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Rudolf @ 202.250.120.51 on 98/2/04 22:39:08
In Reply to: 【如月大戦】仮想外伝三人娘探偵団その3
posted by Rudolf @ 202.250.120.51 on 98/2/04 22:37:03
「何を暴れているの、あら由里に椿、かすみまで。」
「あ、あやめさん。実は、」
そこで彼女たちは事の顛末をあやめに洗いざらい話した。勿論、大神が犯人という事で。
「うふふふふ、ふふ。」
事の終始を聞いたあやめは思わず吹き出した。
「何が可笑しいんですか、あやめさん。帝撃の隊長にあるまじき行為ですよ、これは。」
「うふふ、ごめんなさい、由里。でもね、違うのよ。その犯人は私なの。」
『えええーーーっっっ!!!』
3人の驚きようも尋常ではなかった。まさかあやめさんが、その心たるや女神の如し、(後に身も神となるが、)その彼女の手が悪に染まるとは。
「いやねえ、あのお金はこのためなのよ。」
と、手にもつ封筒の中身を出して三人娘に差し出した。
「えーっ、これ何ですか。」
「うわ、私ですか。これ。」
「なんだか、照れますわ。」
それは三人娘のブロマイド、しかもゴールドコートのされた貴重版、大きさも通常版と正月特別版の間くらいの大判。
「椿も以前売店に新しい目玉が欲しいって言っていたから、これをもう業者に発注してその資金を出したのよ、完成してから驚かそうと思っていたのにまさかこんな事になるなんてね、ふふ。」
「笑い事じゃないですよ、あやめさん。俺なんて無実の罪でこの様ですよ。」
と、まだロープで雁字搦めにされた尺取り虫に変身した大神が転がっていた。
「ふふ、ごめんなさいね。でもその格好もお似合いよ、大神クン。」
「嬉しくありませんよぉ。」
「大体大神さんが悪いんです。あんな高価な宝石を一体どうしたんですか。」
「はあ?」
大神ももう呆れ顔だ、いや、呆れるしかなかった。
「椿ちゃん、あれはただの小道具だよ。さくらくんが散らばっているって言ってたから片付けていただけだよ。」
「はあ?紛らわしいんです。」
「そんなこと言われても、とほほ。」
「でも…」
「あら、かすみ。どうかしたの?」
「こんな物を作っていただいたのは嬉しいんですけど、売れるのかどうか。」
「心配ないわよ。自分の目で確かめれば済むから。」
後日のこと、諸般の事情により四月公演より売り出されたこの三人娘ブロマイド(椿、由里、かすみ、三人集合の四種)は飛ぶように売れた。彼女たちのファンはもとより、コレクターや光り物の好きな子供にまで人気で追加発注が追いつかない盛況であった。
「うそみたい。」
「………」
「かすみ、泣いているの?」
売店の様を見学に来て呆気にとられる由里と、感慨に耽っていたかすみ。
「いえ、これがあやめさんの私達への最後の贈り物かと思うとね、ちょっと。」
「馬鹿ねえ、ちゃんと見てくれているわよ。」
この企画の発案者のあやめはもう帝劇にはいない、在るべき場所に帰ったのだ。きっとそこからこの様子を見てさも喜んでいることだろう。
そして残された者、生きている者はみんなそれぞれに多忙な生活を送っている。
帝都は平和な日々を取り戻した。
この一年で失ったものは大きいが、手に入れたものはもっと大きい。
そして再び帝都に春がやってきた。
所は銀座の町並み、春うららかな陽気の日、三人娘は煉瓦亭へと足を運んでいた。
「ねえねえ、三人娘探偵団、またやらない?」
「ゆり、そうそう事件があっては困るわよ。」
「でも、やりたいですね、由里さん。かすみさんも。」
「ええ、まあね。」
遠くの方で響く民衆の叫び声、
「強盗だあ、店の品物全部持って行かれてる。」
『そんな時は、この三人娘探偵団にお任せあれ。』

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