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Mystique @ sotaro-mizoguchi.umeres.maine.edu on 98/2/24 18:27:00
In Reply to: 3DfxがSEGAに裏切られたのは生産能力が弱いから?
posted by ゆーすけ @ ins18.nagasaki.dti.ne.jp on 98/2/24 15:43:17
画像の質を上げるには解像度を上げる事も勿論ですが、Textureの質を
上げるのが一番です。 そういう訳で色々なEffectが有る訳ですよね。
例えばBilinear/Trilinear Filtering、Linear/Trilinear Mip-Mapping等。
しかしながら、画質/Textureのクオリティーを上げるのに伴い、当然
VRAMの量及び帯域、システムメモリーの帯域が必要になってくる訳です。
VooDoo2を見れば解る通り、VRAMの内部バス幅は128bitよりも大きく、
メモリー自体も高速なEDO RAMを必要としています。
確かにこうすればパフォーマンスは上がるでしょうが、コスト増に
結びつくのにも明らかだと思います。 PCならまだしも、コストも大きな
要因となるコンシューマ部門では、これは致命的なのではないでしょうか。
VooDoo2チップセット自体が安くても、それに伴う部品、回路設計に
余計なコストがかかりますからね。
実際に今度出てくるPowerVR2搭載のボードは恐らく今までのPowerVR
搭載カードと同じく、コアが一つにSDRAM/SGRAMチップが2個程度で
済むでしょう。 VRAMが8MB必要ならSDRAM/SGRAMチップが4個になるだけの
事です。 これだけで2D/3D、TV-IN/OUT、ビデオ再生支援機能を揃える
訳です。 当然コンシューマ向けですから2D部に関しては余計な機能は
省いているでしょうが、DirectXを使うのなら、DirectDrawを効率良く
実行出来るように作られている筈。
一方VooDoo2はどうでしょう? リファレンスボードを見る限りでは、
レンダリングエンジン*1、テクスチャエンジン*2、GENDAC*1、更に
EDO RAMを8MB搭載するならチップは8個になります。 これではスペースを
考えても明らかにPowerVRが優位に立ち、回路設計にかかるコストも
低いという訳です。
またもう一つ問題が有ると思います。 PowerVRのアーキテクチャと
いうのは、ある意味理想のアーキテクチャだと思うんです。 例えば、
Z Bufferを必要としない陰面消去法によって、Z Bufferに必要な
VRAMは減ります。 これが一つ。
更に、無限平面によるポリゴン定義は、ポリゴン数が20万になろうが
100万になろうがデータ量は全く一緒なんです。 これによって、低速な
PCIバスでも使える訳なんです。 無限平面アルゴリズムに関しては、
こちらを参照してもらうとお解り頂けます。 これを見た時、はっきり
言って驚きました…
http://www.ic.nec.co.jp/powervr/archi/index.html
ですから、今までのアプローチの様に、速度を上げるのにVRAMの帯域を
上げる必要はありません。 例えばRIVA128はその名の通り128bitの
メモリーバスに100MHzのSGRAM使用で1.6GB/secの帯域を持ちますが、
PowerVR PX2は64(32?)bit/66MHzで266MB/secの帯域しか持ちません。
これだと信号線の数等も少ない訳ですし、メモリー周りの設計も非常に
楽になります。
今度のPVNGはDirectDrawも行うので恐らく帯域は64bit、100MHzの
SGRAM程度が使われそうな気がします。
最後にもう一つ。 PVNGが持つEffectの幾つかはVooDoo2には無く、
またこれら自体がアドバンテージになっていると思われます。 例えば
Anisotropic FilteringはPVNGの新しい機能ですが、普通のカードが
Trilinear Mip-Mappingをするのと同じクオリティーで尚且つTrilinear
Mip-Mappingよりも少ないデータ量で処理が出来ます。
このFiltering方式に関しては、英語ですがこちらを参照すると良いでしょう。
実際にnVIDIAのテクニカルリファレンスを見ても、このFiltering方式が
最適であるという事が書かれています。
http://www.ping.be/~pin10741/Anisotropic.htm
結論から言うと、PowerVRアーキテクチャを使えば、Frame Bufferは2MB程度、
Texture Bufferに4MBも使えばMODEL3のゲームが再現出来ると思います。
解像度640*480*16bitカラーなら必要なFrame Bufferは610KB程度。 これに
当然Double Bufferingがかかって倍の1.2MB。 まだこれでも余りがあります。
Tripple Bufferingすらかかります。
Textureデータにしても、PVNGのTexture Compressionは1:10まで圧縮が
出来ますので、4MBのTexture Bufferで40MBまでのTextureが理論的には
置ける事になります。 VooDooアーキテクチャならばこうは行かない筈で、
まずZ Bufferにもメモリーが必要となります。 これに専用のバスを
設けるのなら回路設計が困難になりますし、Frame Bufferと共有させるなら
帯域を上げる必要があり、結局コスト増なんです。
安定供給という事に関しても、ゆーすけさんのおっしゃる通りだと思います。
NECの0.25ミクロンプロセスの工場で生産出来る訳ですし、0.25ミクロンで
生産されるのはPVNGだけです。 i740もRIVA128も0.35ミクロンです。
歩溜りの事を考えれば、当然プロセスは小さい方が良い訳ですし、ダイ
サイズが小さくなればコストでも有利です。
例えばnVIDIAがTSMC社とRIVA128の後継RIVA128 ZXに関してFab契約を
結びましたが、これはRIVA128の時に安定供給が出来なく、一部で全く
品薄の状態が続いていたという事実を受け止めての事でしょう。 売る数が
100万単位のコンシューマ機なら、生産性は非常に大事です。
以上、長文になりましたが、僕の意見です。 PowerVRのアーキテクチャの
ページはかなり参考になりますので、宜しければ見て下さい。
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