センチみたいな思い出話(ゲームには直接関係ないよ)



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投稿者: Qちゃん @ webgate.yamato.ibm.co.jp on 97/6/06 15:30:09

センチメンタルグラフィティは主人公が小さい頃いろいろ転校して、
友人と別れるという基本ストーリーがありますね。
残念ながら、僕は転校した経験はないのですが、
転校に関する出会いと別れはいくつか体験したことがあります。
その中の一つです・・・。
ストーリーはほぼ実話。登場人物名は変えてあります。
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小学2年の一学期の6月の終わり頃、彼女は転校してきた。
僕にとっては初めての体験でした。転校生が来ることは。
その転校生はショートカットのかわいい女の子だった。
名前は畑野みきって言うそうだ。
1年のときから僕と仲の良かった、市田たかみと親しそうに話ている。
彼女に凄く興味を持った僕は、市田に話し掛けるふりをして、
なんとか彼女に近づこうとした。
「市田、その子と仲がいいの?」
「うん、みきとは同じマンションに住んでるんだ。」
「へぇー市田とおんなじマンションなんだ。」
「みき、平賀くん、あたしのともだち」
「よろしくね。平賀くん」
「よ、よろしく」
僕は知らない女の子と話しただけで、すごく嬉しくなった。
でもそれだけじゃ満足できなかった。彼女が前に住んでたところとか、
僕の知らないことをいっぱい聞いてみたくなった。

そして僕は、なけなしの勇気を使って、彼女に尋ねた。
「ね、今度あそびに行ってもいい?」
「うん、いいよ。今日ね、たかみちゃんがうちに来るから、いっしょに来ない?」
「いいの?行く行く、ぜったい。」

一回家に戻ってから、彼女の家に向かった。
市田のマンションはよく遊びに行ってたので、場所はすぐにわかる。自転車で10分くらいだ。
ちょっと恥ずかしかったので、先に市田のところによっていったら
「ごめん、あたし今日、塾だったのわすれてたんだ。みきには言ってあるから、
今日は一人でいって。下の階の607号室だから。」
どうしよう、まさか一人で彼女のところに行くなんて。なんだか、緊張してる。
でも、どうしても話をしたかったので、思い切ってブザーを押した。
「平賀ですけど・・・」
「はぁい、ちょっとまってね」

彼女の家の中には、僕の見たことの無いものでいっぱいだった。
いろんな外国の写真とか、置物とか、本とか・・・。おもちゃなんか一つも無かった。
でも、そんなことよりもっと驚いたのは、
彼女にはおとうさんもおかあさんもいないということだった。

「わたし、おばあちゃんといっしょに住んでるの。」

僕には親がいないなんて想像できなかった。でも彼女は
「ぜんぜんさみしくないのよ、だっておばあちゃんがいるし、友達もすぐにできるしね」
彼女は僕の顔をみながら、楽しそうに話した。
でも、今考えると、彼女は本当は寂しかったんじゃないだろうかって思う。
その頃の僕にはそんなこと考えられなかったんだけど・・。