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投稿者:
魔法騎士ぺいおーす @ sppr3ds35.hkd.mesh.ad.jp on 97/12/24 02:20:00
太正12年12月23日。
帝都はこの冬一番の寒さに包まれていた。
大神
「うわー、今朝は結構寒いなぁ。」
自室を出た大神はそうつぶやきながらサロンへと向かっていた。
大神
「あれ、すみれくんがいないぞ。」
そう、いつもはこの時間になると、すみれはサロンでくつろいでいるはずだった。
大神
「すみれくん、今日はどうしたんだろう・・・」
と次の瞬間、大神の目の前が暗くなった。
・・・
「だーれや?」
大神
「・・・おいおい、紅蘭。それじゃすぐにわかるよ。『だーれや?』なんて言うのはここでは一人しかいないからね。」
紅蘭
「しもたー!ウチの作戦ミスや。あ〜あ、大神はんの答えがもし間違いやったら、この『まことくん改』が実力を発揮するはずやったのに・・・」
どうやら大神は、2度目の餌食になることは逃れられたようである。
大神
「紅蘭・・・どうして朝からこんな実験に俺が付き合わなければいけないんだ?!」
どうやら大神の精神は危険な状態にあるようだ。
紅蘭
「こないに寒い日はみんなはまだ部屋にこもってるやろうし、一人で大神はんが出歩いているのを見てつい・・・」
大神
「・・・」
紅蘭
「こらあかん。大神はん、失礼しますわ・・・」
身の危険を察知したのか、紅蘭は逃げるようにその場をあとにした。
大神
「ふぅ、紅蘭には油断もスキもあったもんじゃないな。」
しかし、ここ帝劇ではこんなことは日常茶飯事であるのだが・・・
大神
「誰もいないようだし、とりあえず部屋に戻るとするか・・・」
自室の前に戻ってみると、ちょうどさくらがこちらに向かって歩いてきた。
さくら
「あっ、大神さん、おはようございます。」
大神
「やあ、さくらくんおはよう。で、どうかしたのかい?」
さくら
「大神さん、今日は寒いですよね。それであたしこれから大神さんを誘って甘酒を作りに厨房に行こうかなと思っていたのですけど・・・いっしょに行きませんか?」
大神
「甘酒かぁ、悪くないね。じゃあ一緒に行こうか。」
さくら
「はい、行きましょう。」
と、二人は厨房に向かって行った。
二人が厨房に着くと、部屋の中からガタッ、ガタッ・・・どうやら先客がいるようだ。
・・・
「愛ゆえに〜こころ張り裂け〜♪・・・そこにいるのは誰?!」
厨房で歌を口ずさんでいたのは、意外にもマリアだった。
大神
「マリア・・・どうしたんだい?朝から厨房にいるなんて。」
マリア
「隊長、それにさくらまで・・・まさか今私が歌っていたのを聴いていましたか?」
大神
「ああ、聞こえたよ。聞き惚れてたけどね。さすがに花組のリーダーだよ。」
そのとたん、マリアの顔が真っ赤になって、
マリア
「あ・あなたは、た・た・隊長・・・失格です!」
そう言い残すと、マリアは厨房から立ち去って行った。
大神
「そんなに恥ずかしがる事も無いと思うけど・・・」
さくら
「でも、これで二人っきりになれましたね・・・大神さん。」
大神
「さ・さくらくん、は・早く甘酒が飲みたいなー・・・あはは・・・」
大神自身、どうも積極的なさくらには弱いところがあるようだ。別にそれがどう、と言うわけでもないのだが。
さくら
「もう、あたしより甘酒が大切なんですか!」
さくらのやきもちは、甘酒にまで抱かれている。
大神
「い・いや、俺はさくらくんの作った甘酒が早く飲みたいなー、っと思ったんだけど・・・」
さくら
「大神さんがそこまで言うのなら、早速作りましょう。」
そして二人は甘酒を作る事にした。
やがて帝劇にある事件が起きるのは、この甘酒が出来たあとの事であった・・・

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