帝都南町奉行所事件帖「怒れ 一郎!」中編



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投稿者: 絶対有敵 @ koto.nsu.ac.jp on 97/12/16 12:28:36

In Reply to: 帝都南町奉行所事件帖「怒れ 一郎!」前編

posted by 絶対有敵 @ koto.nsu.ac.jp on 97/12/16 11:12:50

翌朝江戸南町奉行所・・・・・・
米田:「するってえと、昨夜の赤猫は付け火だってのかい?」
摩里亜:「はい。牢座敷の資材小屋からこの布切れが。」

みると、そこには紋が書かれた手拭いが・・・・・
米田:「よし!こいつの出所を洗い直してくれ!」
同心一同:「ハッ!!」

江戸浅草小料理屋「千鳥」・・・・・
一郎:「すると、昨日の赤猫は付け火だったのか。くそ!許せねえな・・・・・」
一馬:「今、摩里亜と鉋を初め、奉行所総出で手拭いの出所を探してます。」
椿:「ほんとにひどいですね。そんなことするなんて!」
由里:「火事で儲かるのは米屋と材木問屋ね。いやんなっちゃう!」
椿:「それで、真宮寺様。被害のほうは?」
一馬:「幸い風がなかったので家屋への類焼は少ない。だが、あの混乱で
何かなければいいが・・・・・・」
かすみ:「ただいま。あら、一郎さま。ちょうどよかった。」
一郎:「やあ、かすみさん。なんだい?ちょうどよかったって。」
かすみ:「ちょっと来ていただけませんか?」

銀座蘭物屋「長崎屋」・・・・・・・
長崎屋ロベール:「これが先ほど投げ込まれたのだ。」
一郎:「拝借します。・・・・・何だと!?」

手紙:娘イリスを預かった。命惜しくば、500両用意しろ。
なお、役人に知らせれば、娘の命はないと思え・・・・・・

マルグリット:「あああ・・・アイリス・・・ううっ・・・・」
ロベール:「火事騒ぎで混乱してた所、行方が知れなくなっていたが、
まさかこのような事になるとは・・・・・・」
一郎:「なんて奴等だ!長崎屋さん、何か心当たりは?」
ロベール:「いいや、ない。どうしてこんな事に・・・・」

一郎:「まさか、アイリスがさらわれるとは・・・!一馬さん!?」
一馬:「これは一郎さん。いやたまたまこちらで手拭いの行方を
追っていたのですが、一郎さんはどうしてここに?」
一郎:「実は・・・・・・」

吉原・・・・・・・
一馬:「そうですか。長崎屋の娘御が・・・・・」
一郎:「ええ・・・」
一馬:「確か一郎さんは長崎屋の娘と仲がよろしかったようですな。」
一郎:「ええ、まあ。よく遊んであげてたもので。」
神崎太夫:「あら、一郎さま、真宮寺様。ごきげんよう。」
一郎:「ああ、太夫か。・・・・なあ、君の知ってそうな人で、長崎屋に恨み
を持っているような奴は居ないか?」
太夫:「長崎屋さんですか?わたくしは覚えはございませんけれど、
他の人に聞いてみますわ。」
一郎:「助かるよ。よろしく頼む。」

一郎:「さて、これで見つかればいいが・・・・・」
さくら:「あら?一郎さんにお父様!?」
一馬:「おお、さくらに有六か。」
有六:「旦那、わかりましたよ!あの布切れの持ち主が!」
一郎:「なんだって!?本当か?」
有六:「ちょ、ちょっと!一郎さま!く、首締めないでください!」
一郎:「あ・・・ああ!悪い、悪い!」
一馬:「それでさくら、持ち主のほうは?」
さくら:「えーと、新橋の行商人斜牟具蘭です。」
有六:「ところがね。そいつここ数日姿が見えねえんですよ。」
一郎:「待てよ、斜牟具蘭・・・・どっかで聞いたな・・・・」
一馬:「何かご存知で?」
一郎:「ああ!さくらくん、有六。助かったぜ!」

タタタタッタ・・・・・・・

有六:「あああ、行っちゃった。」
さくら:「もう、一郎さんたら、事件の事となるとすぐこうなんだから。」
一馬:「さくら、あれくらいの行動力がなければ、大江戸八百八町は守れんぞ。」
さくら:「はい!じゃあ、あたしも行きますね!」
有六:「ああ!お嬢、待ってくだせい。」

タッタタッタ・・・・

一馬:「やれやれ。我が娘ながら元気がいい事だ。・・・う〜む婿のきてがあるか?」

九段下・・・・平賀屋敷・・・・

紅蘭:「ああ、一郎はん。久しぶりやな。今先生留守やで。」
一郎:「いや、今日は紅蘭に用があって来たんだ。」
紅蘭:「ウチに?なんやろ?」
一郎:「紅蘭。斜牟具蘭って奴の事、前に言ったよな。」
紅蘭:「斜牟具蘭?ああ、シャングランはんのことやな。」
一郎:「そうそう!そいつがこの江戸で何かあったか知らないか?」
紅蘭:「え〜と確かシャングランはんは先生とよく交流があってな。
よく発明品の見せあいっこしてたで、でもなんかだまされて、
行きかたしれずになっとったはずやけど。」
一郎:「だまされた?誰に。」
紅蘭:「長崎屋はんって言ってたけど、まさかな。」
一郎:「長崎屋!?ほんとに長崎屋と言ったのだな?」
紅蘭:「そ、そうや。どないしたん?」
一郎:「紅蘭、ありがとう!じゃあな!」
紅蘭:「ああ、一郎はん!・・・もうお茶くらい飲んでってもええのんに・・・」