ハロウィン気味?大戦_神崎すみれ編 其の4(長文)



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投稿者: 神崎 操 @ pppa818.pppp.ap.so-net.or.jp on 97/11/30 02:39:21

In Reply to: ハロウィン気味?大戦_神崎すみれ編 其の3(長文)

posted by 神崎 操 @ pppa818.pppp.ap.so-net.or.jp on 97/11/30 02:37:47


 今日も、少年は少女の住んでいる屋敷に来ていた。

 そして、いつもの様に石を拾って少女の居る2階の部屋の窓に向かって
軽く投げた。

 コツンッ

 石は、窓に当たり小さな音をたてた。

 いつもなら、すぐにその音を聞いた少女が窓から顔を覗かせるはずだった。

 しかし、しばらく待っても窓は開かなかった。

 少年はおかしいなと思ったが、少女が音に気が付かなかったかも知れない
と思い、もう一度石を投げてみる事にした。

 そして、少年が2つ目の石を投げようとしたその時、

「わっ!」

 という少女の声が後ろから聞こえた。

 少年は、突然後ろから声を掛けられ驚いた拍子にあさっての方向に石を
投げてしまった。

 ガシャーン!!

 少年の投げた石は1階にある窓の内の一つを突き破ってけたたましい音を
たてた。

「げっ、やばい!!」

「おい!逃げるぞ!!」

 少年は少女にそう言うと、走りだした。

「え?あ、ちょっと待ってよ!!」

 少女はそう言いながら少年の後を追いかけた。

 二人は、あの見晴らしの良い小高い丘の上で座り込んでいた。
 走ってきたばかりなので、まだ息は荒い。

「ふぅ………いきなりお前が脅かすから、びっくりしたじゃないか」

「それに、なかなか窓が開かないからどうしたのかと思ったよ」

 少年はまだ肩で息をしている少女にそう言った。

「だって……待ちきれなくて外で待ってたのに全然気付いてくれなかった
からですわ!それにあんなに驚くなんて思わなかったんですもの」

 少女は悪びれもせずそう言った。

「ぷっ……あははははっ………」

 突然少女は笑い出した。

「な、何だよ!急に笑いだして」

 少年は、少女に聞いた。

「だって、驚いた時の顔がおかしかったんですもの」

 少女はそう言ってまた笑いだした。

 少年は参ったなという表情をしながら、元々細い目をさらに細めて笑う少女
の姿を見て唐突にこう言った。

「お前ってさあ…良く見るとキツネ見たいな顔してるよな……」

 少女は笑うのを止めると、少年に聞き返した。

「キツネってどんな顔してるんですの?」

 少年は、少女のその問いに少しだけ真顔になってこう答えた。

「見たことないのか?……じゃあ、見せてやるよ!!」

「俺に付いて来い、こっちだ!!」

 少年はそう言うと立ち上がって、山の方へと歩き出した。





 二人は、川の前まで歩いて来た。その川は、幅15m程で普段はそれ程水は
流れていないがひとたび大雨でも降れば山からのものすごい勢いの土石流が
押し寄せて来る為、まともな橋は架けられてなかった。橋を架けてもすぐに
押し流されてしまうからだ。

 少年は、この川の向こうにある山へ行くつもりだった。

「よし、この橋を渡るぞ!」

 少年は、すぐ後ろにいる少女の方へ振り返ってそう言った。

「ちょっと、本気ですの?」

 少女が、少年にそう言ったのも無理はなかった。なぜなら少年が渡ろうと
言ったその橋は、丸太を2本組み合わせてそのまま架けているだけという
お粗末な代物だった。

「怖いのか?」

 少年のその言葉に大抵の女の子なら頷いていたかもしれない。しかし少女の
返事は違った。

「こ、これぐらい平気ですわ!!」

 少女の返事に少年は、ニヤッと笑って言った。

「そう言うと思った」

 先に少年が橋を渡ると振り返って少女に言った。

「早くこっちに来いよ!」

 少女は恐る恐る丸太の橋に足をかけて、ゆっくりと渡りだした。

「お〜い、そんなへっぴり腰じゃ落っこちまうぞ」

 などと、さんざん少年に冷やかされつつも少女はなんとか橋を渡りきった。

「始めて渡ったわりには早かったな」

 少年の言葉に少女は、得意げな顔をして言った。

「ふん、こんな橋を渡る事位……」

「神崎風塵流長刀の稽古に比べれば簡単………だろ?」

 少年に自分の言おうとした事を先に言われてしまった少女は、口をパクパク
させるしかなかった。

「ふん、まぁそういう事ですわ!!」

「あ〜開き直りやがったな!こいつう〜〜!!」

 そう言いながら二人は、山の中に入って行った。