Re: 大丈夫ですよ♪VRさん (さくら風)



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投稿者: VR @ 202.237.42.71 on 97/11/07 16:48:16

In Reply to: Re: 大丈夫ですよ♪VRさん (さくら風)

posted by 編隊飛行 @ sisetu-45.jimut.kyutech.ac.jp on 97/11/07 10:59:19


>  ハロウィン大戦の締め切りは11月末日ですから、
> どんどん参加してください(笑)
>  (多分、すぐにクリスマス大戦が始まるとは思うけど(爆))

 締切、あるんですか(笑)。

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 『 ハロウィンの夜 〜サクラ大戦・異聞〜 』



 「涼しくなってきたな…。」

 最初に口を開いたのは副指令だった。黄昏時、町は琥珀色
に染まり、慌ただしい雑踏も、行きかう車の騒音も、やさしい
微笑とともに許せる……そんな時間が流れていた。

 俺とイリス副指令は帝劇のテラスでくつろぎながら、穏やかな
町並みを眺めている。今日の公演は夜の部だけなのだが、俺は
朝から公演の準備とやらを手伝わされ、今やっと一息ついた
ところだった。

 「そうか。今日はハロウィン、だったな。」

 副指令は、玄関口に行列を作っている子供たちに目を向けた。
皆、様々なお化けに扮し、何やら楽しそうに笑いあっている。

 「大神は、ハロウィンを知っていたのか?」

 「いえ、名前くらいです。参加したことはないですね…。
  副指令は?」

 「…私も、ない。ハロウィンという行事は漫画で覚えた
  だけだ。」

 「副指令も漫画を読まれるんですか。それは、子供の頃に?」
 
 「子供の頃か……周りにあった本なんざ、くだらんゴシックの
  羅列だったよ…。」

 そういえば、少しだけ副指令の幼少時代の話を聞いたことがある。
外出どころか窓の外を見る事さえも制限され、ほとんど
外界を知らずに育ったとか…。当然、ハロウィンという祭事になど
参加できなかったのだろう。

 強大な力を秘めていたが為に、随分とつらい少女時代を送ってきた
らしい。彼女はその霊力の高さを買われ、俺たちと同じ光武ではなく、
幻武という特別な機体に乗っている。実際に戦っている所は見た事が
ないが……。

 そんな彼女だが、こうして話をしている時は近寄り難い存在ではなく、
頼りになる良き姉のような雰囲気があった。ゆるめているネクタイも、
色っぽいのか、だらしがないのか分からないが、何となく視線を奪われるものがあった。

 「トリック・オア・トリート、といって寄ってくるんだ、子供たちが。
  お菓子をくれるか、悪戯をされるか?ってな。……不公平だと思わないか?」

 「……?」

 「勝手にやってきて、どちらを選んでもマイナスの選択をせまるんだよ。」

 「……。」

 多分、彼女はこう言ったのだ。……ヤツらと同じだろう、と。
 そんな風に、物事を何かと繋げて考えてしまう副指令が、
何処か哀れに思えた。彼女には、そういった人格を形成させられる
のに十分すぎる理由があったのだ。


                    (続く)