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VR @ 202.237.42.71 on 97/11/07 16:52:12
In Reply to: Re: 大丈夫ですよ♪VRさん (さくら風)
posted by VR @ 202.237.42.71 on 97/11/07 16:48:16
「お前の言いたい事は分かってるよ。『副指令は浪漫がない』
とか何とか思っているんだろう?」
「あ……いえ。」
「ま、私とテラスに出てきた事を不幸だと思え。」
「あの…副指令。」
「何だ?」
「一を犠牲にして十を救うか、たとえ一でも見捨てないかは、
どちらが正しいんですか?」
副指令は、てっきり俺が会話を戻すと思っていたらしく、
あっけに取られた様な表情を見せた。しばらく間があって、
「ぷっ……ははは!お前も相当浪漫がないな、大神?ま、そういう
方向に引っぱったのは私だが。……以前、マリアとそれで
やりあったんだっけな。」
「はい。そして……答えはまだ出ていません。」
「……どちらも、間違ってるよ。」
「!」
副指令は、まっすぐに俺の顔を見つめて言った。
「一だとか十だとか勝手に市民をなぞらえて、しかも
その命を左右する力が自分にはある、と。それこそ、
おこがましい考えとは思わないか?」
「……。」
「何でも二者択一で考えるなよ。日本人だろう?イエスかノーか
だけじゃ決められない事もあると、よく分かってるんじゃないのか?」
「……でも、そういう状況に置かれたことは、一度や二度じゃありません……。
そんな時、俺はどうすればいいんですか?」
「後のことは考えるな。その時に、自分で正しいと思った行動を取るんだよ。
……お前もそうしたじゃないか。」
「えっ?」
「だからあの時、子供を助ける為に飛び出したんだろう?」
「……あ……。」
「情けないな、大神。それくらい一人で解決できなければ、
他所にいった時に辛いぞ。」
「他所に……?」
「分かっているだろう。いずれお前は、ここを離れることになる。
引き抜きの話、海軍復帰の話、私の所にも来ているぞ。」
「俺は……ここを、帝劇を離れたくありません。」
「……大神。お前の夢は何だ?」
「……それは、この帝都を守ることです。その為に、俺はここに
いるんですから……。」
「嘘だろう。」
「……!……。」
副指令は厳しい表情をこちらに向けた。その瞳は、俺が自覚すら
していない本心さえも見抜いているかの様だった。
「確かに最初はそうだったな。しかし、花組と出会って、
彼女たちと親しくして……。彼女らと付き合っていれば、
自然に戦闘にも参加する。それが結果的に帝都を守ることに
つながっているだけだ。目的がすりかわっているんだよ。
そうやって、なあなあの関係のまま、目的も持たずにここに
いるつもりか?それで生きていけるほど、人生甘くはないぞ。」
「そ、それは……。」
(続く)
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