ハロウィン、その後の帝劇/その一(長文)



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投稿者: VR @ 202.237.42.71 on 97/11/25 18:16:09

 これは、ハロウィン大戦ではないのかもしれません。
私が今まで書いてきた「暴走」小説のまとめとして、ここに
書き込ませていただきます。
 まとめですから、信条や論理はほとんど介入しておりません。
 なぜ由里があんな行動に出るのか、妙な違和感を覚えられたことでしょう。
そして後始末もつけぬままでしたから、これから帝劇がどうなるのかと、
自分でも不安になりました。これは、自分の暴走に対する、救いの断片です。
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『ハロウィン翌朝、その後の大帝国劇場』

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 もしかしたら、彼女は怒っているのかも知れない。
しかし俺は、別段自分が軽はずみな行動をとった
とは思ってはいなかった。

 今日の出来事は、全て降魔の仕業にするつもり
だったからだ。武器を使わずに戦った訳がそこにある。
凶器は残らない。何によって付けられた傷か、理解
できる筈もない。目撃者もいない。もっとも、目撃者と
被害者をイコールで繋げたのは、他ならぬこの俺だが。

 降魔による事故(殺傷事件と呼ぶべきか)は、頻繁に
発生している。適当に証言しておけば、うんざり顔の
警官共は、ろくに調書も取らずに引き上げる。
 
 それに『ヤツら』には、弁明する舌もない。

 だからと言っては何だが、今目の前にいる彼女の行動が、
今ひとつ理解し難かった。彼女は慣れた手つきで、薄茶色の
ごみ袋をまとめていく。百貨店やレストランで使われるのと
同じ、ビニルで強化された丈夫な厚手袋だ。『中味』に
そぐわず、やけに小さい。『中味』がどんな状態で収まって
いるのか、……まだ後に控えている朝食に気を使って、俺は
考えるのをやめた。

                     (その二へ)