第三幕



[ このメッセージへの返事 ] [ 返事を書く ] [ home.html ]



投稿者: ditto @ ykha112.tky.3web.ne.jp on 98/2/14 01:54:27

In Reply to: 第二幕

posted by ditto @ ykha112.tky.3web.ne.jp on 98/2/14 01:51:28

(第三幕)

乙女盛りに命を懸けて 風に逆らう 淑女一人 花と散ろうと 悪を討つ!
人呼んでサターンの星・パープルムーン参上!!



「サターンの星・パープルムーン!?(¨;) で、ではさっきのは!?」
「だから違うって言ってるじゃないかあ。」
「ぬぬぬ、なんとなんとぅ!」
サターンの星(以下)「悪のはびこる闇世に救いを求める声あらば、必ずや紫の月現る!!
血祭組!予定時刻きっかり、望み通りに来てあげたわよ。」
「予定時刻きっかりだと?そんなはずは...そうか、あの小娘が乱入してきたのでわからなくなっていたのだな。」
「さあ、その人たちを離しなさい!」
「これはパープルムーン殿。忝のうござる。先日の非礼、平に。」
「爺、こやつに頭なぞ下げんでもよい。」
「姫!この際致し方ありませぬ。」
「...まあ、好きにすると良いわ。」

「ケッケッケッ、パープルムーンとやら。飛んで火に入る夏の虫とはお主のことよ。わざわざ殺されに来るとはな。」
「ふふ、その台詞そっくりそのままお返しするわ。わざわざ私の怒りを買うようなことをしたあなた達にね。」
「しゃらくさい!おい、お前達片づけてしまえ!」
雇われ用心棒壱〜六「おう!」
居合い抜き三兄弟の鉄・観・音が剣を構える、玄太は鎌を再び鎖に繋いで振り回す、空伍は新たな如意棒を手にする、李は奇声を発しながら三節棍をくねらせる。
それに引替、パープルムーンはいつものように何の武器も持たずに素手で構える。

「ヒッヒッヒッ、どうしたパープルムーンとやら。武器は無いのか?」
「私はこのままで充分。」
「(パープルムーンめ、本当に素手だけで闘うつもりなのか?...)」
「(無茶でござる...)」
「ほざきおったな!目にものを見せてやれ!」
鉄・観・音「どおりゃ!喰らえ三位一体攻撃!
その攻撃名の通り、居合い抜き3兄弟は、三方向からほぼ同時に斬りかかった。

「私がいつも素手で闘うのを訝しがる人もいるけど、例えばこういう場合...。」
ビシッ!
バシッ!
ドガッ!
鉄・観・音「うおぉぉぉ!!!」
見事な三位一体攻撃を見せた三兄弟だったが、パープルムーンは剣を軽く躱わすとすかさずカウンター攻撃で、あっと言う間に3人を仕留めた。
「な、な、なんてやつだ...。」
すなわち、右方向から斬りかかる観には右手刀で、左方向から斬りかかる音には左アッパーで、正面から斬りかかる鉄には右足蹴上げで、それぞれ相手を倒したのだった。この間、わずか一刹那(1/74秒)たらず。
「と、とても人間業ではござらぬ...。」
「剣を持っていては、それで両手を塞がれてしまうから、こういった芸当はできないものね(^^)」
ズダッ!(パープルムーンにカウンター攻撃を喰らって硬直状態になっていた三兄弟が、地面に崩れ落ちる音)

「私が武器を持たないのは、他にもまだこういう理由があるのよ。タアッー!
「ナッナッナッ(~_~;)!?」
パープルムーンは、いきなり罵蔵の腕を掴むと、残る三人の用心棒達目掛けて投げ飛ばした。
玄太・空伍・李「う、うわあ!」
ザブーン!ザブーン!
投げられた罵蔵を避けきれず、惨めにも川に転落する用心棒達。
玄太・空伍「うわっぷ、あっぷ、あぷう...。」
「一人で複数の敵を相手にする時は、敵を投げて敵同士ぶつけるのが有効なのよ。これも両手がふさがっていては出来ない芸当ね。いちいち武器を置いたり拾ったりするのは面倒臭いもの(^^。」
「ううむ、さすがはパープルムーン殿でござる。(_ _ )」
「爺、変なことで感心するんじゃない!」

李「ええい、このままでは格好がつかぬわ!」
ただ一人難を逃れた李だけが、三節棍を振り回しながらパープルムーンに襲いかかる。
李「アチャアー!」
しかしこれは誰が見ても無謀...
    バギッ!
o(`_') o / ★ / #|\ (・_°)

パープルムーンの蹴りは、ものの見事に三節棍をへし折った。そして呆気にとられる李の腕を掴むと、ようやく川から這い上がってきた玄太と空伍目掛けて投げつけた。
ドシーン!!!
玄太・空伍・李「うぎゃ...あ...」
用心棒達は今度こそ仲良く三人とも伸びてしまったのだった(情けない用心棒やな...(^_^;))。

「やっぱりこういうときは投げに限るわね(^^)。でも、私が素手で闘う一番の理由は...」
ズザアアアァァァ。
突然、パープルムーンの立っている場所の四方から砂埃が舞い、蜘蛛の巣状に張られた網が地面から浮かび上がった。
「!」
そしてバニーや塚原と同じように、パープルムーンも網に絡め取られ、あっと言う間に包み込まれるようにして木に吊されてしまったのだ。
「ヒッヒッヒッ、実は罠は一つじゃなかったのだよん。」
「パープルムーンの馬鹿!調子に乗って格好つけすぎよ!」
「ケッケッケッ、無駄だ無駄だ、もがいても無駄だ。網は伸縮性があるから切れはしない。」
「...」
「さてと、今度こそパープルムーンを捕まえたぞ。おい、お前達!パープルムーンを那蔵様の下へ連れて行きたいが、何かとやっかいな小娘だから、少し袋叩きにして痛めつけろ!」
子分B/C「はいでがす!」
待ってましたとばかり、隠れていた子分達が手に棒を持ち、パープルムーンに迫る。
子分B/C「覚悟しやすです!」
しかし、その時突如として彼女を捉えていた網ごと高速で回転し始めた。その様はまるで、ゴム巻きのプロペラのような回転だった。彼女は無駄にもがいていたわけではなく、体を捻らせるようにして、網自体を巻いていたのだった。
子分B/C「うわあでがす...。」
その回転の渦に飲み込まれた子分達は絶叫し倒れていった。そしてついには、網と木の枝を結わえていた綱を摩擦ですり切ってしまったのだ。網から解放されたパープルムーンは、体をねじりながら綺麗に着地、何事もなかったかのように平然と構えた。
「ヒッ...」
「姑息な手段を使うようね。でも相手が悪かったわね。」
「ヒィィィ!!!」
「ヤア!」
一本背負いで地面に叩きつけられた罵蔵は、あっけなく伸びてしまった。
「素手で闘う一番の理由はね、むやみやたらと刃物を欲しがる連中へのアンチテーゼ...。」

「さてと。」
ビュッ!パープルムーンは、バニーと塚原を捕まえていた網を切った。
ドサッ!
「あ痛っ!」
「あいたたたでござる。」
「...随分無茶をしたものね。でもこれに懲りて、妙な格好ではしゃぎ回るのはやめになさい!」
「ふん!貴方に言われたくはないわ!それに助けてくれだなんて頼んだりしていないもの。」
「姫、ここは素直に謝辞を述べるのが礼儀でござる。」
「礼などは要らないわ。私が言いたいのは、無謀なことをやめて欲しいだけ。貴方にもしもの事があれば、悲しむ人は大勢居るでしょう?例えば、お父さんとかお母さんとか。」
「どうだか!所詮、わらわのことなど跡取りを迎えるための道具としか思っていないのじゃ!」
「な、何と言うことを!そのようなことが旦那様や奥方様の耳に入りでもしたら、嘆きかわされることしかり。」
「(ツカツカツカと綾に近寄って)
  (`_`)ノ゛ピシッ!
「あっ!」
「こ、これ姫に何をする!」
「甘ったれるんじゃないわよ!一人で生きてきたつもりでいるの!?」
「...」
「城の中で何の苦労もせずに育てられたのは、一体誰のお陰よ!貴方の両親のお陰じゃないの。おまけに、こんな危険なことを好き勝手やって、両親に悪いと思わないの!」
「ご、ごめんなさい。」
「私なんか、私なんか本当の親の顔も知らないのに...」
「...わ、わらわには死に別れた双子の姉がいたのじゃ...。
「!」
「姫、どこでそれを!」
「随分前のこと。悪いとは知りながらも立ち聞きしてしまったのじゃ。」
「ひ、姫様...。」
「わらわは聞かん子じゃが、姉は大人しくて利発だったそうじゃ。ところが生後六ヶ月を過ぎたある日、城に賊が押し入り二人とも誘拐されてしまったのじゃ。賊は多額の身代を要求してきたが、父は藩主たる者が賊に屈することできぬと突っぱねてしまったそうな。」
「...」
「しかし父が突っぱねることができたのも、実は賊の居場所を既に掴んでいたからなのじゃ。夜、賊が寝静まった頃合いを見計らって、わらわと姉を奪い返すために襲撃をかけたそうじゃが...、その結果...姉は命を落とし、わらわだけが助かった。」
「なんてこと...」
「もちろん、その頃のこと覚えているはずがない。立ち聞きして、はじめてわかったことじゃ。しかしそれ以来...わらわのじゃじゃ馬ぶりを父や母が嘆く度に、生き残るべきだったのは、わらわでなく姉の方なのではと思うようになり、つい父に反抗するようになっていってしまったのじゃ。」
「姫様、お痛わしや。人知れず、悩んで居られたのでございますな。申しわけござらぬ。この爺、気付きませなんだ〜。」
「可哀相に...悩んでいたのね。」
パープルムーンは、綾の頭を軽くなでて慰めた。すると
「(グスッ…T^T)」
今までずっと泣くのを我慢していた綾は、彼女の胸で泣き崩れていった。

「でもね...子のことを思わない親はいないのよ。」
「...わかった。」
「もうこんな真似しないと誓える?」
「うん!貴方の闘いぶり見ててわかった。とてもあたしにはあんな芸当は出来ないって。」
「そう。」
「ありがとう。お陰で目が覚めたわ。...でもなんか、パープルムーンさんて、あたしのお姉さんみたい...。ねっ、これからお姉さんと呼んで良い?」
「え!?...ええ」
「やった!...お願いついでにもう一つ...。」
「何かしら?」
「その仮面の下の素顔が見たいの。きっと美形なんでしょうね?」
「だ、だ、だめよ!これは!(+_+)」
「もしかして爺がいるのを気にしてるの?それならば大丈夫よ、もうすぐ、くたばるから(^^)」
「姫!それはあまりにも惨いことでござるT^T」

御用だ!
御用だ!御用だ!
御用だ!御用だ!御用だ!

「あっといけない!金さん呼んだんだった(なんせあたしが置き手紙してるし)」
「マズイでございます。隠れましょう。」
「そ、そうね。」
「では!私はこれでさらば、ごきげんよう!」
「あっ!行っちゃったあ。」
「大したおなごでございましたな。一体正体は何者でございましょうや?」
「あ、ああ...」



「御奉行!あそこに何人か人が倒れています!」
「あ、あれは!(-_-;)」

「倒れているのはどうやら血祭組のようです。パープルムーンの仕業と思われますが。」
「そーかそーか、ふむふむ(^^)」
「御奉行!なにやら嬉しそうですでございますな(^^)」
「ば、馬鹿を申せ!ええい、とにかく血祭組の連中を引っ捕らえよ!」
「はは!」
「(相も変わらずやってくれるな朗のやつ...)」

「御奉行!」
「なんだ!?」
「このような札が、こ奴の上に!」

この者血祭組副首領

「なに!よし、こ奴に首領の居場所を吐かせい!」
「承知いたしました!」
「今すぐだ!今夜中にケリをつけるぞ!」