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HRK @ pppA303.kyoto-inet.or.jp on 97/11/18 00:48:52
我々ここは帝都地下深くにある大鍾乳洞。
いつものように帝都奪回の野望を果たすため、天海率いる黒之巣会の面々が集まっていた。
「主達を呼び出したのは他でもない、帝都を我が物にするための秘策を編み出したのじゃ。」
「さすがは天海様。策を編み出される様、まるで尽きる事無き地獄の血の池の様でございます。」
刹那がいつものように天海を褒め称える。
「ウム。この文献によると西洋にはおぞましき呪いの儀式が数多くあるようじゃ。
今回はこのうちの1つを用いて帝都を恐怖に陥れるのじゃ。」
この天海の言葉に弥勒が異論を唱える。
「恐れながら天海様。次々とは西洋化して汚れてしまった帝都を浄化するため、
こうして集まっておるのでございませんか。そのような西洋の儀式を用いるのは本末転倒であると存じます。」
天海はその言葉を予測していたのだろう、その弥勒の言葉に間髪入れずに答えた。
「主が我らの理想に忠実なのは実に結構なことじゃ。
しかしこの度の策は、西洋化した帝都のものどもに西洋の儀式を用いるところが肝心なのじゃ。」
まだその真意がつかめぬ弥勒は眉をひそめる。
「まだ解らぬか、弥勒よ。西洋化した帝都の者たち、特に帝国華撃団の連中などは
日本古来の呪法などには知識があるので警戒しよるだろうが…。」
そこで刹那が得意げな笑みを浮かべ口をはさむ。
「西洋のものには警戒より興味を示す、ということでございますね天海様。」
「ウム。その通りじゃ。」
弥勒は自分の未熟を悟り、「恐れ入ります。」と頭を下げた。
「では早速計画に取りかかるのじゃ。今回は人手が要るので儂も含め全員で出る。」
そういうと天海は足早に部屋を出た。それに刹那と弥勒が続いた。
そして部屋に残った人影が1つ。
その人影は天海が手にしていた書物の頁をめくり、表紙の題を読んだ。
「世界の楽しいお祭り」
その人影、叉丹はこめかみに軽い痛みを覚え、こう吐き捨てた。
「400年生きていようが、生きていまいが、所詮日本人は英語が話せるようにはならんということか…。」
叉丹のこの言葉には、なぜか実感がこもっていた。
部屋に残った人影がもう1つ。
「一言も話せなかった…。」
その言葉の主、羅刹は自分の無口な性格を呪った。
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