【如月大戦】仮想外伝三人娘探偵団その2



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投稿者: Rudolf @ 202.250.120.51 on 98/2/04 22:34:45

In Reply to: 【如月大戦】仮想外伝三人娘探偵団その1

posted by Rudolf @ 202.250.120.51 on 98/2/04 22:33:11

捜査の第一歩は現場検証から。三人娘もその鉄則を基に現場に、とはいえ現場と言えば事務の伝票。さて、ここからどうするのか。
 「取り敢えず、まずないのはすみれさんとアイリスね。」
 「あの二人はくすねる、なんて言葉とは無縁の家の出ですからね。」
 「そうかしら、かすみ、椿。アイリスの家はフランス、すみれさんは勘当同然よ。」
 「由里、軽々しく疑うものじゃないわよ。」
 「あまいわよ、かすみ。捜査に私情は禁物なの。」
 由里はかなりこの展開に乗りまくっているらしい。まず椿に疑ってかかったのだから当然と言えば当然か。
 「だけど、アイリスにはお金なんて無縁でしょ、二人とも。」
 確かに、良家の子供と言ってしまえばそれまでだが、貨幣価値の”か”の字も関係ないような子供だというのは誰もが認める事である。
 「じゃあ、すみれさんは?」
 「由里、すみれさんがそんなことする人に見えて?」
 「………まず見えませんね、由里さん。」
 それはそうだ、仮にどんなに貧窮しようと彼女が人の金子に手を伸ばす、あろう事か影で横領などするような者か。それこそ正に”へそで沸かす”ほどの茶番だ。
 「と、なると、疑わしきは最近妙に羽振りのいい人ね。」
 「椿、あなたも乗り過ぎよ。」
 「それならさくらさんよ。彼女、こないだ大神さんと三越に行ったそうよ。」
 「、由里、そのこと花組のみんなに言った?」
 「ううん、私も血は見たくないから。」
 「そう、それならよかった。」
 「でもそれは怪しいですね。」
 「それはないと思うわ。」
 「どうしてですか?かすみさん。」
 「この間から2月公演でしょ。さくらさん初日の公演でいい演技したって支配人から賞もらったでしょ。あの副賞でお金も貰ってたし、どうも喜びようからして、そんな横領とかしているとは思えないわ。」
 「うーん、金銭的にはシロですね。」
 椿も乗ってきたようだ、誰が彼女にシロだかクロだか教え込ませたのか、知る由もない。
 「その買い物で足りなくなってちょっと、なんて線は?」
 「ありうるわね、」
 「あら、何しているんですか三人で。」
 「あ、さ、さくらさん。どうしてここへ。」
 「どうしてって、かすみさんが後で事務室のお掃除を手伝って、って言うから。」
 (かすみ…)
 由里の目配せ、かすみはそれだけで彼女の言いたげが全て分かった。さすがに仲のいい事務コンビといったところか。これこそ阿吽の呼吸。
 「ああ、もう少し後でね、さくらさん。ところで、この間の休みに大神さんと三越に行ったんですって?」
 「あらやだ、見てたんですか、恥ずかしい。みんなにはナイショですよ。」
 「分かってるわ、でそのときに要り用になったんじゃない?」
 「いいえ、食事したら海岸に行ったからあまりお金も掛かりませんでした。それが何か?」
 「いえ、何でもないの。また後でね。」
 また後で、と言うことでさくらの退場により当面の漏洩は回避された。
 「彼女じゃないわね。」
 勿論、彼女の証言を信用して、という前提だがここまで来て偽証をする理由もない。何せ大神と出かけた事までは知られているのに。
 
 「次は、カンナさん。」
 「そういえば一昨日、地下にカンナさん用のトレーニング機器を揃えたって。」
 「あ、それはあやめさんが言って正規の手続きから買い揃えたんです。ほら、ここに明細が。」
 椿が事務机の上から取り出した明細にははっきりとそう書かれていた。
 「とすると、これではないという事ね。かすみ、他にカンナさん絡みの線は?」
 「うーん、ないわねえ。彼女もお金が掛かる生活を送っているとは言い難いし、食費だって帝劇の食堂で無料だし。」
 「そうねえ、それが正論ですね。」