第一幕



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投稿者: ditto @ ykha112.tky.3web.ne.jp on 98/2/14 01:48:38

In Reply to: サターンの金さん 第47回

posted by 金さん製作委員会 @ ykha112.tky.3web.ne.jp on 98/2/14 01:47:15

第46回まで:血祭組により抹殺宣言を受けたパープルムーン。金治は、朗は、綾は、平次は、そして奉行所は、どう動くのか?それぞれの企みが交錯する中で、予告の時は間近に迫っていた。

(第一幕)

−日の出桟橋・夜四つ半(午後11時頃)―

与力・脇坂(以下)「よいか抜かりはないな!儂が合図を出すまでは、隠れて居るのだぞ。」
同心・森「心得てございます。」
同心・小沢「ところで御奉行はどちらへ?」
「うむ、芝浦桟橋の方へ行かれておる。橋本と加藤が一緒だ。」
小沢「左様でございますか?ところで竹芝桟橋の方へは誰も行ってはおらぬのですか?」
「当たり前過ぎて、対象から外してしまったのだが...。」
森「拙者、妙に胸騒ぎがしてござる。」
「...うーむ。裏の裏をかかれるということは確かにあるが...、いやいや、儂の経験則で言えばそんなことはあるまい。余計なことに気を回さんでもよい。それぞれが持ち場を離れるでないぞ。」
森・小沢「は!」

−一方・芝浦桟橋・同刻−

同心・橋本(以下)「御奉行全員配置に付きました。」
サターン町奉行・遠山金三郎(以下)「...」
「御奉行!」
「(*_*)おわっと!脅かすでない!」
「こ、これは申しわけございませぬ。しかし、どうされたのでございますか?あまり元気がないような...。」
「ううむ、(気が進まないだけだけど)どうも寝不足でいかん。」
同心・加藤「また夜更かしでございますか?それは体に毒でございますぞ。ここはひとつ拙者らに任せて、休憩でもなされてはいかがでございますか?」
「気遣い済まぬ。そうだな...言葉に甘えるとしようか。ちと、そこの休憩所で休んでおるからな。何かあったら報せるのじゃぞ!」
・加藤「はは!」

「まったく脇坂も甘いな。こんな所であるはずがないだろ。奴ら裏の裏をかいて竹芝桟橋に居るだろうて。さてと俺は今のうちに抜け出すとするか。... ん?」
遠山が普通の町人着に着替えようとした時、一枚の紙切れが舞い落ちた。
「!こ、これは...。」

−一方・竹芝桟橋・同刻−

目明かし・平次(以下)「まあ、野次馬共がよくもまあ集まったもんだな。」
子分・ハチ「暇な人が多いんでやすね。」
「ああ、しかも下衆な瓦版屋が多い。まったく芸能記事かなんかと間違えてやがる。どうにかしてるぜ!」
ハチ「まったくでやす。ところで、ここの場所で間違いはねえんでやすか?」
「ああ、普通桟橋と言えばここ竹芝だあ。」
ハチ「しかしそれじゃあ当たり前すぎて、すぐに突き止められちまうんじゃあ?血祭組の連中だってそれぐらいは考えているはずでやすよ。」
「だからおめえは浅はかだってんだい!いいか、当たり前ってところは見逃しやすいもんだ。証拠に見ろ!奉行所だって来てねえだろ。当たり前すぎて盲点になってるんだよ。奴らそこを巧妙に突いて来たんだよ。しかしだな、この平次親分の目はごまかせねえぞ!」
ハチ「誤魔化されなかった野次馬も多かったんでやすね。」
「...」
大工の源さん「平次よう。やっぱりここかい。」
「おう!源さんに徳さん、それに辰次郎まで!」
鳶職・徳さん「まあたまには夜の海辺もいいもんだわな。」
町火消し・ゆ組の辰次郎(以下)「???」
「おう、どうしたい辰?」
「なに、奉行所連中の姿が見えねえ。ひょっとしたら、ここじゃねえんじゃねえか?」
「はんだ。心配するこたあねえ。どうせ奉行所の連中には、わからなかっただけよ。」
「(奉行所に雇われているくせに、とんでもない口たたくな...)しかし、あの名奉行遠山様がいるじゃねえか。」
「いたっていなくたって同じよ。」
「そ、そうかい...。」

沼津の半次(以下)「さあてと、ここなら眺めはバッチリってもんでぇ。」
素浪人・花山末吉(以下)「儂は道場開設で忙しいんだぞ。まったくこの馬鹿たれめが、儂をこんなところに呼び出しおってぃ。」
「まったく意地っぱりなことこきゃがって。わざわざついて来たってえことは、見てえからだろうが。」
「沼津のぉ、何か言ったか?」
「へへ、なんでもありゃしねえよ。」




−同じ頃・江戸橋−

血祭組首領・那蔵(以下)「ロォーンブローゾー!ふふふ、まさか奴ら指定した"さんばし"がこの江戸橋とは気付くまい。」
子分A「首領!どうしてここが"さんばし"なんでやす?」
「ふふふ、よく見るのだ。二つ向こうの橋が一石橋、一つ向こうの橋が二本橋、つまりここが三番目の三橋なのだ。」
子分B「さすがは首領!しかし、パープルムーンもここに気が付かなかったらどうするおつもりで?」
「その時はパープルムーンが我等に恐れをなして来なかったと言いふらせば良いのだ。」
子分C「首領は、悪知恵では誰にも負けないでやすね。もしかして、最初からそれを狙っていたとか(^^」
「...、...ロォーンブローゾー! 不注意な言動には気をつけるのだ!」
子分C「す、す、すいやせん。」
「詰まるところ謎解きができなければ、パープルムーンなどとるに足らぬ奴なのだ。わかったか!」
子分A/B/C「へい!」

「さてと指定した真夜九ツ(深夜12時)まであと四半時(約30分)だな。ロォーンブローゾー!ぬかりはないな!」
子分A/B/C「はいでがす!」
雇われ用心棒達「いつでも構わぬ。さっさと済ませてしまおう。」
「頼んだゾ!ところで儂は、重要な打ち合わせがこれからある。成功報酬も受け取らねばならぬのでな。あとの指示は、この罵蔵から受けるがよい。」
那蔵壱の子分・罵蔵(以下)「ケッケッケ、私めにお任せあれ。」
「では例の場所で吉報をまっておるぞ。ロォーンブローゾーゥゥゥゥ!」

こうして無責任にも那蔵は去っていった。あとに残された罵蔵達一行は、パープルムーンが来るのを手ぐすねを引いて待っているのだった。
そして那蔵が去ってから15分が過ぎた時、
ガラゴロ〜ガラゴロ〜
「???」