なんか変なお話(笑)その4



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投稿者: 神崎 操 @ pppc822.pppp.ap.so-net.or.jp on 98/1/08 10:04:20

In Reply to: なんか変なお話(笑)その3

posted by 神崎 操 @ pppc822.pppp.ap.so-net.or.jp on 98/1/08 10:02:59



―1953年・春―――――

HRK会本部―――

そこには、200名程の人間が集まっていた。

「HRK様!全員揃いました」

HRKの前に並ぶ部下のうちの一人がそう言った。

部下が揃ったのを確認するとHRKは演説を始めた。

「20年もの長きに渡り我々はあの傲慢で忌々しい神崎財閥に対して正義の闘い
を挑んできた!………がしかし、善戦してはいるものの徐々に追いつめられてる
のが悲しいことに現状である…よって、状況を打破するために我々は、これより
目標を絞り込んで確実に攻略する事にする!」

演説を終えたHRKは部下に号令を掛けた。

「狙うは、神崎市各地の研究施設群ぞ!!」

「お〜!!」

部下達は一斉に鬨の声をあげた。


(………早い物だな…もう20年もたったのか………)

HRKは昔の事を思い出していた。

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―1932年・春―――――

神崎家邸宅・応接室―

「お願いします!重樹社長!もう少しだけ待って下さい!」

HRKにはもう後がなかった。神崎銀行への借金返済を待ってもらわないと
自分の経営する貿易会社が倒産してしまうからだった。

「だめだ…これ以上は待てないと会長も言っている」

重樹の言葉はHRKに取って余りにも残酷なものだった。

「そこをなんとか!あと2週間だけ!待って下さい!!そうすれば嵐で遅れて
いる貨物船が商品を運んで来るんです!それさえ届けば借金はすぐにお返し
しますので!!どうかお願いします!重樹社長!!」

HRKは土下座して重樹に頼み込んだ。
しかし、重樹の返事は同じだった。

そして、HRKの経営する会社は倒産した。


半年後―
ある病院の病室にて―

「しっかりしろ!お前がそんなに弱きでどうする!」

HRKは今まさに死にゆこうとしている我が妻に必死に呼びかけていた。

「………ご…めんな…さい…ね………あ………な………………………た………」

その瞬間、妻のHRKの手を握る力は無くなっていた。

会社が倒産してからと言うものHRKの妻は昼も夜も働きづめだった。
もともと身体の丈夫な方ではなかったHRKの妻は遂に過労により
亡くなったのであった。

そしてさらに半年後―

人知れずHRK会は発足された。

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―1953年秋―――――

「神崎市」第7ブロック第27区画―――

霊子力総合統一理論研究所2号館―――

「ついにやったぞ!さわだ!!」

公司は完成したばかりの、「霊子相転移シンクロナスインフレーション機関」を
前に満面の笑みを浮かべて言った。

「やったな!大神!」

公司の同僚であり親友でもあるさわだもやり遂げた偉業に誇らしげな笑みを
浮かべていた。

「長かったな………大神…もう5年近くなるのか………」

さわだは、五年近い歳月の苦労を思い出していた。

「公司、今だから言うけど俺は本当に出来るかどうか正直な話、自身が
なかったんだ…なんせ霊子力を相転移させるだけの霊子相転移機関とは訳が
違うからな。霊子力を相転移し発生したエネルギーで限定空間に高密度真空
エネルギーを集中しインフレーションを人工発生させ宇宙そのものを相転移
させてエネルギーを引き出すなんて夢物語だと思ったよ本当に………」

「思い出に浸ってるところで悪いが…さわだ、俺は早速この新型機関を早く
フラクタルコントローラーに試したい」

公司は、真剣な面もちでさわだにそう言った。

「あ!………そうだったな!完成したらフラクタルコントローラーに試すのが
お前との約束だったな…よし善は急げだ!早速やろうぜ!大神!」

さわだは、そこまで言ってから何かを思い出してさらに公司に聞いた。

「そういや、お前フラクタルコントローラーで何をするつもりなんだ?」

公司は、少し間を空けてからゆっくりと答えた。

「フラクタル結晶に特定のエネルギーをあてると様々な反応を起こしさらに
外部の空間にも影響を与えるのはもちろん知っているな?」

公司にそう言われた…さわだは、馬鹿にするなと言う様な顔をして知っている
と頷いた。

「それでだ、そのフラクタルの反応を操作すればそれに伴う外部空間をも間接
的に操作できる。即ち、フラクタルコントローラーで完璧に自由自在にフラク
タルの反応を制御すれば、影響下に有る空間はなんでも自由に出来ると言う事
だ………」

その説明を聞いたさわだは、成る程と手を打って公司に言った。

「それなら、その空間内でグルーオンやウィークボゾンや光子や重力子などの
ゲージ粒子を手軽に操作したり、クォークやレプトンなんかも自在に操作できて
分子の組み替えや原子分解なんかもすぐ出来るわけだ!」

さわだは、興奮気味に公司にそう言いさらに言葉を続けた。

「それだけじゃない………空間に金塊や札束の山を作ったりできるな!」

そう言ってから、さわだは有る事に気付き…一瞬愕然としてから、恐る恐る公司
に聞いた。

「大神…それってもしかして、生命体も生み出せると言う事か?」

さわだのその質問に、公司はさわだには分からない程度のわずかな笑みを
顔に浮かべ、ハッキリと答えた。

「さすがに生命体となればデータの演算に莫大な時間と労力が掛かるかも
知れないが………………当然…生み出せる……」

公司のその言葉にさわだは、鳥肌が立つ思いだった。

「凄いじゃないか!もしフラクタルコントローラーが完成したらノーベル賞の
1つや2つじゃ足りない位の大功績じゃないか!大神!!」

さわだは、興奮のあまり今にも気を失いそうだった。
一方、公司は冷静な目で興奮するさわだの姿を見ていた。

(……俺は、ノーベル賞なんかに興味は無い……………)




















(………もうすぐ………だよ…………母さん…………………………)