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かとおおお @ 202.228.225.71 on 97/12/09 22:40:46
<前回までのあらすじ>
大神一郎は、帝国歌劇団の専業モギリ。単調なモギリの仕事に疑問を抱く今日この頃だった。俺もあの花組のみんなのように華麗な日々を送りたい…。そんな空想を描く大神の前に現れたのは……。
「あらあら、なんて顔してるの?」
「あやめさん! その軍服姿は!?」
「おいおい大神、おれたちが軍服着てちゃおかしいか?」
「よ、米田支配人まで!?」
「大神くん、わたしたち次回の公演に出ることになったの。支配人が帝撃の総司令官、わたしがその副司令の役よ。よろしくね」
「だあ〜っはっはっは。又丹の野郎がよ、どうしても出てくれっていうもんだからよ」
「これから打ち合わせなの。大神くんもモギリのお仕事がんばってね」
「おう、大神。サボルんじゃねえぞ! だあ〜っはっはっは」
「ガガァ〜ン! そ、そんなァ〜」
一人茫然とする大神の図。
「もしもし、大神さん! 聞いてますか?」
「えっ? あ、椿くんか。すまない。ちょっとボーッとしちゃって…」
「すみません、大神さん。かすみさんから頼まれたんですけど、このポスター貼るの手伝っていただけせんか?」
「ああ、いいよ。どこへ貼るんだい?」
「それは、大神さんにこのポスターを見てもらってから決めてくださいって」
「へえ、なになに…。
団員公募ノ告知。
帝国歌劇団デハ次回公演ノタメ、新タニ団員ヲ募集スル。
詳細ハ下記ノ如シ。
記
募集人員 一名
配 役 帝国華撃団花組隊長
つ、椿くん! これはだれが窓口なんだい!?」
「え〜と、たしか由里さんだったはずですけど……。
あっ! 大神さんどこへ行くんですか!? 大神さ〜ん!」
「由里くん! このポスターのことだけど!」
「アハァ、大神さん。やっぱり来た来た」
「えっ!? やっぱりってどういうことだい?」
「かすみがポスター貼りに行こうとしたら、米田支配人が来て大神さんにやらせろって。そうしたら大神さん血相変えて飛び込んでくるからって。そのとおりになったわね」
「………………」
「あの…、大神さんが隊長役を引き受けて下さったら、わたしたちもポスター貼ったりする手間がはぶけて助かるんですけど…」
「えっ、かすみくん。本当にいいのかい?」
「ええ、でも一応テストみたいなのがあるんですが、どうされますか?」
「もちろん受けるよ。必ず通ってみせるぞ!」
これでモギリの仕事から解放される……と甘いことを考える大神であった。
(続く)
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