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投稿者:
じぇねらる @ proxy.kcn.or.jp on 98/1/16 15:53:14
注) この話は、第3話「俺は隊長失格?!」終了直後の夜を想定しています。
マリア「あら?隊長?」
夜、書庫へ本を借りに行こうとしたところ、マリアは元気なさそうに階段を降りて行く大神を見かけた。まだ見回りの時間には少しばかり早い時間だ。それに、戦闘の直後で疲れているはずなのだが・・・。
マリア「どこへ行くのかしら?」
ようやく隊長と認めたばかりの青年を、無意識下においてマリアは気にしはじめていた。考えてみれば妙な男だ。任官したばかりのせいだろうか、あの米田ですらたまに見せる軍人臭さがない。
こんな夜中にどこへ行くのか・・・不信感と好奇心、なにより彼に対する興味がマリアの心を動かし、その後をつけはじめた。大神はそのまま、地下格納庫へと入っていく。
マリア「変ね。紅蘭は今日、あやめさんと一緒に支部に泊まりのはずだけど・・・。」
のぞき込むと、大神は自分の光武の前に立ちつくし、目を閉じている。何かの儀式だろうか?マリアは声をかけるのをためらった。戦闘の後に自己流の儀式を行う人物をマリアは数多く知っていた。それはそれぞれにとって神聖不可侵のものであって、立ち入ってはならないもの。
立ち去るべきだろう。しかし、大神に対する興味が、その場を立ち去ることを拒否していた。その迷いが気配を生じたのだろうか、大神の方から声をかけてきた。
大神「マリアかい?」
マリア「え?!あ、はい!」
マリアは少し慌てた。軍人臭さはなくても、やはりエリート軍人なのだろう。ゲリラのスナイパーとして鍛えた自分の気配を読まれるとは思っていなかった。
大神「どうしたんだい?何か用かな?」
マリア「はい!あ・・・いえ、隊長の姿を見かけたもので・・・。隊長こそ、どうしたんですか?」
大神「俺?」
大神は自分を指さし、苦笑しながら、ばつが悪そうに頭をかいた。そのまま背中を見せ、自分の光武にそっと触れる。
大神「なさけないよな、こんなことでおちこんでちゃ。」
大神は顔だけ振り向く。
大神「はじめてだったんだ。」
マリア「は?!」
大神「人・・・殺したの・・・」
二人だけの格納庫は、妙に静かだった。

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