真説・サクラ大戦「花と咲かせよ乙女の意地で」その2



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投稿者: かとおおお @ 202.228.225.68 on 97/12/21 09:48:20

In Reply to: 真説・サクラ大戦「花と咲かせよ乙女の意地で」その1

posted by かとおおお @ 202.228.225.68 on 97/12/21 09:44:53

 大帝国劇場。ついに大神の初舞台の日がやってきた。

「隊長、いよいよだな!」
「ああ。でも、ちょっと緊張してるよ」
「ハハハ、最初は誰でもそうだって。あたいの初舞台の時なんか、緊張でひざがガクガク震えてやがったぜ」
「へえ〜、カンナでもそうなのか」
<ジリジリジリジリジリ…>
「さ、開演のベルだ。行こうぜ、隊長!」

 舞台の幕が開く。
 照明の光を浴びて姿を現したのは、巨大な洋館のセット。それと舞台と観客席の間に、床から天井まで張りめぐらされた大きな金網だった!
「な、なんだ! この金網は!?」
「こんなの稽古の時はなかったぜ!?」

<ピンポンパンポ〜ン>
 由里の声で場内放送が入る。
『皆様、本日は帝国歌劇団・花組の公演にご来場いただきまして誠にありがとうございます。今回の舞台は特別金網デスマッチ! この洋館の中にはお札が百枚貼ってありますが、30分以内にそのお札をすべてはがさないと大爆発がおこります。さあ、この館に迷い込んだ二人の若者は生きて脱出できるでしょうか? 生死を賭けた冒険が今始まります。大神隊長、カンナさん、がんばってネ!!』

「ちょ、ちょっと待ってくれよ!」
「おい! そんなの全然聞いてねえぞ!!」
「あ、危ない、カンナ! うかつに金網に近づくな!」
 シューーーーーッ!!
「アチチッ! じょ、蒸気が吹き出しやがったぜ!?」
「やっぱり仕掛けがしてあったか……。
よし、カンナ、こうなれば仕方がない! お札を全部探すんだ!」
「えっ、本気か、隊長!?」
「ああ。舞台はもう始まってしまったし、それしか方法がないだろう。
 一刻も早くここから脱出するんだ。行くぞ、カンナ!」
「あっ、おい、待ってくれよ!」
 バキッ!!
「ん? ウアーーーーッ!!」
「カ、カンナ!? 大丈夫か!?」
「イテテ……。床が腐ってやがった。
大丈夫だよ、隊長。ちょっと落っこちただけだし……」
「(くそ〜、ここは昨日の通し稽古では何ともなかった所だぞ!)
さ、俺の手につかまって。せーの、でひっぱり上げるぞ!
 せーの!! それっ!!」

「あ〜あ、ちょっと血が出ちゃったよ」
「カンナ……すまない」
「な、なんだよ、隊長。あんたの責任じゃないぜ」
「いや、俺は花組の隊長だ。部下の身の安全を守るのは隊長たるものの一番の努めだ。それを、俺が不注意なばっかりにケガまでさせてしまって……これは俺の責任なんだ!」
「隊長……」
「カンナ…俺はまだ隊長となって日が浅い。経験もあまりないし、おそらくミスもするだろう。だが、わかってほしい…俺の一番大切にしてるのは、君たち花組のみんなだってことを!」
「隊長……あたい、うれしいぜ」
「カンナ……」

 思わず見交わす大神とカンナの目……ちょっといい雰囲気である。
 と、客席から声援が飛ぶ。
「あれ? あのお兄ちゃん、入り口でモギリをやってた人じゃない?」
「お、そうだそうだ。モギリ係のあんちゃんだぜ」
「モギリから主役たァ、えれえ出世じゃねえか」
「お〜い、モギリ! がんばれよ!!」

「(くそ〜、せっかくらぶらぶちっくな雰囲気だったのに〜!)」

 大神の試練はまだまだ続く。