裏方の戦士。(無駄に長文(笑))



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投稿者: うぉーろっ君 @ tkti003.osk.3web.ne.jp on 98/2/04 04:37:53

In Reply to: 【正月大戦】あとがき(長文)

posted by VR @ 202.237.42.70 on 98/1/30 09:59:29

注意!!


★このカキコは、(非道い出来の)小説です。
★この小説は、どフィクションであり、実際の「サクラ大戦」の設定とは
全く異なっている部分があります。前もってご了承下さい(爆)。
★上の二文は、「読みたく無けりゃ読むな」などとゆー、陳腐な言い訳を
するつもりで書いたのではありません。誤解の無き様。




「いらっしゃいませ。ごゆっくりお楽しみ下さい」

 銀座、大帝國劇場。
 今、帝都で大評判の「帝國歌劇團・花組」の公演を見に来た客の中に、
私はいる。
 こんなに簡単に入れるとは思わなかった。あの男も、客の相手をしている
ときは、ただのモギリ、と言うことか。

「まぁ、時間はたっぷりあるんだ。今日のところは、じっくり公演を
楽しむとしようか」

 などと独りごち、客席へ足を向けたとき、何者かの視線を感じた。

「…………!?」

 売店。花組のプロマイドや、公演のパンフレットなどが売られているところ。

「いらっしゃいませ! お土産にひとついかがですか?」

 振り向いた私と視線が合った売り子の少女が、にっこりと営業スマイルで
声を掛けてくる。

「あ、ああ……今は荷物になるから、帰りにでも寄らせてもらうよ」
「そうですか? では、またおこし下さい!」

 確かに、視線はこっちから感じた。この売り子の娘のだろうか。いや、
それにしては刺すような、鋭い視線に感じたのだが……。

「あんな子供がそんな視線を放つわけないしな。……それとも、私に
一目惚れした、熱い視線だったのかな?」

 ……そんなわけ無いか。

「気の張りすぎだな」

 場所が場所だけに、無意識のうちに、どうしても気を引き締めすぎて
しまうようだ。

「……お客様」

 適度に気を緩めようと深呼吸している私に、裾の短い、風変わりな和服を
着た、落ち着いた雰囲気の女性が話しかけてきた。

「……何か?」
「私は、この帝劇で事務を勤めます、藤井かすみと申します」
「その事務の人が、私に何の用です?……ふっ、不法な入場はしてませんよ!」

 私が慌てふためいて大仰に手を振ってみせると、

「いえ、そうではありません。……こちらへどうぞ」

 廊下の先を手で示し、かすみと名乗る女性は歩き始めた。付いてこい、と
言うことだろう。

「ばれた……か」

 心の中で舌打ちする。
 まぁいい。予定が少し早くなっただけだ。行動はサクラの花が咲く頃と
見定めていたのだが、“梅のつぼみが膨らむ頃”でも、別に問題はあるまい。

「どうぞ、中へ」

 「事務局」と書かれた扉を開け、かすみが私に中へ入るよう促す。

「あなたが先にどうぞ」

 そんな彼女に、私は逆に、彼女が先に入るよう勧める。

「レディ・ファーストですよ」

 一応、ご婦人の扱いは心得ているつもりだ。
 当然、本心ではないが。
 に背を向けるほど、私は不用心な奴ではない。

「はぁ……じゃ、そうさせていただきます」

 私の勧めに従い、中に入ったかすみの後に私も続いた。戸は、開け放した
ままにしておく。
 そのつもりだったのだが。

 ばたん。

「…………!!」

 私が部屋に入ったとたん、背後の扉の閉まる音が、

「……動かないで下さい」

 つい先程、ロビーで耳にした、売り子の少女の声と共に、響いた。

「動くと……全身にこれが全部突き刺さります」

 いつの間にか私の周囲には、無数のカード状の刃物が浮いていた。確かに、
こんなものに一斉に襲われたら、痛いじゃ済むまい。

「ご苦労様、椿」
「……いえ」

 私の正面に向き直ったかすみの労いの言葉に、椿と呼ばれた背後の少女は
全く油断の感じられない口調で答える。
 こいつら……ただの小娘じゃない。いざとなれば殺しも厭わない、プロだ。

「まさか、いきなり気付かれるとはな……殺せ」

 「プロ」の罠にまんまとかかってしまったのだ。覚悟するしかあるまい。
あくまで、覚悟する「振り」だが。

「ええ、お望み通り。でも、その前にひとつお訊きしたいことがあるんですよ」
「なんだ!?」

 私の吐き捨てるような言葉にも眉ひとつ動かさず、

「あなた方の今度の親玉は、一体誰なんです?」

 かすみはさっき初めてロビーで会った時と変わらぬ優しげな笑みを浮かべる。
 しばしの沈黙。

「…………答えると思うのか?」

 沈黙を破ったのは、私の声。“返答しない”と言う、返答。

「いえ。どうせダメモトで訊いたことですし」
「そうか。もう用件は済んだな。じゃ、私は帰らせてもらうよ」
「いいえ。お帰しするわけにはいきませんよ」
「“上級”の私を止められるのか!? 霊力の少ない貴様らに!!」

 絶叫と共に、私は本性を現した。今は亡き叉丹様に別命を言い渡されて
いなければ、猪、鹿、蝶ら三騎士と肩を並べて戦っていたはずの、
上級降魔の姿に。

「させません! 『符嵐剣・刺打飲!!』(ふらんけん・しだいん)」

 背後の椿の声に、私の周りを漂っていたカード状の刃物が、まさに私を
飲み込まんばかりに襲いかかってきた。

「うおおおおぉぉぉぉぉ!!!」

 素早く風の結界を作り出し、防御するが、さすがにそれだけの数を
全て防ぎきる事は出来なかった。
 風の結界を破った数枚が、私の身体を切り裂く。

「あぐぁあっ!!」

 本性を現した私の肌は、生半な事では傷付けられないはずだ。おまけに
かすり傷だというのに、この痛さはどうだ。おそらく刃物の一枚一枚に
かなりの霊力を乗せているのだろう。
 しかし、この痛みを与えた代償は高くつくぞ!!

「きゃあああぁぁぁ!!」

 風の結界に吹き飛ばされた椿が壁に激突し、それっきり動かなくなる。
息はしているようなので、気絶しただけのようだが。

「ふぅ……」

 未だ肌に残る痛みに、思わず、ため息が出た。風の結界を解く。椿が
気絶したと同時に、刃物は全て床に落ち、無力化している。

「こ、この小娘……ロビーではそんなに霊力は感じなかったが……
そうか、あいつか!」

 同じロビーでモギリをしていたあの男。奴の霊力があまりに高かったため、
椿の霊力はそれに紛れて感じ取れなかったのだろう。

「よくも椿を……!」

 その声に振り向くと、先程まで浮かべていた笑みを消し、怒りに満ちた顔で
かすみが私を睨み付けているのが見えた。

「だからといって、貴様に何が出来る? 仇を討つとでも言うのか?」

 実際、彼女からはほとんど霊力は感じられない。そんな彼女に、さしたる
脅威は感じない。私になら、赤子の手をひねるが如く、彼女を殺せるだろう。

「霊力の強い者のそばにもう一人、霊力の強い者を紛れ込ませ、油断させて
密室に追い込み、背後から不意打ち……なかなか良い手だったとは思うが、
もはや策は尽きた。観念するんだな」

「あなたが、ね」

 かすみが呟くと同時に、その姿が唐突に消え失せた。刹那、背後に感じる、
強大な霊力。

「な……!?」

 次の瞬間、気付いた。
 その強大な力を薄っぺらな伝票の紙に乗せて、私に振り下ろしている者が、
他ならぬ藤井かすみであると言うことに。

 ……身体を両断される、痛みの中で。


「椿、大丈夫?」
「ええ……まだ、頭はくらくらしますが」
「そう……良かった」
「……結構、手強かったですね。さすがは上級降魔、てところですね」
「油断は禁物よ。こいつは、まだ先兵に過ぎないわ」

「……力を……自由自在に調節……馬鹿な……!」

 最初から、実力を見誤っていたのだ。おそらく椿も、“力を紛れさせていた”
のではなく、“察知されないように、低く抑えていた”のだろう。

「何故だ……? それほどの力を持ちながら、何故、貴様らは前線で
戦わない……?」

 全精神力を絞り出して、ようやくここまで言葉を吐けた。

「風組は……花組や雪組と言った戦闘部隊の残した後始末が仕事です。
後始末というのは、往々にして“表舞台”より激務であることが多いんですよ」

「花組の皆さんには表舞台で声高に“正義”を叫んで“悪”を討ってもらって、
あたしたちは裏方で、取りこぼした“敵”を討つ……それが帝撃の“仕組み”
なんです」

 かすみの言葉に、椿が補足する。

「椿、喋り過ぎよ」
「あ、ご免なさい」

「その事を……花組の連中は知っているのか……?」

「知ってるはず、無いじゃないですか。花組の皆さんには、気持ちよく
“表舞台”で“正義”を“演じて”もらわなくてはいけないのに」

 こいつらは……知っているのだ。我々、降魔が元々、自分たちと同じ“人間”
から生じたモノである、と言うことを。

「人間に仇なすものたる降魔を滅する為に、味方ですら欺く……そして、事情を
知らぬ者には“降魔”を“絶対悪”と認識させることで混乱を防ぐ……か。我々
降魔より、質(たち)が悪いかもな……」

 徐々に意識が遠ざかってゆく今の私に吐ける、精一杯の皮肉にも全く動じた
様子も無い口調で、かすみは言い放った。
 ……表情は、もはや目が霞んで、見ることは出来なかったが。

「自分たちが生き残るために、他を滅ぼすのに、手段は選んでられません。
そして、そのことに対して、言い訳は、しません」

 …………恐るべきは…………人間……………………。



まず最初に謝っときます。ご免なさい。 m(_ _)m
全く、続編になってません。
VRさんの話に出て来た「戦うかすみさん」を拝見し、唐突に浮かんだ話を
プロットも無しにつらつら書いただけのどーしよーも無い文章です。

三人娘がどうして風組の本来の勤務地である「花やしき」ではなく、
最前線とも言うべき銀座本部(魔神器はここの地下倉庫にあるんですから、
最前線と言っても語弊は無いでしょう)で仕事をしているのか……と
考えたときに、
「やはり花組にも負けない、特殊な力があるからじゃないか?」と言う
実に単純な発想が浮かび、その貧相な発想が導くままに書き上げた……てぇ
訳です(笑)。

まぁ、三人娘が銀座本部にいる本当の理由は、ミカサを操る資質に恵まれていた
からなのでしょうけどね。実際のところは。

でわ、最後にいつもの一言をば(笑)。

「苦情はメールでね☆」(爆死)