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投稿者:
神崎 操 @ pppc822.pppp.ap.so-net.or.jp on 98/1/08 10:11:20
In Reply to: なんか変なお話(笑)その9
posted by 神崎 操 @ pppc822.pppp.ap.so-net.or.jp on 98/1/08 10:09:59
―1932年・春―――――
神崎家邸宅・応接室―
「お願いします!重樹社長!もう少しだけ待って下さい!」
HRKにはもう後がなかった。神崎銀行への借金返済を待ってもらわないと
自分の経営する貿易会社が倒産してしまうからだった。
「だめだ…これ以上は待てないと会長も言っている」
重樹の言葉はHRKに取って余りにも残酷なものだった。
「そこをなんとか!あと2週間だけ!待って下さい!!そうすれば嵐で遅れて
いる貨物船が商品を運んで来るんです!それさえ届けば借金はすぐにお返し
しますので!!どうかお願いします!重樹社長!!」
HRKは土下座して重樹に頼み込んだ。
しかし、重樹の返事は同じだった。
その時、応接室に一人の女性が入って来た。
「どうした、すみれ?」
「どうしたもこうしたもありませんわ!!!お父様!!!!!」
「な、なにを怒っているんだ?すみれ?」
「この人の借金返済を少し位お待ちになっても宜しいんじゃ、ありませんこと」
「なにを言うかこれはビジネスだぞ!すみれ!」
「何を言うんですか!お父様!!このお方は困ってらっしゃるのにお父様は
見捨てるんですか!」
「困ってる人を見捨てる様な人はわたくしの親なんかではありませんわ!
もし、この人の借金返済をお待ちにならないって言うならわたくしこの家を
出ていきます!!!」
このすみれの言葉にさすがの重樹もせっかく帰って来たすみれにかわいい孫
まで連れて出て行かれてかなわないと思い、しぶしぶながらすみれの要求を
飲んだ。
すみれにして見れば、綾乃麿家の一件以来、こういうやり方は断固として
認めないつもりだった――
後日、HRKからすみれ宛にお礼の手紙が届けられた。
どうやら、商品も無事届き予想以上の高値で取引できた為、経営危機を脱した
との事だった。
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帝國華撃団が活躍した時代から10年近い歳月が流れていた。
時は、1935年―――――
辺りはすっかり闇夜に包まれていた………
大通りを通う人影はもう無かった。
町の一角に一軒の屋敷が有った。
家の中では、一組の親子が寝室でベッドに腰掛けてアルバムを見ていた。
「うわ!パパの軍服姿だ!しかも戦艦に乗ってる!かっこいい!」
子供が写真を見てはしゃいでいる。
「お父さん、昔は海軍将校だったんですわよ」
母親は、写真に写る夫の姿を見ながら我が子に説明した。
「さっ…もういい子は寝るお時間ですわよ……」
母親は我が子にもう寝る様に促した。
「ねぇ………ママ…お願いが有るの………」
「何ですの?お願いって?」
子供は少し照れくさそうに言った。
「今日は、ママと一緒に寝たい………」
「ま!甘えん坊さんね………いいですわ……じゃあ、こっちにおいで………」
母親の許しが降りたので、子供は喜んで母親のベッドの方に潜り込んだ。
「わぁ…ママの髪の毛……いい匂い……」
子供は母親の髪の香りを嗅いで言った。
「………ママ…………………とっても………………あったかい………………」
しばらくすると子供は母親の腕の中で気持ちよさそうに眠っていた。
母親は眠る我が子の顔を見ながら優しく呟いた。
「おやすみなさい………わたくしの可愛い………公司……」
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