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編隊飛行 @ 202.221.190.166 on 98/1/08 21:23:06
【正月大戦】〜すみれ
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1月8日。大帝国劇場事務室。
「やれやれ。もぎりの前に伝票整理か。」
「すみません、大神さん。由里が突然休みを取ってしまったものですから。」
「いいんですよ、かすみさんの頼みとあれば断れませんからね。あと少しで終わ
りますから。」
「今、お茶をいれますね。」
バタバタバタ−−−−ガチャ!!
「大神さ〜ん!大変なんです。急いでロビーに来てください!!」
「ど、どうしたんだい?椿ちゃん。」
「いいから、早く来て〜〜!!」
帝劇ロビー。開場前のここはいつもなら静寂に包まれているところだが、今日
は大勢の人の声が聞こえてくる。
『お〜い。こっちに運べよ!』
『バカヤロー!邪魔なんだよ!そんなところに置くな!』
事務室から大神と椿が急ぎ足でやってきた。
「な、なんなんだ?この花の山は?」
数千人を収容する大帝国劇場のロビーである。決して狭い場所ではないそこは、
たくさんの生花で埋もれていた。甘い香りがロビーを満たしている。
「みんなすみれさんの誕生祝いの花なんです。でも、これじゃお客さんが入れな
いから何とかしてください。」
椿が泣きそうな声で大神の問いに答える。すでに売店の入り口まで生花で埋も
れてしまっていた。これでは商売もできないであろう。
「そ、そうだな。とりあえず通路を確保しないと・・・・。」
生花をかき分け、大神は入り口の方へ向かうと搬入作業を続ける男達へ向かっ
て大声を張り上げた。
「お〜い!2階へ運んでくれ!テラス・・・・いや、サロンへ運び込むんだ。そ
れからテラスへ。とりあえず階段までの通路をあけてくれ!!」
大神の指示により、生花は2階へと運ばれていく。サロン、廊下、テラス、そ
して階段へ整然と並べられていく花、また花。
「おい、あとどれくらいあるんだ?」
「まだ蒸気トラックが3台、玄関前にとまってますけど・・・・。」
「玄関ホールにもこれ以上飾れないな。しょうがない、外にも並べよう。」
玄関の階段、歩道まで花は飾られていく。翌日の帝都日報によると、この日、
帝都の花屋の店先から全ての花は消えてしまったということであったが。
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