第二幕



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投稿者: ditto @ ykha112.tky.3web.ne.jp on 98/2/14 01:51:28

In Reply to: 第一幕

posted by ditto @ ykha112.tky.3web.ne.jp on 98/2/14 01:48:38

(第二幕)

「なんだ?荷車の音がするな。今頃、集荷でもあるまいに。」
「おっと、どいたどいたどいたい!轢き殺されても知らねえぞ!」
「な、なんだあ!?大八車が!あ、あぶない!」
子分A/B/C「ひええ〜」
ズッシャーン!
大八車は、まるで血祭組を標的にしたかのように、突っ込んで来た。そして道を外れるや否や、大きな音をたてて横転した。

「こ、このぉ!もう少しで大怪我するところだったじゃないかあ?」
「...」
「なんか言わんか、片目にパッチ付けたお兄いさんよう!」
「あっしには関わりのねえ事でござんす...。」
子分A「なんだとう。こんな危険な目に遭わせておいて、その言いぐさはねえもんだろ!」
バシュ!
子分A「うぐ!」
「また、つまんねえ物を斬っちまったかい...。」

「ぬうう...貴様只の三度笠ではないな!?」
子分B/C「も、もしや噂のパープルムーンでは?」
「な、なにいぃ!や、約束の刻限より早いではないか!」
雇われ用心棒其の壱・居合い抜き三兄弟長兄・鉄「ちょこざいな!どぉ!」
鉄の太刀を躱わして、近くの木の枝に飛び乗ったその三度笠は、度姿着を脱ぎ捨てた。
「な、何奴!?」

「ハハハ、ある時は片目の運転手、またある時は女・木枯らし紋次郎、そしてまたある時はやんちゃな町娘、更にまたある時は美少女剣士、而して其の実体は!?



バニーフラッシュ!
愛の戦士・キューティバニーさ!
(作者注:一応、キューティバニーの衣装は旧・キューティハニーのそれとほぼ同じだと思って下さい。ただ一つの特徴は、頭にバニーの耳付きヘアバンドをしてること位かな(^_^;)

「キュ、キューティバニー...(¨;)」
愛の戦士・キューティバニー(以下)「すでにパープルムーンは時代の孤児。人々は新たなスーパーヒロインを求めてる。それに応えてキューティバニー登場!
あなたの常識、変わるわよ!」
「...お、おい、お前達!これをどう思う?」
子分C「へ、へい。これはでやすね。マイナーチェンジして、その度に変わった衣装と小道具を子供達に買わせようという商業戦略なのでは?」
「違ーーーーーう!」
「何でもいい!さっさと片づけてしまえ!」

雇われ用心棒其の四・鎖鎌の玄太「こやつくらい拙者一人で充分でござる!わが自慢の鎖鎌受けてみよ!」
ビュッ!玄太の鎖鎌が、木に泊まっているバニー目掛けて一直線に飛んでいく。
「たあ!」
バギッ!
鎖鎌は、見事に木の枝をへし折ったが、バニーはそれを難なく躱わして着地。そして忍ばせていた剣をかざし、
「さあ、どっからでも相手になるわよ!」
玄太「ええいこしゃくな!」
鎖鎌を振り回しながら、バニーにねじり寄る玄太。
その動きを見極めながら冷静に構えるバニー。
玄太「どう!」
玄太の鎖鎌は、バニーを巻き込むかのように弧を描いて飛ぶ。
「我が剣に斬れぬ物無し!烈光斬鉄剣!
ジャキーン!
バニーの剣は枝の部分に当たる鎖を切断!そのためバニーを巻き込もうとした頭の部分である鎌は、円弧軌道を外れて大きくあさっての方向へ飛び散った。
玄太「馬鹿な!儂の鎌をいとも容易く切り落とすとは!なんてやつだ!」
「ふふ、たいしたことではない。」

雇われ用心棒其の伍・棒術の空伍「図に乗りおってい!」
空伍の如意棒がスルスルと伸び、バニーを襲う。
「いええい!閃光真裂斬!
パカっ!
空伍の如意棒はまるで竹を割ったかのように見事に真っ二つに裂かれた。
空伍「ぬぬぬ、なんと!?」
「まだまだ序の口よ!」

雇われ用心棒其の六・三節棍の李「拙者三節棍の李と申す!今度は拙者がお相手いたす。」
「自ら名乗るなんてなかなか律儀だな。まるで戦国武士のよ...!はっ!」
シュッ!
居合い抜き三兄弟末弟・音がバニーの背後から斬りつけたのだった。
間一髪!バニーはかろうじて躱わし、難を逃れた。
「こ、この卑怯者め!正々堂々、真っ向勝負をしないか!」
「ケッケッケ、卑怯者とな?これは笑いが止まらないねえ。」
「なにい!貴様ら武士道を知らないのか!」
血祭組全員「...、...(ぷっ)、わはははは!」
「何がおかしい!」
「ヒッヒッヒッ、聞いたか?この小娘、格好だけじゃなく、頭もいかれているようだぞ。」
「な、なんだと!?(-_-#)」
居合い抜き三兄弟次男・観「へへへ、ここはなあ道場じゃねえんだ。闘いに決まりはねえ。背後から襲っても、何人でかかっても、どんな小道具を使っても自由なんだ。」
「(うっ...)(-_-;)」

その時、バニーのヘアバンドに付けた耳の片方が、真ん中やや根本辺りから切れて地面に落ちた。
「!?」
さっき、音の太刀を躱わした時に斬れたようだ。余分な体力を消耗しないよう、最小限の動きで躱わしていたため、ヘアバンドの耳の長さまでは計算に入れてなかったのだ。もちろん模造だから、切れても痛いはずはない。
が...、その様を見たバニーは凍りついてしまったかのように動かない。
「そ、そんな...(-_-;)」
彼女にとっては、とてもショッキングな出来事だった。なぜなら、彼女はまだ真剣で物が切れるという現象(正確には身につけている物が切れるという現象)に出くわしたことがない。道場や塚原との稽古は全て竹刀、真剣を使うことはあっても寸止めがきまりだったのだ。
人は何故か悪い方悪い方へと想像を働かせる事が多い。今の彼女もそうだった。もしもまた背後から襲われたら躱わしきれずに首が落ちてしまうかも、それに武士道のかけらもない奴らだ、どんな卑怯な手を使ってくるかもわからない...。このように考えてしまった彼女は、焦り始めていた。そして自ら得体のしれない恐怖の中に落ちていったのだった。

観「隙あり!」
シュッ!
迷想に陥ったバニーの隙を見て、観は斬りつけた。
「ハッ! いやあぁぁぁぁぁ!」
今までのかけ声が、徐々に悲鳴に変わりつつあるバニー。さすがに太刀を躱わすことはできたが、いままでよりも動作は格段に大きくなっていた。少し動けば簡単に躱せるようなものだったが、恐怖心に煽られた今は無駄に大きく躱わしているのだった。これでは体力は長く持つはずはない。
鉄「ふふふ、焦っているようだな。」
シュッ!
「ヒッ!」
音「小娘の力で儂らに刃向かおうとするのは、百年早いわ!」
シュッ!
「キャッ!」
先程までの自信は何処へやら、今のバニーはまさにただの小娘と同じだった。なんとか攻撃を躱してはいるが、無駄な動きで体力を激しく消耗したため既に足下はふらついていた。

玄太「でやっ!」
ジャリッ!
鎌を落とされた玄太だが、残った鎖をバニーの剣に巻き付けた。
「し、しまった!」
シュル...スポーゥン
玄太が勢い良く鎖を引っ張ると、汗で濡れていた柄がバニーの手から滑り抜けた。
「あああ!」
唯一の武器を奪われ、体力も激しく消耗しているバニーは、既に戦えるような状態ではなかった。
絶体絶命か!?

「待て待て待て待て待てぃ!!!」
「なんだなんだ!?」
「貴様らの相手、この塚原莫山がいたす。」
「爺!」
「おお、姫様。なんという無茶を!」
「こ、これはだな...」
「(姫?) なんかまた、おかしな奴が出てきたな。」
「ええい黙って聞いておれば言いたい放題、許せん!この塚原、老いたりと言えど長刀の腕に衰えはない。貴様らの5人や6人、ものの数ではないわ。さあ、かかって来るがよい!姫様に指一本触れさせぬぞ!」
自慢の長刀をぶん回して意気上げる塚原。

だが...
「おい、お前達!爺の活躍が見たいか?」
子分B/C「いいや。遠慮しやすです(^^)」
「ケッケッケ、という訳だ。早々に片づいて貰おう。」
「なんと!この侮辱、百倍にして返してやるわ!」
「ケッケッケ、もう遅いよん。」
ズザアアアァァァ。
突然、バニーと塚原が居る場所の四方から砂埃が舞い、蜘蛛の巣状に張られた網が地面から浮かび上がった。
「あああ!」
「おのれ!卑怯なり!」
その網に二人は絡め取られ、あっと言う間に木に吊されてしまった。
「ヒッヒッヒッ、実は事前にこれを準備していたのだ。この仕掛けで最初から捕まえても良かったのだが、なんせそちらの小娘の気合いが妙に入っていたのでな、つい作動せずに付き合ってしまったのだ。でも、さすがに爺のは勘弁被りたいのでな。ケッケッケ。」
「無念でござる...。」
「爺...登場の仕方は格好良かったけどさ、...一体何しに出てきたのよ(怒)」
「ケッケッケ、もう仲間割れかな?
  さてと、こぶ付きだがパープルムーンも捕まえたことだし...」
「だから違うってーのに(-_-#)」
「だれがこぶじゃい(怒)」
「引き上げだ。もうここには用はない。」
子分B/C「こいつらはどうしやす?」
「小娘の方は、那蔵様のところへ連れていくが、爺の方は斬って捨てろ。」

「待ちなさい!」
「こ、今度は何!?」