【正月大戦】『長雨』長文1



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投稿者: VR @ 202.237.42.70 on 98/1/30 09:50:32

問:「正月大戦」とは?

 サクラ大戦を舞台にした、正月ネタをとりあつかう
創作物の総称です。以下、私の創作した短編となります。

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 事務室の伝票を整理するとなると、
半刻やそこらで終わる仕事ではない。
百も承知とはいえ、片付けの最中には
何度か溜め息が出てしまう。

「……あと……十二箱……か。」

 別にさほど疲れている訳でもなく、
しかしその顔には明らかに不快の感情が
浮かんでいる。
 かすみは、窓の外に目を向けた。

「……もう、これで四日目……。」

 そう、彼女を不快にさせる要因は、
激しい音の今だ止まぬ、雨であった。


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   正月大戦 『長雨』

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「片付け、手伝いましょうか?」

 椿はいつもの笑顔であった。積み重ねた
箱の隙間からひょい、と顔をのぞかせた
彼女に、

「あら、売店の片付けは?」

 断わりもしない、素直に受けもしない、
かすみはいつもの癖で直接の回答を避け、
椿に気を使った。

「もう終わっちゃいました。何せ、この
雨でしょ?買い出しにも行けなくて……。
本当、嫌ですよね。」
「そうね。片付けくらいしかやることないもの。」
「みなさんも、もう外出はあきらめたみたいですよ。
大晦日で大掃除が終わらなかったって、今リターン・
マッチの真っ最中です。」

 なるほど、先刻から聞こえる何かしらの音は、
それだったらしい。もっとも雨音の方が大きく、
かすみの仕事を中断するにいたるほどの
喧騒ではなかったが。