ハロウィン気味?大戦_神崎すみれ編 其の2(長文)



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投稿者: 神崎 操 @ pppa818.pppp.ap.so-net.or.jp on 97/11/30 02:36:11

In Reply to: ハロウィン気味?大戦_神崎すみれ編 其の1(長文)

posted by 神崎 操 @ pppa818.pppp.ap.so-net.or.jp on 97/11/30 02:34:32


 部屋に戻ったすみれは、身体をくの字にしてベッドに身を預け、水平に
差し込んで来る夕日の温もりを感じていた。

「………もっと…温かかった…」

 すみれは、焦点の定まらない瞳で夕日を見つめながら、かすかに
そう呟いた。

(ほら、こうすれば寒くないだろ?)
(……うん………温っかい…)

 コンコンッ

 その時、誰かが扉をノックする音が聞こえた。

「ねぇ〜すみれ〜〜居るんでしょ〜〜〜?」

 扉の向こう側から可愛らしい声が、すみれに呼びかけてきた。

 その呼びかけに気付いたすみれは、ベッドから起きあがると
沈んでいた気持ちを追い払うように深呼吸をしてから部屋を出た。

「あら?アイリス、何の用ですの?」

 すみれは、部屋の前に可愛らしくお人形さんの様にちょこんと立っている
アイリスに尋ねた。

「ん〜〜とね!アイリスお部屋の飾り付けする事にしたんだけど〜
すみれにも、手伝って貰おうと思って来たの!」

 屈託のない笑顔でアイリスはそう答えた。

「お部屋の飾り付け?……ああ!そういえば、今日はハロウィンの
パーティーが有りましたわね…」

 すっかり忘れていた、という表情ですみれはそう言った。

 すみれは、一瞬何故自分が手伝わなければならないのか?と、考えたが
先程気持ちが沈んでいたのを思いだし、アイリスの手伝いでもして気を
紛らわせようと思って手伝う事にした。

「よろしいですわよ」

 アイリスは、すみれのその答えに少し驚いたような顔をしている。

「何故、そんなに驚いた様な顔してるんですの?」

「…今日のすみれ、なんか変だよ?」

 アイリスにそう言われ、すみれは一瞬動揺した。

(カンナさんにも言われ、アイリスにまで言われるなんて……)
(やはり…今日のわたくしは、どこかおかしいですわね………)

 すみれ自身何故おかしいかその理由は充分に分かっていた、が深く
考えないように懸命になっていた。

 すみれが、そう考えを巡らせてる間にアイリスは続けて言った。

「絶対に『何故わたくしが手伝わなければならないの?』とか
言って断ると思ったのに……」

「なんですって!…じゃあ手伝うのはやめにしますわ!」

 すみれのその言葉にあわててアイリスがこう言った。

「あ〜ん!すみれ〜冗談だってば〜〜手伝ってよう〜」

「ふふ…わたくしの方こそ冗談ですわ……ちゃんと手伝いますわよ」

 すみれは、精一杯笑顔を取り繕ってアイリスにそう言い返した。


 数十分後………すみれとアイリスの二人はハロウィンパーティーの
会場となる、食堂の飾り付けを行っていた。厨房の方からは、時折
かけ声の様なものや、笑い声、挙げ句の果てには悲鳴の様なものが
聞こえてくる。

「…今日のパーティーのお料理大丈夫ですの?マリアさんや、紅蘭
はともかくあの山猿に料理なんて出来ますかしら?」

「それだったらすみれさんが作ればいいのに…」

 食堂内の掃除を終えて飾り付けを手伝っていた、さくらが小さな声で
そう言った。

「今、何か言いました?さくらさん?」

「い、いや、大神さん帰ってくるの遅いな〜って……」

 さくらは、あわててそう言った。

「……確かに遅いですわね……もう戻ってもいい頃ですのに…」

 すみれは、朝早くに米田と共に軍の会議に出かけて行った
少尉の事を思い出しながらそう言った。

「ねぇ〜すみれ〜ここの飾りが足りないよ〜」

 すみれのすぐ後ろで飾りを付けていたアイリスがそう言った。
どうやら飾りの数が合わなかった様だ。

「確か、その飾りなら道具部屋にまだ有りましたわね……」

「わたくし取って来ますわ」

 そう言うとすみれは道具部屋へ飾りを取りに行った。

 食堂に残ったさくら達は、飾り付けを続けた。

 その時、食堂の方から「スネグーラチカ」のマリアの掛け声と共に
カンナの悲鳴と強烈な冷気が襲って来たが、それでもさくら達は黙々と
飾り付けを続けた……只、さくらの顔は引きつっていたが………

(本当に、大丈夫かしら……今日のお料理……)

 さくらは、小さくため息を付いた。

(はやく、パーティ始まらないかな…)

 アイリスはいたってマイペースだった。



暗く静まり返っていた道具部屋に明かりが灯り人影が入って来た。飾りを
取りに来たすみれだった。

「確か、あの辺に有ったはずですけど……」

 見ると戸棚の上の方に飾りの入った木箱が有った。しかしそのままでは手が
届かない為すみれは、踏み台の代わりに小道具の詰まった箱を2段重ねてその上に
乗った。
 すみれは、木箱に手を掛けて下に降ろそうとした。

 しかし、予想以上に重かった。

「よいしょっと………と?…ととわぁ〜とっ!とっ!とっ!!とっ!!!」

「ひゃあ〜〜〜!!」

ズダーン!!……ゴスッ!!

 音と共にすみれは飾りの入った木箱の下敷きになっていた。

 そして、すみれの意識は深い闇の中へ落ちて行った…………‥