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かとおおお @ 202.228.225.73 on 98/1/30 22:27:28
In Reply to: 1、を選んだ方へ
posted by かとおおお @ 202.228.225.73 on 98/1/30 22:17:34
「うっ……うっうっ……」
「あやめさん、しっかりして下さい!」
「大神…くん?」
「あやめさん、俺がさっき言ったことを忘れたんですか?
俺は、あやめさんが幸せになるように祈ったんですよ。大丈夫。きっと幸せになります。 いや、俺が幸せにしてみせます!」
「大神くん!?」
「あやめさん、見ていて下さい!!」
「あ! 大神くん。どこへいくの!?」
大神は鳥居に駆け寄ると、又丹めがけてよじ登り始めた。
「葵又丹! 俺を覚えているだろう。帝劇の大神だ!」
「なにい、大神ィ? ふん、それが何の用だ!?」
「ちょっと俺と一緒に来てくれ。会わせたい人がいるんだ」
「なんだとぉ? フ、フフ…ハハハハハ!
貴様もわが野望を妨げるつもりか!?
そうはさせん! 死ねい!!」
「ぐ! さ、又丹。く、苦しい……やめろ!」
大神の首を締める又丹。必死に抵抗する大神。
ついに二人はからみあったまま鳥居の上から真っ逆さまに転落した。
「うああああああっ!!」
「大神くーん!!」
ドシーン!!
「大神くん、ケガはない……?」
だが大神は意識を失ったまま。先に気づいたのは又丹の方だった。
「う、ああ…………あやめか……。オレは大丈夫だ」
「又丹! あなた……」
「どうしたあやめ。オレの顔になんかついているか?
ん? ここは……確か舞台稽古の途中だったはずだが……」
「又丹。記憶が戻ったのね……」
「記憶? …………そうか。いろいろあったようだな。
だが、安心しろあやめ。オレはお前を決して不幸になんかはしない。
さあ、もう一度やり直しだ。明日から新しい生活がはじまるぞ!」
「あ、あなた! ……よかった」
「う〜ん、いたたたた。あ、あれっ!?」
やっと気がついた大神が見たのは抱き合った又丹とあやめの姿。
「あやめさん……」
大神はその場に立ちつくした。
「あやめさん、俺……」
後の言葉は出てこなかった。ただ涙でにじんだ二人のシルエットだけが大神のまぶたに浮かんだ……。
(完)

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