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投稿者: かとおおお @ 202.228.225.73 on 98/1/30 22:17:34

In Reply to: 真説・サクラ大戦「平和な日々はデートだよ!」

posted by かとおおお @ 202.228.225.73 on 98/1/30 22:13:36

「明治神宮にしましょうか。大神くんは行ったことないでしょう?」
「ええ、ぜひ連れて行ってください」

明治神宮前にて。
「さあ、着いたわ。すごい人ね〜」
「本当にすごい人波ですね。はぐれないようにしなきゃ」
「ちょっと、大神くん! くっつき過ぎよ」
「そ、そうですか?」
「ふふふ、しょうがないわね」

チャリーン
チャリーン(←お賽銭を投げる音)

「……………………」
「……………………」
「あやめさんは、何を祈ったんですか?」
「わたし? うふふ、ないしょ!
大神くんは?」
「俺ですか?
 ……あやめさんが幸せになりますように、って」
「まあ。大神くんもなかなか言うようになったわね。
誰に教えてもらったの? 紅蘭?」
「え? い、いや、その……」
「ふふ、相変わらず正直ね」

二人が帰ろうとした時、前の方で何やら騒ぎが起こった。
どうやら、誰かが鳥居の上に立って叫んでいるらしい。
「あ! あれは確か、葵又丹!」
「え? 又丹……?」
「そうですよ。前に帝劇で一緒に芝居をしたじゃないですか。たしか、帝都一の演出家でしたよね。
でも、それにしては変なこと言ってるな。『われは反逆者』だとか『時は来れり』だとか……」
「そう………」
「あやめさん……?
 あやめさん! どうしたんですか!? 顔が真っ青ですよ!」
「……大神くんには話しとかなきゃいけないわね。
わたしと葵又丹は昔、夫婦だったのよ……」
「え!?」
「あの人は最初売れない小説家だった……。でも、わたしたちは貧しいながらも幸せな所帯を持ったわ。猪之助、鹿太、蝶子という三人の子宝にも恵まれて。
ある時、あの人の書いた小説が新劇の舞台になったの。忘れもしないわ、その稽古の初日よ。舞台装置が突然倒れてきて、下敷きになったあの人は意識不明の重体……。病院に運ばれ一週間後に気が付いたけど、その時にはもう元の彼じゃなかった。わたしの顔さえ忘れて意味のないことを口走るばかり……」
「あやめさん……」
「わたしたちは結局別れたわ。あの人は、ある日病院を抜け出してそのまま行方知れずになり、わたしは三人の子供をかかえて生活に追われる毎日。仕事から帰ってくるともうくたくたで……疲れちゃったのね、人生に。
 冬の寒い日、子供と一緒に隅田川に飛び込んだの。でも、わたしだけ助かって……ね、わたしってこんな女なのよ。」
「……………………」
「米田さんに拾われて帝劇に勤めるようになって、もう昔のことは振り返るまいと決心したのに、突然あの人が現れた……。
わたしってばかね。期待しちゃったの、あの人の言葉。『あやめ、もう一度やりなおそう』って。でもあの人はわたしのことこれっぽっちも覚えていなかった……。ばかね。ほんとうにばか。大ばかだわ…………うっ…うっうっ」

肩をふるわせ泣くあやめ……。
どうする、大神?

(LIPS選択) 

(1)あやめの肩を抱く。
(2)やさしく言葉をかける。
(3)何もしない。