![]() ![]() 投稿者: 神崎 操 @ pppa81d.pppp.ap.so-net.or.jp on 98/1/05 07:05:29
「中佐殿!大変で有ります!」 一人の青年兵士が慌ただしく上官将校に報告していた。 「何事だ!」 「はっ!無人霊子甲冑の一体が突然暴走をおこし周囲の設備を破壊して 敷地外へと逃亡を計りました!」 青年兵士の言葉を聞くなりとたんに顔色を変えて中佐は命令を出した。 「ばかもんっ!すぐに探して捕獲しろっ!」 「はっ!直ちに捜索にあたりますっ!」 青年兵士は中佐にそう言って敬礼をしてから走って行った。 それはまだ、年を明けたばかりの帝都近郊の陸軍施設での出来事だった。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 雪残る帝都の路地裏を一人の美しい女性を担いで走り抜ける者がいた。 ガシャッガシャッガシャッガシャッガシャッ……… 「ひゃっほぅ〜!やったでしゅ!遂にすみれ様をGetしたでしゅよ〜☆彡」 そんな、奇妙な喋り方をしながら美しい女性を担いで走る者は驚くべき事に 人間では無かった。 「ふふふふふ………(ニヤリ)今宵はすみれ様とふたりっきりでしゅ〜☆彡」 人一人を担いでいるとは到底思えない程のスピードで走る彼の姿は戦闘時 に人が身を守る為に着込む鎧………より正確には「甲冑」に酷似していた。 ガシャッガシャッガシャッガシャッガシャッ……… 「ふっ!う〜〜〜…ひっく……あらぁ〜?ひょう〜いったらぁ〜わらくひうぉ、 ろこにつれてってぇくれぇるぅんれすのぉ〜〜…うぃ〜〜…ひっく……」 猛然と走り続ける彼…「謎の甲冑」に、担がれた美しい女性は話しかけた。 その口調はろれつが回ってなかった。さらにその女性(謎の甲冑の話から察するに 「すみれ」と言う名の女性らしい)の顔はほのかな桜色に染まっていた。 早い話がすみれは酒に酔っていた。 「にゅ?すみれ様?僕は少尉なんかじゃないでしゅよ〜☆彡操って言うでしゅ☆彡」 「最新式の霊子甲冑でしゅ〜☆彡」 すみれのろれつの回っていない言葉を正確に理解したのかしないのかは不明だが 謎の甲冑はすみれの言葉に対してそう答え、自らの名前を告げた。 「ふふふ…ひっく……ひょ〜うぃったらぁ…らにわけのわはらないこと言ってん のぉよう〜…ひっく…うぃ〜〜……」 「あ!…もひかひてぇ…わらくひをかりゃかっていますのぉ〜〜……ひっく…」 操がかなりの速度で走っているのに全然気にもとめずにすみれは、ろれつの まわらない口調で操に話しかけていた。 「う〜〜ひょう〜いのおしぇなか…冷たくてひもちいいれすわぁ……」 すみれは言いながら操の背中に顔をうずめて頬ずりした。 「はう!す、すみれ様〜!そ、そんな事されると(嬉しくて)システムが フリーズしてしまうでしゅよ〜!」 「ん、ふふぅ〜………ひょ〜うぃったらぁ〜〜☆かぁ〜わいいっ☆彡」 すみれはそう言って、自分を担いでいる操の首に手を廻してぎゅう〜っと 抱きしめた。 「あう!す、すみれ様…胸があたって気持ちい…じゃなかった。く、苦しい でしゅ〜〜」 そう言いながらも走り続ける操の言葉から、「触覚と痛覚」の有るらしい 事が推測される事から、かなり高度な技術によって作られた事を読み取る事 が出来た。 「ふふふふふ..今夜はすみれ様とふたりっきりで過ごすでしゅ〜☆彡」 そう喜び勇んですみれを担いで走る操はかなり遠くまで来ていた。 ![]()
![]() |