第五、六幕



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投稿者: ditto @ ykha086.tky.3web.ne.jp on 98/1/25 00:51:52

In Reply to: 第三、四幕

posted by ditto @ ykha086.tky.3web.ne.jp on 98/1/25 00:49:31

(第五幕)

中町藩主・中町(以下)「なに?ねずみに入られたと。しかも取り逃がしたとは!この馬鹿者が!門番は何をしていたのだ。番犬は放ったのか?」
「申しわけございませぬ。あと少しのところで逃げられてしまいました。」
「まあいい。で、何を盗られた?」
「それはご安心下さいませ。我等の発見が早かったせいか、奴はあわてふためいたようで何も盗られずに済みましたでございます。」
「何も...(ということは物取りが目的ではないのか...)
  おい!その時に誰か客人はいなかったか?」
「はっ、それもご安心下さい。来ていたのは、あの下賤な奴だけでございます。決して、いず...。」
「もういいわかった。(まあ、最悪の場合はこいつを斬り捨てればよいことだしな)」




チャリーン(小判の落ちる音)
「おい、秀やん。また頼むぜ。」
情報屋の「今度は誰だ?」
「占い師でな大崎の父とか呼ばれている奴だ。何でもいい知ってることは教えてくんな。」
「まさか占いに凝ってるんじゃねえだろな?巷じゃ評判の占い師かもしんねえが、俺達の間じゃ黒い噂が絶えねえぜ。」
「黒い噂!?何だいそりゃ?」
「あいつが占いで有名になった経緯ってのはな...、
今から一年ほど前、とある大棚の娘が大崎の父の元に占って貰いに来た。その時に奴は、今日は火難の相が出ておるから家に帰らずに余所に泊まりなさいっていうものだったそうだ。その占いの通り、娘の店の近所で火事が起き、店は全焼しちまった。しかし、その娘と家族および使用人達は、占いを信じて避難していたために助かったって話だ。
というような話が瓦版に載ってから評判になったんだよ。」
「ふむ...、何かいまいちよくわからねえけど...」
「その後もよく占いがあたってる。しかしだ、当たる内容は先程のような火事、盗難など災いばかりだ。そのくせ、嵐や地震、噴火といったような天災は全くあたらねえ。」
「話が見えてきたぜ。つまり自分で占った事を、現実にするために放火や盗みをしているっていうことだな。」
「証拠はねえがな。充分疑わしいぜ。」
「ありがとよ!」
「ああ、また頼むぜ。(って、いつもああして聞きに来るけど何するつもりだろ?)」



−大崎の父の占い館−

「では、次の者入られよ。」
「はい」
「まず名前と仕事は?」
「わたしは小早川朗(さえ)(以下)と申します。八丁堀で町医者をやっております。」
「ほう。おなごの医者とは珍しい。しかもとびきりの美形じゃな。よかろう占ってしんぜよう。むむ....、む!?こ、これは!!!」
「な、何か?」
「盗難の相が出ておる。」
「盗難の相!?まあ、なんて恐ろしい...」
「今夜じゃ!」
「今夜!?」
「そうだ、お前さんとこは今夜賊に入られるであろう。」
「なんてこと!早速奉行所に報せなくては!」
「無駄じゃ。奉行所がそんなことを取り合うはずがない。ここは一番、どこかに避難するが良かろう。」
「し、しかし...。」
「賊に身を汚され命を落としても良いというのか!」
「そ、それは...。」
「信ずる者は救われるのじゃ!」
「は...はい。」



−その夜・朗の診療所−
何やら5,6人の人相の悪い男達が集結している。

「へへ、頭からの連絡だと今日はここだな。」
「町医者だそうだ。どうせがっぽりと治療費を貯め込んでることだろうぜ。」
「さてとそろそろ仕事にかかるか。」
「おうよ!」

「ん...金はどこだあ。よくわからねえぞ。」
「残念でした。貧乏医者だからね、盗るほどの金など無いわよ。」
「な、何者だ!?」
「ここはあたしの家よ。何者だ、はないでしょう。あなたたちこそ何者よ。大崎の父に雇われた者達かしら。」
「このアマ!そこまで知られちゃ生かしておけねえな。おい野郎ども、やっちまえ!」
「おう!」
「ほんとに私とやるつもりなの?。可哀相に...(^^」

(第六幕)

−料亭・伊勢川−

「しかし、お前もおもしろい事を考えついたものよのう。火事や盗難といったことを占いに見せかけ、そこに住んでいる者達を避難させておけば、盗り放題。あとは火をつけさえすれば、証拠など残らず消えてしまうわ。」
「しかも占いの評判は上がる一方。お陰で最近は殿様連中まで来よる。おまけに悩みなどをペラペラと喋りおる。上手く操りさえすれば、巨万の富が手にはいるというものだ。」
「もうしばらく金が要る。全てはあのお方を上様にお据えするためだ。」
「そう言えば、最近将軍が代わったばかりだ。しばらくは、まだ交替はないのではないかな?とすると、お主の企みは失敗か?」
「案ずることはない。もう少し金さえあればなんとかなる。」
「まあ儂はかまわんがな。お主との関係が暫く続くのであれば。」
「こちらも今少しお主の力が必要だ。」
「ふふふ、利害は一致したようだ。」
「そうかい。お前らの悪事、全て聞かせて貰ったぜ!」

「な、何奴じゃあ!?」
「ゲーマーの金治っていうケチな遊び人よ。聞きしにまさる悪党め。覚悟しな!」
「どうやら知りすぎてしまったようだな。どこの馬の骨だか知らんがここからは生かして返すわけにはいかんな。」
「曲者だあ、出会え出会え!。」
なにやら悪人面した浪人者(以下悪)が多数出てくる。

「俺を斬ろうってのかい?おもしれぇ、だがなこの背中の土星、斬れるもんなら斬ってみやがれってんだい!(と言って背中の入れ墨を見せる)」
「このヤクザもんが。皆の者ひるむな、斬り捨てい!」
「おう!」

金治優勢だが、相手が多すぎる。
しかも今日は都合で、朗が来れないときた。
金治やや苦戦か、と思われた時、そこへ現れたのは...

「金治!助太刀するぜ!」
「おう末吉!ありがてえ。」
「さあ、どっからでもかかってきやがれ。剣のサビにしてくれるわ!」
「また訳のわからん奴が...。おれはこの辺りでずからるとするか!」
「待ちやがれ、こいつ!」
逃げようとする大崎の父に、太刀を浴びせる花山。
「うう!」
すると驚いたことに、顎からもみあげまでのたっぷりとした白い髭が落ちた。大崎の父は付け髭で変装していたのだった。そしてその素顔は...

「て、てめえは!
音羽の番蔵!?

「てめえ俺を知ってやがるのか?」
「あたりめえだ。五年前、我が道場が襲われ、妻や子、門下生を殺害された怒り一時たりと忘れたことはねえ!」
「そうか、あの時の!」
「我が怒りの太刀を受けてみよ。」
「しゃらくせえ!」
     ガキーン
    ( `_)乂(_' )  
ドリャア  ×   ウググ
「お清、千代丸(妻と子の名です)...今まで悔しい思いをさせたなあ。今こそ積年の恨みを晴らしてやるからな。」
ズシャアアアー、ザクッ!
「うぎゃああ...!」

「末吉!やっちまったのか?」
「...峰打ちだ。後はお前に任す...。」
「末吉...」
「もしも俺がここでこいつを殺したら、いくつかの事件が闇の中に消えちまうだろう。」
「...」
「後はお白洲ではっきりさせてくれ。頼むぞ。」

PPPPP〜〜〜
同心・橋本(以下橋)「静まれ静まれぃ!サターン町奉行所の者だ!皆の者、神妙にいたせ!」
「おっと、そろそろずらかるか。」