なんか変なお話(笑)その3



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投稿者: 神崎 操 @ pppc822.pppp.ap.so-net.or.jp on 98/1/08 10:02:59

In Reply to: なんか変なお話(笑)その2

posted by 神崎 操 @ pppc822.pppp.ap.so-net.or.jp on 98/1/08 10:01:50



―1948年・冬―――――


原子力併用霊子対消滅機関18基により空中に浮かぶ、神崎財閥の本拠地を中心
に地上には大小750を越える研究施設・化学工場が立ち並ぶ都市があった。

人はこの都市をこう呼ぶ………人類の英知の故郷………

新世代科学技術都市『神崎市』と―――

神崎市の第7ブロック第27区画にその施設は有った。

霊子力総合統一理論研究所2号館―――

研究所の4階にある一室で一人の青年科学者が熱心に作業をしていた。

「良し…今度こそ………」

青年科学者が何かの装置の電源を入れた。

………………………

………………………

「………ダメか……」

青年科学者はそう言ってため息を一つ付いた。
その時、部屋に誰か入って来た。

「おい!大神!一緒に昼飯食いに行こうぜ!」

突然後ろから声を掛けられた先程の青年科学者―大神公司は別段驚いた様子でも
なく振り返らずに声を掛けてきた者に返事をした。

「お!さわだか?俺は、後で行くから先に食堂に行っててくれ」

「分かった!早く来ないと大神の好きなぶっかけうどん定食がなくなるぞ」

「ああ、わかってる」

先程部屋に入って来た公司の同僚―さわだは、先に食堂に行く事にした。



「くっそ〜!失敗だ〜!!」

公司はいつもと同く向かいの席で焼き肉定食をつついているさわだに愚痴を
こぼしていた。

「失敗ってぶっかけうどん定食が食えなかった事がか?」

さわだは、焼き肉をほおばりながら公司にそう聞いた。

「そうそう、よりにもよってピラフしか残ってないなんて………って違うわ!」

公司はそう言いながらも内心、さわだのおかげで気が少し楽になった事に感謝
した。

「やはり、対消滅機関ではダメか?」

さわだは、相変わらず焼き肉をほおばりながらも少し真顔になって公司に
そう聞いた。

「ああ、いくら頑張っても無駄みたいだ………やはり対消滅機関程度では……
起動はおろか反応すらしない………出力が足り無さすぎる」

公司はほとんど味のしないピラフにソースを大量にかけながら、さわだの問いに
そう答えた。

「出力不足………か」

さわだは、そう言ってから箸を置いて腕を組んでしばらく考えてから公司に
こう切り出した。

「なあ、大神…今、俺のチームで凄い機関を計画しているんだ。是非大神にも
ウチのチームに入って俺達の手伝いをして欲しいんだ」

公司はさわだの思わぬ申し出に一瞬困惑したが、凄い機関と言う所に
興味を持った。

「なんと言ってもこの次世代の機関は理論的には出力無限大だ!これが完成さえ
すればお前の『フラクタルコントローラー』も出力不足で動かないと言う心配が
無くなるぞ!!」

さわだのその言葉を聞き、公司は思わず席を立って叫んでいた。

「出力無限大だって!?」

その瞬間食堂で食事を取っていた者全ての視線が公司一人に注がれた。
それに気付いた公司は、ばつが悪そうにすごすごと席に付いて咳きをした。
みんなの注目の視線から解放された事を確認した公司はさわだに向き直って
から聞いた。

「……まさか………さわだ、お前の言っている計画されている次世代機関という
奴は、『霊子相転移シンクロナスインフレーション機関』の事か?」

さわだは、公司の口から次世代機関の名前が出てきた事に驚いた。

「大神!お前知っているのか?!まだ学会には発表されてないはずだぞ!」

公司は何故自分が、次世代機関の名前を知っていたかをさわだに話した。

「なんと!じゃあ、『霊子相転移シンクロナスインフレーション機関』の理論を
うち立てたのはお前の友人だったのか!!」

さわだは、驚いた様子で公司にそう聞き返した。

「ああ…そうだ、なんでもこの間に俺の研究室に来た時に俺の作ってる例の
『フラクタルコントローラー』を見ていて思いついたらしい………」

公司は、さわだに対して友人に聞いた事を思い出しながらそう言った。
そして、驚いた表情のまま固まってしまっているさわだに、少し難しい顔をして
公司は言った。

「あの理論は到底無理だ…諦めろ、霊子相転移機関も存在しないのにそれを
遙かに凌ぐ技術力が必要な機関なんて出来るわけが無い…」

公司のその言葉を聞いたさわだは、こう切り返した。

「出来るか出来ないかは、やってみなければ分からない事だ!大神!」

「しかし、さわだ…この場合はやる前に結果が見えている…時間の無駄だ…」

さわだは公司の返答が気に入らないものと知るや否や即座にこう言い放った。

「大神!お前は最初みんなが無理だと鼻で笑った『フラクタルコントローラー』
をあそこまで作り上げたじゃないか!未だにお前が何故作るのか何に利用したい
のかを俺は知らないが、お前は『フラクタルコントローラー』を命に代えても
完成させると言ったはずだ!!!そして、『霊子相転移シンクロナスインフレー
ション機関』が無ければ『フラクタルコントローラー』は絶対に完成しない!」

さわだのその言葉を聞いた公司は一瞬固まってしまったがすぐに気を取り直して
からしばらく考え込んで答えた。

「わかった!俺もやって見よう……確かにお前の言う通りかもしれん…それに
『フラクタルコントローラー』は絶対に完成させる!」

さわだは、公司のその言葉を聞いて嬉しそうにこう言った。

「よし!じゃあ!これで話はまとまった!明日から宜しく頼む!大神!」

「ああ、やるからには絶対完成させようぜ!さわだ!」

「当然だ!大神!!よ〜し文句なしのバッチリOKだな!」

「あ!ちょっと待てっ!さわだ!」

「なんだ!大神!やっぱり止めるとか言うなよ!」

「いや、お前達の手伝いと言うのは納得いかんぞ!」

「なんだそんな事か!心配するなって、どうせお前がチームリーダーになるに
決まってる!」

さわだは、そう言って笑って答えた。