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編隊飛行 @ sisetu-45.jimut.kyutech.ac.jp on 98/1/05 16:10:05
In Reply to: Re: 【操大戦】〜続・謎の人型蒸気Vol.1〜その2(長文)
posted by 編隊飛行 @ sisetu-45.jimut.kyutech.ac.jp on 98/1/05 16:07:52
霊子甲冑『操』は、左手の手首を固定する枷を引きちぎると上半身を起こした。
腰を縛る鉄枷のためにまだ自由に身動きはとれないが、既に手を掛け引きちぎる
構えを見せている。
(ま、まじでまずいですわ。このままでは私の過去を暴露されてしまう・・・・。
やはり、口を塞いでしまわなくては・・・・・・・・。)
すみれは、いきなり霊子甲冑へ向かって駆け寄った。
『す、すみれ様!なにをするでしゅか?』
ベッドの上で上半身だけ起こした『操』の胸に飛び込むすみれ。なぜか二人の時だけが止まる。
「操様・・・・。わたくし、あなたのことをずっと思っておりました・・・・。」
すみれの瞳はすこし潤んでいるようだ。胸にすがりつき上目遣いに霊子甲冑の
モノアイを見つめるすみれ。
『うみゅ。ラブラブ♪うれしいでしゅ〜(*^^*)』
すみれの唇が霊子甲冑『操』の顔へとゆっくりと近づいていく。機械である
『操』には柔らかな花の香りが感じられただろうか?そして・・・・・・・・。
『操』の唇とおぼしき当たりに、すみれの唇が押し当てられた。甘い吐息が霊子
甲冑の冷たい機体にさえぎられる。数瞬の沈黙。10秒か20秒か。いや、霊子
甲冑『操』にとっては永劫の時と感じられたことだろう。
『ぷしゅ〜!!!うみゅ・・・・し・あ・わ・せ・でしゅ〜(メロメロ)』
〜〜しゅぅぅぅぅ〜〜〜〜〜!!!!!!!!〜〜
操の関節という関節から蒸気が噴き出す。
「きゃぁぁぁぁ!!」
熱気にはじけ飛ぶすみれ。
『すみれ様〜〜!!大丈夫でしゅか?。ていうか〜☆彡 僕の方が大丈夫じゃな
いでしゅけど(爆)。あまりのラブラブに熱暴走してしまったでしゅ。出力300%
オーバーでしゅね。もう制御不能でしゅ。というよりも制御装置も熱暴走して
しまってるでしゅ。理性が吹っ飛んでしまいましたね(^_^;;』
もうもうと吹き上げる白煙。蒸気の中で霊子甲冑の姿が霞んで見える。
『もうだめでしゅ。すみれ様、また守れなかったでしゅ。 先立つ不幸をお許し
ください〜!!!!』
〜〜ガックン!!BOM!!グシャッ!!〜〜
霊子甲冑『操』は完全に動きを止めた。
「す、すみれさん、大丈夫??」
床にはじき飛ばされたすみれを抱き起こす由里。
「さすがはすみれはんや。霊子甲冑に霊力を注ぎこんだんやな?あまりの霊力の
高さにさすがの新型霊子甲冑もオーバーヒートや。こんな技ができるのも、霊
力の高いすみれはんだけやな!」
感嘆する紅蘭。
「まぁ、私の手に掛かれば、これくらいは当然ですわ。おほほほほほほ」
(ごめんなさい。これしか方法がなかったのですわ。さようなら、私の想い出。)
「さぁ、汚らわしい霊子甲冑ですわ。お清めに『塩』でもまいてくださいな。」
「そ、そうやな。縁起でもないからたっぷり『塩』まいてやるわ!」
どこから取り出したものか、壺を持った紅蘭が思い切り『塩』を霊子甲冑の上
にぶちまけた。黒い機体の上に真っ白な塩が雪のように降り積もる。
「み、見て!!霊子甲冑が!!」
またもや、由里の驚愕の声に紅蘭とすみれの視線が、壊れて動かなくなった霊
子甲冑の上に注がれる。
「と、溶けてゆく・・・・・。」
霊子甲冑『操』は、ねばねばとした粘液をしたたらせながら徐々にその姿を小
さくしていく。
「なんや?こいつって・・・・・・『なめくじ』やったんか?」
塩にまみれ、みるみるうちに小さくなる霊子甲冑の黒い機体。やがて、拳大ほ
どの大きさにまで縮み込んでしまった。
「あちゃ?これで謎のままや・・・・・。もっと調べなあかんかったのに・・・・。」
「残念ね。また一からやり直し。せっかく陸軍の陰謀の手がかりを掴んだと思っ
たのに・・・・。」
「ありゃ?すみれはんはどこにいったんや?」
さっきまでいたはずのすみれの姿はどこにも見えなかった。
この日の夜、帝都には珍しく塩のような真っ白な雪が止むこともなく降り注い
だという。あのすみれの口づけが霊力をそそぎ込むためだけのものだったかは、
彼女は一言も語らなかった。
=====完=====
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