投稿者: ditto @ ykha124.tky.3web.ne.jp on 98/1/31 23:49:02
In Reply to: サターンの金さん 第45回
(第一幕) 上杉藩正室・千寿の方(以下千)「殿...、綾のことでございますが、あの破天荒ぶりなんとかならんものでしょうか?こんなことならば、あの時あんなことをしなければ...。」 藩主・一成(以下一)「もう昔の事だ。その話はよせ。綾が聞いていたら動揺するだろうに。」 千「はっ。申しわけございません。つい...。」 一「その話は、儂らが墓場まで抱いて持っていけば良いことだ。」 千「しかし、綾の性格、一体誰に似たのでしょうか?」 一「さてな。それにしても。此の月はついに求婚者無しか。なんとも労しい。」 千「あの娘にとっては、その方が気楽でしょう。むしろこのままにしておいてはいかがでしょう。時が解決するやもしれません。」 一「うむ...。」 綾姫「これ爺!もうへばったのか?かつては剣豪で名を成した爺も、寄る年波には勝てんと見えるな。」 剣術指南役・塚原莫山(以下塚)「なんのこれしき!まだまだ若い者に負けはせぬ。」 綾「 そうか。ならもう十番程、勝負といこうか?」 塚「(ぶるる)もう、勘弁して下され。姫は手加減というものを知りませぬからな。」 綾「やれやれ、これでは稽古にならん。」 塚「姫!これ以上強うなられて、如何いたすつもりでござる?もう世の男どもに適う者などおりませぬぞ。」 綾「全ては父上が悪いのじゃ。父上が、剣の試合で負けた者と祝言をあげさすと言い出すものじゃからして。好きでもない男と結ばれるのはまっぴら御免じゃ。」 塚「ですが、姫!このままでは婿の来てがおりませぬぞ!本当にそれでよろしいのですか?」 綾「まあ、好いた男ならば、わざと負けるのも良し...。」 塚「姫!どこぞに好いた男でもおられるのでございますかな!?」 綾「いや、例えばの話じゃ。」 塚「左様でございまするか(ほっ)。」 綾「それにしてもつまらんのう。もう、わらわの剣の相手を出来る者が居らぬとは。そろそろ剣にも飽きた。茶でも始めるとするか...。」 塚「ひ、姫様、い、今なんと!?」 綾「そろそろ、茶でも始めようかと言ったのじゃ。」 塚「おお!これは父上がお聞きになられたら、なんと喜ばれることか!かくいうこの爺めも嬉しゅうございます。ついに女らしい芸を身につける気になられたのでございますな。」 綾「まあ、たまには毛色の変わったことも悪くないなと思うたにすぎぬ。」 塚「そ...そんな程度のことでございますか...。」 綾「そうじゃ。...さてと爺。たまには外の空気を吸いたいのう。このところ屋敷に籠もりきりで退屈じゃぞ。ちと、お忍びで出かけてくるでな、父上や母上を適当に誤魔化しておいてくれ。」 塚「姫、お待ちなされ!ああ、行ってしまわれた...。ほんとに一度言い出したら聞かんのじゃからして。やれやれ、また殿のお叱り受けねばならぬか...。」 ... 千「これ塚原!綾はどこじゃ?」 塚「はっ!これは奥方様。今日も見目麗しゅうございますな。」 千「お世辞など要らぬ。殿がお呼びなのじゃ、綾はどこかと聞いておる。」 塚「そ、それが...」 千「屋敷の外に出たと!?全くあの娘は、いつも心配させるのだから。」 塚「まあ、姫でしたら心配には及びませぬぞ。」 千「しかし何故か今日は胸騒ぎがする...何か取り返しの付かないことが起きねば良いが。」 綾「ああ、久しぶりのシャバ(?)の空気は旨いもんだな。」 この時代、藩主の妻と子は、国元に帰ることは許されず、江戸の屋敷で暮らすことを義務づけられていました。箱入り娘は、たまの外出も道中はほとんど駕籠の中ですから、江戸にいても町の中のことはほとんど知らないのが実状です。この際、思う存分江戸の町とやらを見てやろうと綾は思いました。 そんなんで何処をどう間違えたのか、綾は秋葉原に行き着いてしまいましたとさ。 (うむ、またもや強引な展開(^^)) 「やいやいやい!ふてえ野郎め!」 「何をするのですか!?」 バシッ! ドサッ! ズッガラガシャーン! 綾「な、何!?」 音がした方向を見ると、野次馬で黒山の人だかりが出来ていました。 綾「もしかしたらあれが江戸の華と言われる喧嘩かな?よし近くに見に行こう(^^)」 |