ハロウィン気味?大戦_神崎すみれ編 其の1(長文)



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投稿者: 神崎 操 @ pppa818.pppp.ap.so-net.or.jp on 97/11/30 02:34:32

In Reply to: やっほお〜☆ひさしぶりい〜(^^/

posted by 神崎 操 @ pppa818.pppp.ap.so-net.or.jp on 97/11/30 02:30:11

         〜ハロウィン大戦〜

                 〜神崎すみれ編〜


 木枯らし舞う帝都、その中に有って一際目立つ大帝國劇場...
宙を舞う木の葉の一枚が、まるで風の妖精に導かれるかのように
その大帝國劇場のわずかに開いた窓へと滑り落ちてゆく、そして
サロンの紅い絨毯の上に音もたてずにそっと舞い落ちる...

 劇場内のサロンは、今まさにその姿を大地に重ねてゆこうとし
ている太陽の放つ切ない程の淡い光に包まれていた。

「もう……木の葉が舞う季節になりましたのね…」

 そうつぶやいたすみれは、手に持っていたティーカップをそっと
テーブルの上に置くと、窓の外で舞い踊る木の葉そして沈みゆく
夕日へと視線を移し、ため息をそっともらした。

(そう……あの時と同じ季節に…)

 こみ上げてくる気持ちと共に眼前の夕日が滲んでくるのに気付いた
すみれは、あわててその気持ちを振り払うかの様に視線を劇場内へ
と戻した。

(ふっ……この神崎すみれともあろう者が、少し感傷的になって
しまいましたわ……)

 すみれがそんな事を考えていると、奧の廊下からカンナがやって来た。

「よっ!すみれ!!そこに砂糖有るか〜?」

(…カ、カンナさん!?)

 すみれは、突然カンナに声を掛けられた事に驚き、次の瞬間
自分が感傷的になっていたのを思いだし、その姿をカンナに
見られたかもしれないという気恥ずかしさからか、思わずこう言った。

「砂糖?そんな物ありませんわよ」

 テーブル上のティーセットの砂糖入れを見てカンナが言った。

「すみれ……それじゃあ、そこに有るのは一体何なんだよ?」

「そ、それは…し、塩ですわ!」

「塩〜?おめえ紅茶にそんなもんいれてんのかよ?」

「あら?カンナさんはご存じ無いんですの?今、お紅茶には塩を
入れるのが流行ってるんですのよ」

「流行ってるって..ほんとかよ〜?」

 信じられないと言った顔をしながらカンナは砂糖入れに入っている
すみれの言うところの「塩」を舐めてみた。

「……おい、やっぱりこれ砂糖じゃねえか!!」

「オーホッホッホ!ちょっと、からかってみただけですわ!」

「からかっただと〜!」

 ムッとした表情でカンナがそう言った。

「あら?カンナさんやる気ですの?」

 そう言いながらすみれは席を立ち、カンナの方に向き直って挑戦的な
笑みを浮かべた。

「ちょっと顔がキツネに似てるからってつまんねー事であたいを
からかってんじゃねえ!!」

「なんですって!わたくしの顔がキツネ顔だとでも…………キ…ツネ…」

 すみれは、そう言うと突然うつむいて黙り込んでしまった。

(お前ってさあ…良く見るとキツネ見たいな顔してるよな……)
(見たことないのか?……じゃあ、見せてやるよ!!)

 突然黙り込んでしまったすみれに拍子抜けした様子でカンナが言った。

「おい、突然黙り込んで……今日のおめぇ…なんか変だぞ」

「なんでもありませんわ……」

 カンナにそう答えたすみれは、自室に戻ろうと歩き出した。

「おい!すみれ!この砂糖貰ってくぞ!」

 カンナのその言葉にすみれは答えずに行ってしまった。

 そうしてサロンには、カンナ一人だけが取り残された。

「変な奴………」

「まあいいか…取りあえずこの砂糖を持ってくとするか……」