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編隊飛行 @ ppp039.vit.or.jp on 97/11/11 01:35:38
In Reply to: 続き:ハロウィン大戦・外伝 第2話〜[long]
posted by 編隊飛行 @ ppp039.vit.or.jp on 97/11/11 01:26:50
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ハロウィン大戦・外伝〜最終話 カーテンコールの片隅で
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「みんなひどいよなぁ。俺のこと忘れているんだから・・・。」
一時間後にオオカミの中から助け出された大神。しかし、日頃よく鍛錬さ
れた肉体は、少しの疲労を残すだけで既に回復していた。
カーテンコール。横一列に並んだ花組メンバーが満面の笑みを浮かべ観客
席に手を振る。観客は総立ちで拍手の雨。
「今日の俺の演技、どうだった?」
傍らに立つすみれの耳元にそっと囁く大神。観客の拍手にかき消されよく
聞き取れなかったすみれが大神の方を向く。
「えっ?あっ、少尉・・・」
振り向いたすみれの目の前には、にこやかな大神の瞳があった。見つめ合う
二人。騒音など全く聞こえない二人だけの世界が構成される。
「すみれ君・・・」
ゆっくりと動く大神の唇。目の前には薄紅色に塗られたすみれの小さな唇が
輝いていた。
「ぼ、僕のす、すみれ様になにをしゅるですか・・・・」
観客席の最前列。一人の男の頭から、もうもうと蒸気が沸き返っていた。
「ゆっ、許さないでしゅ!!」
客席から立ち上がると、舞台の大神に向かって突き進む。警備員が制止する
間もない。
「きゃ〜〜!!」
どこからともなく上がる悲鳴。
「まずい。みんな、逃げるんだ!!」
すみれをかばいながら、花組隊員たちに非難を促す大神。
「少尉ぃ〜〜ぃ!!」
「逃げるんだ。すみれ君。ここは俺が守る。」
男の右の握り拳が大神の左頬にのめり込む。体重の載った素晴らしいパンチ
だ。だが、使命に燃える大神は倒れない。さらに、左、ボディー、膝蹴り。男
の攻撃はまだまだ続く。
「おい。どうする?」
「まぁ、俺たち、一応警備なんだし、助けなきゃいけないか?」
「せっかく、大神がやられてるんだぜ。見てる手はないだろう?」
「だな。行こうか??」
警備員たち。実は、「サクラBBS」が誇る、大神いじめのスペシャリスト
たちである。
「しっかし、操もすみれ様のこととなるとすぐに見境いがつかなくなるよなぁ」
「まぁ、そういうな。無一文さん。おかげで・・・」
「ですよね。うぉーろっ君。これまでいい目を見ていた大神に、直接鉄槌を食
らわせるチャンスですから。」
舞台へ駆けつける警備員。いや、BBSの悪玉・・・。
「大神、今まで散々良い目ばかり見ていやがったな。」
「ハロウィン大戦は失敗作だったよ。ラブラブ過ぎてな。」
「作者は神だ。神に逆らうことは許されぬ・・・。」
「やばいぞ。もう警察がきやがった。逃げるぞ!!」
「み、操は??」
「ん?あれはいいんだ。捨てていこう。」
薄れゆく意識の中で、大神は逃げる男たちを見ていた。腫れ上がりかすれた
目には、正確な人数はわからない。
(8人くらいか・・・。)
「隊長。大丈夫ですか?」
(今度は、みんなを守れたようだ・・・・)
無意識の海の中へと落ちていく大神。聞こえてくるのは花組の少女たちの声
だけだ・・・・。
「隊長。さっきはよくも不意を付いてくれましたね。」
「アタイにはヘビだ!!なんて・・・。」
「うちも、また爆発してしもうたし・・・。」
「私も、顔面から転んでしまいましたわ・・・」
「大神さん、覚悟してくださいね。」
5人の少女たちの叫び声が一斉にこだました。
スポットライトは消えた。芸能の神々は天へと帰る。
神から人へと変わりし者の亡骸だけを残して。
************ 完 *****************
「この事件、解せないことが多すぎてなぁ。」
帝都日報の記事を読みながら、刑事は同僚に声を掛けた。
「これが、暴徒が逃げ出す瞬間の大神氏の姿。で、こちらが団員に介抱され
ている大神氏・・。」
「ひどい怪我ですねぇ。顔が変形していて誰だかわかりませんよ。でも、横
で介抱するすみれ嬢、きれいですね。殴られてもこんな美人に介抱してもら
えるんだから、大神って野郎は幸せすぎますよ。」
「その怪我だが、後の方がひどくなっていると思わないか?」
「そうですか?確かに最初の写真は、大神氏の顔だとはっきりわかりますね。」
「そうだろう?」
「時間がたって、腫れがひどくなっただけじゃないですか?よくあることです
よ。まさか、歌劇団の人たちが、後から殴ったなんてことはないでしょう?」
「そうだな。あんなかわいいお嬢さんたちがな。まさか。あははははっ!!」
「あははははっ!!」
「ところで、一人だけ捕まった『操』とかいう男は?」
「あれか?実は無人霊子甲冑だった。」
「えっ?まさか、黒之巣会がまた?」
「いや、不思議なことに、神崎重工業のマークが入っていたんだ。まぁ、
向こうさんは否定してるがな。大方、すみれ嬢の警備のために極秘で配
置してたんだろう。御上からの圧力でこれ以上の捜査はできないがな」
「そうですね・・・」
〜舞台の終わった夜〜
「大変やったなぁ。大神はん。」
「顔が変形してますよ・・・」
「まったく。田舎で公演やるといっつもこうだからな。もう少し警備にも金掛
けてほしいぜ。ったく、米田のじじぃはケチなんだから」
「人気があるのも困りものね。隊長、ホントに大丈夫ですか?」
「お兄ちゃんがアイリス達を守ってくれたんだもんね♪」
「あいたたたっ!!」
「あっ。ごめんなさい。少尉。もう少し我慢なさって。」
大神のほっぺたに薬を塗っていたすみれが心配そうに囁く。
ハロウィンの夜。罪深き人々は聖人に祈り悔い改める。
然るに、男女の仲だけは測り難きほど罪深し。
**********本編へと続く******************
ご愛読いただきましてまことにありがとうございました。
やはり、大神少尉いじめはうまく行きませんでした。
心優しき編隊飛行には無理みたいです(笑)
ではでは。次回までしばしのお別れ。
ふぅ。仕事休んで書いちまったよぉ。昨日の夜から飯さえ食ってない。
温泉に行って疲れて帰ってくるなんて・・・・バカな私。
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