第七幕



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投稿者: ditto @ ykha086.tky.3web.ne.jp on 98/1/25 00:53:54

In Reply to: 第五、六幕

posted by ditto @ ykha086.tky.3web.ne.jp on 98/1/25 00:51:52

(第七幕)

「サターン町奉行・遠山左右衛門之丞様、ご出座!」
サターン町奉行・遠山金三郎「さてこれより、大崎の父の偽占いの一件につき吟味をいたす。尚、本日は特別に、芸夢熱藩藩主・宮道殿、中町藩江戸詰め家老・安辺との両名に列席を賜った。皆の者、面を上げい!」
一同「ははっ!」
「待ちなされ。拙者、このような場に列席するような覚えはござらぬ。多忙である故、これにて失礼仕る。」
「それがしも同じ事。御免被る。」
「今回のお白洲は、お二方に重要な関わりがござります。どうぞ、席へ戻られよ。」
「重要な関わりだと!?遠山殿、真でござるかな。」
「宮道殿!このような馬鹿げたこと、相手にはしておられませぬ。ささ、帰りましょうぞ。」
「まあ、良いではありませんか。重要な関わりという事の真偽だけでも確かめておきたい。」
「さ、左様でございますか...(渋々席に戻る安辺)」

「大崎の父とやら!当奉行所の調べによれば、その方、占いと称して人払いをし、その隙に盗みを働いたこと、これに相違ないな?」
「御奉行様!おおそれながら全くの事実無根、冤罪でございます。」
「さらには、こちらにおはす宮道殿が占いに来るや、当時制作中の具卵出亜というゲームは失敗すると説いた。そしてその影では、ソフト販売店に圧力をかけ、具卵出亜を店頭に置かせないよう画策したこと、既に明らかなるぞ!」
「な、なんと!?」
「知らないもの、知らないでござる。」
「そして裏で糸を引いていたのは、こちらの安辺殿であることも、調べはついておる。」
「黙れ!侮辱するにも程がある!」
「本当であるのか?安辺殿!」
「宮道殿、騙されてはいけませぬ。事実無根でございます。」
「...」

「では証人をここへ!」
5,6人の人相の悪い男達が連れてこられる。お朗の家へ押し入った者達だ。」
「お、お前達は!」
「頭ぁ、なんてことでい。めちゃ強い女がいやがった。」
「メチャ強い女!?」
「その方かつての盗賊の首領・音羽の番蔵であろう!どうだ、これでもまだシラをきるか?」
「御奉行様!どこの馬の骨かわからねえ奴ら連れてきて証人もねえもんだ。それに音羽の番蔵だ?それは一体どこのどいつですかい。」
「儂らへの侮辱只ではすまされないぞ!」
「いい加減、往生際の悪い奴らだい!ここまで酷いとは思わなかったぜ。」
「ん?」
「天知る・地知る・人が知る!てめえらの悪事ぃ、この背中の土星が知ってんだよ!(といって背中の入れ墨を見せる)」
うぉぉぉ!どっしぇぇぇぇい!あの時の!
「(着直しながら)大崎の父、いや音羽の番蔵。お主が犯した罪とても許せるものではない!市中引き回しの上磔獄門、その配下の者は遠島申しつける。引ったてぃ!」
一同「はっ!」

「さてと、安辺殿。覚悟はできておろうな。」
「ふん!拙者町奉行に裁かれるいわれはないわ!」
「残念だったでござるな。実はな先日、大目付職も賜ってのう。」
「な、何!?」
「今回の一件、今一度じっくりと調べさせて貰うぞ。こやつを牢へぶち込めい!」
一同「はっ!」
「ええい、畜生め離せ!」

「宮道殿、もうおわかりでございましょう。」
「ううむ、儂は騙されていたのか。」
「はい。すべては貴方様を。自分たちの陣営に引き込もうとした安辺が企んだこと、いや、あるいはその上の大物がいるやもしれませぬ。それはこれから調べるつもりですが。」
「そうか...。しかし、私はこれからどうすればよいのだ?」
「その答えは、貴方様自身で見つけだす他はありますまい。が、ひとつ見せたきモノがございます。こちらへどうぞ。」
「見せたきモノ!?」
「これでございます。」
「こ、これはいったい!?」
「伝言板なるところのサターンBBSというものでございます。」
「ぬぬぬ...こ、これは!わ、儂の具卵出亜にこれだけの意見が書き込まれておる。賛辞から叱咤までこんな数に及ぶとは!?しかも全てが真摯なものばかりだ。」
「おわかりでございますかな?貴方様がどのプラットホームを選ぼうと自由でございます。しかし、サターンにはこれだけのゲームに対して熱い者達がおるのでございます。これは他機種では考えられないこと。中には、これらのユーザーの存在意義がまったくわからぬ輩もございます。しかし、貴方様ならばおわかりになられるものと...」
「うむ、これらのユーザーにゲームを供給してこそ開発者冥利に尽きるというものだ。まさに目から鱗が落ちた気分じゃ。迷いは吹っ切れた。礼を言うぞ遠山殿。」
「信じておりましたぞ、宮道殿。」
一同「いよっ、御奉行日本一!」
これにて一件落着!

おしまい

(注)この作品はフィクションであり。登場する個人・団体名は、実在のものとは何ら関係ありません。