には力押し気味だったと考えるむきもあり、
今後ソフトウェアの頒布権について実際に法廷で問われることに
なったときには、ゲームの実態を見て判断するケース・バイ・ケース
になるという考え方もあります)

「頒布権」とは、ゲームソフトの場合、ゲームメーカーが「どこか」に
売るか、決定し、実行できる権利と前回説明しました。
ある意味、知的所有権先進国のアメリカの例を見てみましょう。

アメリカにおいては、「頒布権」は全ての著作物に認められています。
(アメリカにおける著作権法:原則、著作物に対し、「複製権」、
「翻案権」、「頒布権」、「実演権」、「展示権」の5権を与えています。
また、日本の著作権法における著作人格権は法文上には
ありません。人格権はドイツの著作権法を取り入れたものです)

アメリカでの「頒布権」は「ファースト・セールス・ドクトリン」の
原則が貫かれています。この「ファースト・セールス・ドクトリン」とは、
ゲームメーカーから最初に売り渡した相手までに「頒布権」の効力が
およぶという原則です。これは、俳優さんたちが撮影時にのみ
ギャランティをもらう、「ファーストショット」原則に多少似ています。
(ファーストショット:主に撮影時でのギャランティの支払いで、
女優・俳優への以後の著作権料を考えない原則をいう。後のビデオ化
などについては代価を受けようとするなら個別の契約書が必要に
なってくる。実演家(俳優)の団体等が長年に渡ってビデオ化等の
著作権料等について運動しているがこの原則の打破には至って
いない)(追記:著作隣接権にそれなりの規定はあるものの死文化
しています)

さて、中古ソフト問題に「ファースト・セールス・ドクトリン」を
あてはめてみるとどうなるでしょう。はい、純粋に中古売買をするに
限っていえば、「頒布権」を侵害しないことになります。すなわち、
日本においても「ファースト・セールス・ドクトリン」が原則とされれば、
中古ソフト問題は、ユーザーのモラルの問題ないしはゲーム業界
独特の構造としがらみの問題であるということに帰結してしまいます。
(多少、強引な論理展開かなという気もしなくはありませんが、
CESAがいきなり違法中古ソフト撲滅キャンペーンを展開するのに
対応するには、こういう考えがあることは知っておくべきでしょう)
(追記:なぜなら、「ファースト・セールス・ドクトリン」の原則が
日本でも貫かれるならば、CESAは法的根拠が無い<失った>
のにもかかわらず、中古ゲームソフトユーザーに対し・・・なことを
したともいえなくないのですから)
(純粋に:なぜ純粋かというと、買戻し特約付売買などがからんで
くると状況はまた別のものになってくるからです)
(買戻し特約付売買:買戻すから買ってよ、という一見理解不能に
なるような売買約束。実際の商行為では行なわれることも多い。
その為の条文も法律にあったりします。説明するとすれば、
「この土地買ってよ、5年後に買戻すからさあ」ってな感じで、
当面のお金を確保したり、債権債務関係の調整にも使われる。
但し、ここでは悪名高きPCコピーソフト問題で問題とされた行為。
レンタルソフトがACCS等の動きで軒並み無くなっていくに従い、
地下にもぐる?ような形で行なわれていたという。
「はい、まいど。8800円です」
「じゃ、10000円から」
「では、1200円のおつり。そういえば、うちは早く売りにくると
いいことがあるよ」
「え、そうなの」
「ま、お友達に聞いてみてね」
3日後
「おじさん、買取りしてくれるの?」
「ああ、これだね。3日だから3割引で買い取るよ」
なあんだ、普通の中古ショップじゃないかと思うかもしれませんが、
3日後の部分に謎はあります。よほどのタイトルでなければ、3日では
ゲーム終わりませんよね。<いや、終わるというのはこの際おいとく>
その間に今では生産自体が著作権法で禁止されてしまった、コピー
ツールでコピーしてしまってから売るという落ち。すなわち疑似レンタル
として使われた。こういう事になると状況は全く変わってくる。
ACCSは加盟会員の意向も手伝ってか、この件については相当活動
したことが、ACCS発行の文書を見る限りではわかる)
(債権債務関係:簡単にいえば、貸したり借りたり。借金のしあいでも
いいです。むずかしくいうと大学生が単位落したりします)
(ACCS:社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会。ソフトウェア
法的保護監視機構ともいう。お姉さんは美人だったり、事務局の方は
話がうまかったりしていいのだが、やはり多少メーカーよりでユーザー
との間に距離があるのはいなめない)
(コピーツール:正確?にはバックアッププログラムないしはバックアップ
ユーティリティー。必ずしもソフトのプロテクト外しだけに使われていた
だけではないので、法での規制はちょっと残念。ま、ほとんどだろけどね。
別に私はバックアップ権などは認めていないので念の為。
<でも、WIPO条約を受けて可能性もでてきたらしいですね>
リバースエンジニアリングの問題を未解決のままいったのはなあ。
あ、あとツールなど使うのは邪道っす、とかいうマスターな方も
いらっしゃるとは思いますが、ごめんして。男はガリガリ、ハンド解析、
ハンドアッセンブルという方もいたのを記憶にとどめています)
(CRIC:社団法人著作権情報センター。クリックが略称でもある。
基本的に著作権に関することはココか、文化庁著作権課に
問い合わせるのがベターだと思う。日本にはユーザーなりの
使用者機関は悲しいながらないので・・・)

で、実際のところどうなんだ?という向きもあるでしょうが、前回でも
触れたように解釈はいろいろに分かれています。
こればかりは実際に裁判してみないとわからないでしょう。

但し、日本は「ファースト・セールス・ドクトリン」を含んだ、WIPO
著作権条約に昨年末に調印しているので、「頒布権」での対価追求
及び中古ソフト市場の廃絶は、相当に難しいといえるでしょう。
(WIPO:世界知的所有権機構。GATT関税貿易一般協定が
ウルグアイラウンドを経て、WTO世界貿易機構に変わり、どちらかと
いえば知的所有権保護については代表的国際機関といえる機構)
(WIPO条約:主に欧州ディレクティブと米国グリーンペーパーから
生まれた世界的知的所有権保護条約。当初はベルヌ条約改定作業から
発展した。日本も先進国のひとつとして会議に参加し、討議し、調印した。
行政からは文化庁と通産省が参加した模様)
(欧州ディレクティブ:端的に訳すと理事会指令となる。ECヨーロッパ
共同体がEUヨーロッパ連合になる為に、各国の制度的なものを統一
する為に出した指令。指令とはいっても強制力は高い。なぜなら
ディレクティブはそれを達成できないとEUのメンバーとは認めて
もらえないからである。この場合のディレクティブは知的所有権に
関わる理事会指令のことを指す)
(米国グリーンペーパー:主に判例法の積み重ねである米国では
あっても、日本より頻繁に法律は改正されている。グリーンペーパー
とは日本でいう行政白書や外交青書などのように現状の分析と
今後の展開・展望を記したもの。グリーンペーパー自体には今後
改正を予定している著作権法の草案も記載されていた模様)

別の考え方も述べておきます。ACCS社団法人コンピュータ
ソフトウェア著作権協会(ソフトウェア法的保護監視機構)では、
頒布権は一回では消尽しないという説を取っていました。
(現在でもとっているかはちょっとわかりません。すいません)
そうなると、ゲームソフトウェアが映画の著作物である限り、
ゲームソフトウェアの行き先のコントロールや対価追求が
可能になってきます。突き詰めていけば、これは永久に可能に
なります。たぶんこの見解をCESAは採用したのではない
でしょうか。これならば、中古在庫をコントロールできて、
かつ、対価のコントロールも「頒布権」を根拠に行えますので
メーカー(特に大手)にとっては相当にメリットが大きい、
すなわち増収になることでしょう。(机上の計算に過ぎないけど)
(対価のコントロール:現実的ではないけれども、「頒布権」を
根拠に中古価格を新品と全く同じ値段にすることも可能です。
そうなるとソニーさんの方向性と結合すると、全てが定価でしか
なくなってしまう可能性も・・・)
(机上の計算:ゲームソフトウェアを新品で購入しプレイ後、仮に
半額で中古ショップに売却する。2本分で新たな1本が購入できる
ことになる。もうひとつは新品で購入しプレイ後0円で中古ショップ
に売却する。前者が「頒布権」追求をしてないとき(現状)、後者が
「頒布権」追求をはじめた以後(CESAが望む今後)、
としたときにどうなるか?(ソフトは1本10000円で試算)
前者は20000円で3本ユーザーはプレイできます。
後者は20000円で2本しかユーザーはプレイできません。
前者は現在の中古売買を考えると、売り払った2本分については
ゲームメーカーの収入には今後ならないので、20000円プラス
それ以降市場で循環した回数分の金額をメーカーは逸失利益と
主張することになると思います。
後者は今後CESAとソニーが希望の新売買を考えると、
売り払った(いわばただの回収)2本分は、ゲームメーカーの
損失は全く発生しないことと思います。
(アバウトでごめんなさい。複雑にしてもなんなので)
問題はユーザーにとってはゲームにかけられるお金はそんな流通上の
施策をとっても全く増えないということです。となると、値崩れや
中古も含めて多くのタイトルをやっていたユーザーは相当数タイトル
を減らすことになり、結果的には時間的なものをはじめ、ゲーム離れ
を引き起こす可能性があることでしょう。但し、メーカーにとっては
中古ショップが握っていた収益を「追求権」を根拠に根こそぎ頂いて
いくことができます。(まあ、ここらへんが協議においても強気の
理由なんでしょう)更にいうなれば、そこから先に、何かビジョンが
あるのか?ということになるのでしょうが・・・。(たぶんソニーに
は明確なビジョンがあることと思います。ま、それの私の予想めいた
ものは別の日にということで))

ということで、ゲームソフトウェアの「頒布権」については多少は
説明できたかと思いますが、長くなってしまいましたので、
その1のまとめとフォローとおわび、
将来のゲームソフトウェアコピーライトの展望のさわりについては
次の書き込みで行いたいと思います。

では、皆様失礼致します。

by きゆき