第六幕



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投稿者: 倭寇三勇士 @ ykh155.tky.threewebnet.or.jp on 97/10/05 00:21:34

In Reply to: 第五幕

posted by 倭寇三勇士 @ ykh155.tky.threewebnet.or.jp on 97/10/05 00:17:19

(第六幕)

パカッ パカッ パカッ パカッ パカッ...
「なんだ!?どこからか馬の蹄の音が聞こえるな。」
「ま、まさかあれは!」

「タアー!」

乙女盛りに命を懸けて 風に逆らう 淑女一人 花と散ろうと 悪を討つ!
人呼んでサターンの星・パープルムーン参上!


「いよっ!待っていたぜ、サターンの星!」
サターンの星・パープルムーン(以下)「ここは私に任せて下さい。貴方は、早く奉行所へ。」
「恩にきるぜサターンの星。」
「ま、待て!」
「貴方の相手はこの私よ!」
「ぬ?なんだ君は!レオタード姿にブーツ、土星マーク入りの青いベレー帽、赤い眼帯に表が黒・裏が赤のマント。その恥知らずな格好どうにかならないのか。君は一体、時代考証というものをなんと心得ているんだい。」
「しぇからしかあ!気にばしちょるこつを、あ...、いけない写っちゃった。ともかく、貴方も人のこと言えた義理じゃないでしょう。」
「フッ、そうか。君も僕と一緒だね。」
「だから違ーーーうぅってーの。」
「どうしてだいハニー(?)。この作品では数少ない美形同志じゃないかい?」
「まあ、それはそうだけど。」
「君は人との接触を極端に避けるね。一体何を恐れているんだい?」
「お黙りなさい!貴方はそうやっていつも人を惑わすのね。」
「そうかい、残念だな。君とは友達に成れそうな気がしたのに。」
「勝手に人を引きずり込まないで!」
「悲しいよハニー(?)。君がゼーレの扉を閉ざしているなんて。仕方がないな、これも運命なのか。僕が生き続けることと君の幸せが相反するものだなんて。」
「ちょっとぉ。いい加減にしてくんない?」
「所詮、僕たちは闘わねばならないのか。ならば僕も負けるわけにはいかないのでね。悪く思わないで欲しいな。これが宿命なんだ。」
ATフィールド全開!
「もはや君は僕に触れることさえもできないのさ。潔く負けを認めたまえ。出来れば君を傷つけたくない。」
でえええい!ライナー投げぇ!
「な!?そんなばかな。ATフィールドを突き抜け、僕を掴むことが出来るなんて。」
「えいやあああああ!」
ズドドッドーン
...
「負けたよハニー(?)。君は僕より優れていたんだね。」
「私は、こう生きると決めた日から、負ける事は許されないのよ。」
「そうかい。初めから勝負はついていたってことかな?
  ...嬉しいよ。最後に君のような人に出会えて。」
「...悲しいわね。もしも二人別の形で出会うことが出来ていたなら...。」
「慰めは要らないよ。...でも投げられる瞬間、君のゼーレの中を覗かせて貰ったよ。」
「...、...」
「君の悲しい人生を垣間見た。でも、君は自分の信じる道を進むべきだな。陰ながら応援するよ。でも最後に一つ聞きたい。ヒュペルボレアの鐘を奪ったのは君かい?」
「そうよ。」
「やはりそうだったのか。でも君はヒュペルボレアの鐘の意味を知っているのかい?」
「...、かつて北極海にあったという幻の大陸ヒュペルボレア。そこに住む人類は、現在のような形ではなくエーテル体の存在であったと言われている。」
「!。そうか君はそこまで知ってしまったのか。ならば思い残すことはない。もうお別れの時だ。なあに悲しむことはないさ。生と死は僕にとって等価値なんだ。さようならハニー(?)。」
そう言い残すと、赤月カヲルは霧のように消えてしまったのだった。
「ご忠告感謝するわ。出よ!サンダーボルト!」
愛馬サンダーボルトが駈けてくる。
愛馬に跨り、サターンの星・パープルムーンもまた何処へと消え去って行くのだった。