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投稿者:
俺熟ン @ proxy2.lsil.com on 97/9/21 06:55:53
In Reply to: Re: やはりBOSEでしょう。
posted by NSR-Jr @ cse2-1.tokyo.mbn.or.jp on 97/9/21 06:05:20
実は私は中学生のころから現在のオーディオという趣味のあり方、メーカーのオーディオ
機器の開発方法に常々疑問をもっている。オーディオというと「金がかかって高尚な趣味」
というイメージがあるが、こういうイメージを持った他の趣味と比較して、これほどいい加
減な趣味はないのではないか。何がいい加減かというと、オーディオの究極の目標である
「良い音」という定義が明確に設定されていないにも関わらず、メーカーもユーザーもこれ
が良い音だ・悪い音だと云々言っている点である。
「良い音」を定義するのに、多くのメーカーやユーザーは「原音に限りなく近い音=Hi
−Fi」という至極当然の定義をしている。しかしこの定義を深く考えれば考えるほど、実
に意味不明の定義であることが見えてくる。例えばCDを再生した際の「原音に近い音」と
は何か。これは実際のコンサート会場等の音となる。しかし、そのCDを聞いて良い音だ・
悪い音だと評論する人に問いたい。そのCDを録音した会場にいたのかと、またどういう方
法でCDの音と実際のコンサート会場で聞いた音を客観的に比較したのかと。一方オーディ
オ機器のおいてある部屋で楽器をならし(原音)、それを録音・再生したものとをリアルタ
イムで比較する方法があるではないか、と仰る方がいるだろう。しかしこれで得られる答え
は、似ても似つかない音が出るということだけである。楽器はその材質1つで音が変化す
る。バイオリンに何億という金額が付くのはそのためである。しかしオーディオの世界では
コーン紙1つでベースからピッコロの音まで出そうというのだ。物理的に不可能なのは明ら
かである。嘘だと思うなら人をスピーカーの間にたたせて発声した音を録音し、それを再生
するという簡単な実験をしてみたらわかる。帯域の狭い人間の声さえまともに再生できない
のだ。
ところが実際の音に対する評論は、「良い音」という目標を達成するための困難さが分か
っているためなのかそうでないのか「定位感のある音」とか「伸びのある音」とかという目
標達成にはあまり関係の無い言葉で表現・評価されている。しかもそんな音はよほど特殊な
環境に無い限り聞くことはできない。コンサートへ行ったことのある人はわかると思うが、
音の定位感など明確に感じとれないはずだ。つまり現在のオーディオは「良い音」=「原音
に限りなく近い音=Hi−Fi」という不明瞭且つ実現不可能な定義をし、それを目指すこ
とを目標に掲げながら、実際には「定位感のある音」(またしても不明瞭な定義である)と
かいうほとんど存在しない音に対して答えを求める方向に走っている。もう滅茶苦茶であ
る。「Hi−Fi=自分が勝手に理想化した音」なのだ。こう考えるとオーディオほど理想
と現実とのギャップを埋める解決の方向性が乖離した趣味も珍しい。
もう一度問う、「良い音」とは何か。実はこれを会社創設当初から明確に数値化して定義
しているメーカーが存在する。しかも今までの定義とは全く異なっているのだ。これはアメ
リカのスピーカーメーカーの「某ーズ」というメーカーで定義したもので、その内容をかい
摘んで言うと「良い音というのは適度な反射音(残響)をもった音で、音源から直接耳に入
ってくる直接音と、何かに一度反射して入ってくる間接音の比が1:9である」というので
ある。実際、カラオケでエコーをかけると下手な歌でも綺麗に聞こえるし、コンサートホー
ルでは残響の効果が非常に重要視されている点からもその主張はうなずける。さらに多くの
スピーカーメーカーは反射音のことを半ば無視して開発しているが、そんなスピーカーを使
用しているオーディオマニアはものすごい音量で音楽を聴くことが多い。これはより良い音
とするために部屋の壁からの反射音を無意識のうちに求めているためでもある。
上述の「良い音」の従来定義と某ーズの定義は「良い音」に対する理想の定義が異なって
いるため相いれない部分が多くあるし、今まで「自分が勝手に理想化した音」に慣れ親しん
でいると、極端に定位感等のない音に聞こえる。しかし、もしあなたが現在のオーディオの
あり方に対して疑問や問題意識をもっているならば、それを解決する最適な解の1つとなり
うると思う。
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