なぜなに?中古ソフト。その1



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投稿者: きゆき @ ww-pa03.proxy.aol.com on 98/4/22 01:14:43


きゆきです。

今回からしばらく中古ソフトのことについて
記述させて頂きます。

その1は、「なぜゲームソフトは著作権法で保護されるの?」
です。

ゲームソフトはそのメインの部分はプログラムで構成されて
います。

時に1970年代、プログラムというものが人々に認識され
はじめたときに、プログラムをどんな法律で保護しようかという
議論がおこりました。

主に特許等を所管する、通産省・特許庁はプログラムは
プログラムとして使用されることがいいのではないかと
いうことで、特許法を参考にしたプログラム権法という
ものを提案しました。

それに対して、主に著作権等を所管する、文部省・文化庁は
プログラムは小説や絵画などと同様、文化的なものである
からということで、著作権法の改正での対応を提案しました。

結果的にはみなさんが御存知のように、著作権法で保護する
こととなりましたが、これは世界的潮流と政治的力関係が
関係していました。

アメリカの存在です。当時貿易赤字に苦しんでいたアメリカは
流出する頭脳、すなわち知的所有権について、政策的に
強力に保護しようと考えていました。

そこでアメリカは検討を加えました。なんとか保護できないかと。
それで達した結論は、登録が各国で必要な特許より、登録が
必要ない著作権で保護しようというものでした。
(ここについては複雑な経緯がありますが省略します)

このアメリカが検討しているときに、各国の裁判所では
プログラムは特許法で保護している判決がメインでしたが、
各国の国会や行政では著作権で保護することが新たな
法律で決められていきました。

これは、アメリカが考えていたことと同様に、保護期間の
問題と特許等にかからないものは著作権で保護するのが
一般的という考えがあった模様です。
(保護期間の問題:特許ではおよそ20年ですが、著作権では
著作権者が死んでから50年保護されるという、長さが相当に
違うという問題)

ここまでは、CRIC(財団法人著作権情報センター)の
資料をもとに構成しました。

そこで、日本でもプログラムは著作権で保護されることに
なりました。

時に1970年代後半、インベーダーブームが巻き起こります。
そして、海外が大きかったパックマンブームが巻き起こります。

そこで、デッドコピー基盤問題がおこります。
いまや有名なメーカーさんを含めて、インベーダーや
パックマンの一部分を改変したコピー基盤ゲームが
オリジナルゲーム同様に市場を席巻しました。

そこで、T社とN社は未だ法的判断がなされていなかった
ゲームについて、改変コピー基盤をなんとかするため、
ゲームプログラムの著作権を侵害しているので
改変コピー基盤をどうにかしてくれと、裁判所に訴訟を
おこしたのでした。

両訴訟ともオリジナル作成メーカーの勝訴でした。

特にパックマン訴訟については、改変コピー基盤で
あることを知りながら購入した、ゲームセンターを
罰するために、著作権法が定める映画の著作物に
あたると主張して訴訟を戦い抜き、勝訴したのでした。
(映画の著作物:通常の著作物より保護範囲が
広い扱いを受ける。詳しくは後述)

改変コピー基盤をそれと知ってゲームセンターに
おいた業者を罰するためには、当時の著作権法及び
判例だけでは難しい事でした。
ひとつの例外を除けば・・・。

それは「頒布権」というものでした。
(頒布権:はあ、やっとでてきました。詳しくは後述)

「頒布権」とは映画の著作物に対してのみ与えられる
権利であり、相当に強い権利です。

映画が未だキネマと呼ばれていた時代、フィルムは
映画会社から映画館の映写技師に直接、届けられて
いました。
しかし、悪いことを考える人がいるもので、そのフィルムを
高値で売りさばいたり、期日より先に公開する人が
現れました。
それに対応するために、誰にその映画フィルムを与えるか
の権利を法律で配給元や監督に与えたのが頒布権なの
です。

著作権法第26条(上映権及び頒布権)
著作者は、その映画の著作物を公に上映し、
又はその複製物により頒布する権利を専有する。
2・著作者は、映画の著作物において複製されている
その著作物を公に上映し、又は当該映画の著作物の
複製物により頒布する権利を専有する。

すなわち、まあわかりやすくいえば、
映画会社がどこの映画館にフィルムを供給するか
決定できる権利です。

これをゲームソフトにあてはめると、
ゲームメーカーが「どこか」にソフトを販売するか
決定できる権利となります。

これがパックマン訴訟が獲得した「頒布権」なのです。

ここで問題になるのは、「どこか」の部分。
ゲームソフトではゲームメーカーが「どこか」に
販売する権利があるかについては、
いろいろと諸種・諸説入り乱れています。

なんとか、なぜ著作権法で保護するのかは
説明してみましたが、いかがでしょうか。

次回は、頒布権は「どこか」まで影響を及ぼせるのか
についての予定です。

最後に、以上はきゆきの客観的資料に基づいた
個人的見解ととらえて頂ければ幸いです。
それ以上でもそれ以下でもないことを
ここに明言しておきます。

参考文献
C−MAGAZINE(1991年6月号)
模範六法(1998)

by きゆき