第三、四幕



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投稿者: ditto @ ykha086.tky.3web.ne.jp on 98/1/25 00:49:31

In Reply to: 第一、二幕

posted by ditto @ ykha086.tky.3web.ne.jp on 98/1/25 00:46:39

(第三幕)

−城中にて−

サターン町奉行・遠山金三郎(以下)「特命課!?そしたら拙者は、神代ですか?義理の息子が郷ひろみで、部下にせがた三四郎がいたり、アカレンジャーがいたり、一条直也がいたり...。」
老中・den野忠邦(以下)「これこれ、そんな昔の話をしても誰もわからんだろうが(怒)」
「失礼。ちと、はしゃぎすぎましたかな?しかし、まるで大江戸捜査網(?)のようですなあ、隠密同心を抱えた特命課とは。」
「あまりやりすぎると本題を外れたおちゃらけ番組になってしまうのでな、気を付けねばならんのだが、難事件解決のスペシャリストチームが必要ではないかな?」
「確かに仰せの通りでございます。しかし特命課にふさわしい人物がそうそういるものでもございませぬし、結成までには暫しお時間を頂けますでしょうか?」
「よかろう、人選ともどもは任せる。」
「はは!...ところで何かと喧噪な世の中でございますな。」
「次世代機の件か?なに、いまさら驚きもせんじゃろうて。」
「割り切っておられますな。」

老中との会談を終えた遠山は、その帰り道で再び奇妙な光景に出会った。宮道と中町藩主の二人が、大老・出井伊の部屋に入っていくという光景であった。先日の安辺と件もあり、ただならぬ予感がした遠山だが、さすがにここでは立ち聞きはできない。後ろ髪を引かれる思いで遠山は白を後にした。




−芸夢熱藩・江戸屋敷−

その夜、芸夢熱藩では国表よ家臣達が集まり、反省会と称した打ち上げの祝宴を催していた。そもそも彼らの頭の中には百万本という数字は全く想定していなかった。藩主の宮道だけが突如百万本を唱えだしただけであり(経緯第35話参照)、今までの藩の業績からすれば、今回の具卵出亜の売上は充分成功の中といえるものであった。当初は無謀とも思われた制作費七万両も既に回収ができていたのだ。

「殿がお帰りぞ!」
「お待ちしておりました。では早速、宴の開始を。」
「待て、なんだこれは?」
「い、いや、無論具卵出亜の成功を祝っての宴でございます。」
「何が成功だ!あの程度の数字で満足するとは、おめでたい奴らだな。」
「し、しかし、直近の集計では実売ベースで四十一万本、出荷ベースではすでに五十万本を超えておりまする。我が藩は今までこれだけの成功を収めたことがございませぬ。」
「少ない少ない!もしも機種がサターンでなくプレステであったなら、裕に百万、いや百五十万はいっておったであろう!」
「と、と、殿!それは一体!?」
「これよりわが藩はプレステに参入する!」
「どひゃああ???」
「まず手始めに、瑠那をライセンス供与という型で発売する。その後、本格的に始動する!」
「そ、それでは具卵出亜2はどうなるのでございますか?」
「機種未定と言うことで進めておけい!」
「な、なんと...。」

(第四幕)

瑠那のプレステ発売は様々な憶測を引き起こしていた。ひとつは、やはり具卵出亜その他もろもろの開発費が重んだお陰で藩財政が厳しく、仕方なしにロイヤルティ収入を得るためにライセンス供与したのではないかということだ。しかし、そのような好意的な解釈(...)はむしろ少数派で、プレステ参入の第一段階ではないかと見る向きが圧倒的だった。被害者意識からの疑心暗鬼か、特にその傾向はサターン町で顕著だった。

−ソフト屋お律の店−

目明かし平次(以下)「なんでえなんでえ見損なったぜい、芸夢熱の殿さんよう!(`o´)」
平次の子分ハチ「まったくでやすねえ。『ブルータス!お前もか』って心境でやすですねえ。」
「ハチィ。おめえもたまには良いこと言うじゃネエか。その通りだい!」
女将・お律(以下)「ちょっとお。別にあんたたちが怒る必要ないんじゃない?」
「いいやこれは充分に怒るべき問題でえ!」
「なんで!?どのハードでソフトを出そうが、各藩の勝手じゃないの?」
「俺達の信頼を裏切ったのが問題なんだよ!」
「信頼!?勘違いもいい加減にしたら!親分に『サターンでしかソフトを出さない』って約束していた訳じゃないんでしょ。何にも拘束なんかできないわよ。」
「お律!おめえ悔しくないのかい?」
「別にぃ。あたしは、うちが儲かればそれでいいんだから、むしろ活気のあるハードで大作を出してくれた方がこちらの売上も増えて助かるわ。」
「ばかやろー!なんて節操のない女だよ、てめーは。所詮、男の浪漫は女にゃあわかんねえな。」
「節操のない女ですって!?あんたなんかにそんなこと言われる筋合いないわよ!(`´メ)」

「なんだなんだ昼間っから痴話喧嘩かい?(^^)」
「馬鹿なこと言わないでよ(怒)!だれが...。」
「金治ぃ、おめえなら男のこの浪漫わかるよなあ!」
「何言ってるのよ、今の世の中はね自由競争社会なのよ。他ハードへの参入を規制したり、値引きを禁止するとかというのは、大きな犯罪なのよ。もちろん言うことを聞かなかった店に対して嫌がらせをするのはもってのほかよう!!」
「まあ待て待て、男の浪漫に自由競争社会(こちらはちと論点がずれてきているような気もするし(^_^;))だあ? なんのことやらさっぱりわからん(。_゜)?」
...
「そうかあの瑠那がプレステに...。」
「しかし発売は□川からなんだけどねえ。」
「それでもこれはプレステ参入への布石に違えねえ。だから悔しいのよ!」
「だから...それは親分の思い入れが変だっただけじゃないのう?」
「それが男の浪漫だってんだい!」
「馬鹿げた思い込みねぇ。ほんと、疲れちゃう。」
「なんだと!」
「まあまあ、よしなよ。」
「金治!お前はどう思うんだよ?」
「どこがどこのソフトを作ろうが自由だ。そんなことを規制できるような法はねえ。」
「ほらみなさい(^^)」
「裏切り者ぉぉ!てめえまでそんなことを言うとは思わなかったぜい(怒)」
「まあそう怒るない。あくまで法について述べただけだよ。」
「てえ言うと?」
「法を守れば何をしても良いってもんじゃねえ。良識に従って行動しているかどうかの方が大きな問題だと思う。」
「良識!?」
「そうだ。俺がよく言ってる『天網恢々疎にして漏らさず』とは、人それぞれが良識を持ってるからこそ成立するもんだ。つまり法だけの規制に頼れば、雁字搦めの法を作らねばならねえ。しかしそれでは息がつまっちまう。法での規制は最小限に抑え、後はみんなの良識に任せて、慣習や規範が自然と作られて行く。これこそが立派な社会じゃねえか。」
「それはよくわかるけどねえ、今度の芸夢熱藩の行為は良識から外れてるって言うの?」
「まだ他機種に参入するときまったわけじゃないけどな、まあ良識なんて人それぞれだし...。」
「それじゃあ何の答えにもなってないじゃない!(怒)」
「だから、人によっては良識外で裏切られたとも思うし、他の人にとってはどうでもいいじゃないと思う場合がある。そのどちらに重きを置いたかだけじゃねえのかい?ただ一つ言えることは、裏切られたと思う人の数を増やすことは得策とは思えない。あそこは過去からのユーザーを簡単に斬り捨てるようなところだという評判がつきまとうのはよくないだろ。まあそんなことは馬耳東風なようなところも多いけどな。」
「せちがらい世の中だい。一時の売れ行きで簡単にプラットホームを乗り換えるような輩が多い。中町藩なんか言い例だぜ。しかもだ、開発者は開発者で変なこと言ってるしな。○スタをクロヨンで出したのは、昔からのファンを大切にしたいからだって。ほなら○ボールはなんでサターンでださんのや(激怒)。
その点、芸夢熱藩は見上げたもんだと思ってたさ。それがどうだい!」
「まあ、とくにここの町にはこのような奴が多いしな。でも親分!それはあくまで、親分の気持ちだからな。他人にまで、そう思うことを強要しちゃいかんぜ。」
「ああ、わかったよ。」
「しかし、何故突然芸夢熱藩はそのようなこと言い出したのかな?」
「さあ?何でも百万本売れなくて失敗だったからっていうののが専らの噂よ。」
「ひゃ、百万本だあ!?ホントニそんなこと思ってたのかな。」
「目指すのは勝手よう。他にも○○○○Sや○ィ○ー○○ィや○○○○ッ○ー3なんかも発表したときは百万本目指すって言ってたもの。」
「...そ、そうか(^^;) ところでお律...。」
「何よ?」
「ちょっと一っ働きして欲しいんだけど。」