正月大戦「炎の記憶・前編」(長文)



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投稿者: じぇねらる @ proxy.kcn.or.jp on 98/1/29 16:19:11

「強い子になれ。」

闇の中、なつかしい声が響く。

「どんなときでもくじけちゃいけない。」

誰の声だったろうか。なつかしい、それでいて暖かい声。

「どんなときも笑顔でいなさい。」

少女はたまらず声を張り上げる。

「誰や!あんたは誰なんや?!」

次の瞬間、少女は炎の街に立っていた。明らかなる奇襲攻撃でも受けているのか、市民が避難する間もなく殺されていく。

「いややぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

目覚めた時、少女は泣いている自分を発見した。

           ☆            ☆             ☆

ところ変わって、ここは大帝国劇場の舞台袖。

マリア「どうしたの紅蘭?今日はボーっとしてるわよ。」

紅蘭「あ?!すんまへんマリアはん。」

マリア「次は火薬を使うシーンなんだから、気を抜かないで!」

紅蘭「まかしときぃ!細工は完璧やでぇ!」

変な夢を見たせいだろう。確かに自分でも変だとは思う。しかし、火薬のセッティングには自信があった。ここだけの話、実弾を使用しても怪我人を出さない自信まであった。

フランス革命の市街戦シーン。紅蘭がスイッチを入れるとともに、火薬が連鎖して破裂。突撃する兵士達と逃げる女子供。その中にスイッチを押した後の紅蘭も混じるハズだったのだが・・・。

スイッチを入れた瞬間、いや、最初の爆音の瞬間、紅蘭は動けなくなった。それでも、轟く銃声、断続的な破裂、そして女子供の悲鳴。紅蘭の異常に最初に気づいたのは、舞台袖に駆け込んできたアイリスだった。

アイリス「きゃー☆ってね。あれ?紅蘭?」

紅蘭は焦点の合わない瞳に、涙を一杯ためていた。アイリスの呼びかけにも反応を示さない。

アイリス「紅蘭?!どうしちゃったの?!紅蘭!!!!」

舞台上ではまだ、市街戦が繰り広げられていた。