第二幕



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投稿者: ditto @ ykha065.tky.3web.ne.jp on 98/3/08 00:49:12

In Reply to: 第一幕

posted by ditto @ ykha065.tky.3web.ne.jp on 98/3/08 00:46:49

(第二幕)
−翌日−
河原は野次馬でごった返している。

平次の子分・ハチ「どいたどいたどいたい!平次親分のお通りだい。」
目明かし・平次親分(以下)「ハチぃ、久々の事件で腕がなるよなあ。」
ハチ「へい。あのまま忘却の彼方に置き去りにされなくて良かったでやすね。」
「あたぼうよ!天は正しき者を照らすって言うだろうが。」
ハチ「正にその通りでやす。」
「おっと、こうしちゃいられねえ。行くぞハチ!」
ハチ「合点だい!」

同心・橋本(以下)「財布から金が抜き取られている。物取りの仕業かもな?」
「橋本の旦那ぁ!もう、お越しでやしたか。」
「おお平次か、待っておったぞ。」
ハチ「雪の積もった朝なのに、ご苦労なことでやすね。」
「我等同心、これが役目。雷が落ちようが、雪が積もろうが事件とあらば、即刻駆けつけるべし。」
「さすがでやす。ところで、仏さんは?」
「そこにいる。」
「...?体の骨がバラバラだ。しかし刀傷が何処にもない。」
「金がない。物取りの仕業と見受けられるが、どう思う?」
「へい。確かに金は盗られているようでやす。しかし、仏さんの形(なり)からして、傍目には金を持っているようには見えやせん。物取りが目的ならそんな男を襲うとは思えやせん。」
「とすると、物取りに見せかけているのは偽装か?」
「へい。そう考えるが筋かと。」

義一(以下)「真吉、真吉!どうして、こんなことにぃ...。」
「そなたは?」
「へい、秋葉原でパーツ屋を営んでいる義一と申します。この仏は、うちの手代の真吉でございやす。」
「そうか。身内の不幸、痛々しいことであろう。」
「さっきから話をしていたんだが、物取りの仕業ではないようだ。しかも、刀ではなく絞め殺されている様子、二人が近寄っていないとできないような殺し方だ。これから察するに、犯人と仏さんは互いに顔見知りと思われる。義一っあん、犯人に心当たりはねえかい?誰か真吉に恨みを持つ奴は?」
「とんでもねえ。真吉はお調子者ではありやしたが、憎めない性格。恨みを買うようなことはありやせん。」
「そうか。最近は辻斬りの噂もとんときかぬしな。事件は迷宮入りか?」

ゲーマーの金治(以下ゲ)「おっとごめんよ。通してくんな。」
「こ、これは、おぶ...。い、いや金治、相変わらず嗅ぎつけるのが早いようだな(^_^;)」
「まったく、こんな下々の事件にまで首を突っ込まなくても良いのによう。」
「橋本の旦那。事件はいったい?」
「あ、ああ、斯斯然々というわけである。」
「そうですかい。」
「物取りの仕業じゃねえと思うが、どうだい?」
「確かに、親分さんの言うとおりと思いやす。とすると、何で殺されたのか?仏さんが生きていると不味いような事が起きたか...。」
「先程も申しましたとおり、人に恨みを買うような男ではありやせん。」
「ふうん。なら、なんかの拍子で秘密を知っちまったかだな。義一っあん、ここ数日で何か変わったことは?」
「金治、それは俺達の仕事だ。あまり首を突っ込むない!」
「こ、これ平次!一応は、口を慎まんか!」
「へ、へい...。」
「特に変わったことなどは、ありやせんでした。ただ昨日、行商の親子が尋ねてきただけで、それも特に真吉と口を交わしていたわけでもありやせんし。」
「そうかい、弱ったな。一度真吉の交友関係を洗ってみる必要があるな。」
「ではそれは、おい平次!」
「へえい。」
「聞いていたろう、真吉の交友関係を洗出すのだ。」
「わかりやしたよ(まったく金治の出しゃばり野郎めい)。ハチ行くぞ!」
ハチ「へい。」
「...大事件に発展しなければ良いがな。」