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Rudolf @ 202.250.122.225 on 98/2/27 12:10:54
In Reply to: 仮想外伝4幕帝劇如月野外公演、長文1
posted by Rudolf @ 202.250.122.225 on 98/2/27 12:09:07
ここはあやめの部屋、公演中止の相談に来たマリアと何故かすみれがいた。皆であやめの花やしきからのお土産、有楽町ガード下の居酒屋で購入してきた焼き鳥をつまんでいる。
「公演やむなし、ですわ。どだい、お客様のいない舞台などナンセンス。タレで食する焼き鳥のようなものですわ。」
「あら、私はタレも好きよ。だけど、お客様が来られない以上公演を決行するわけにもいかないわね。マリアはどう思う?」
「私も、塩の方が、」 「え?公演のことよ。」 「しっ、失礼しました、わ、私も中止した方がいいかと。」
顔面紅潮しながらマリアが言う。よっぽど美味だったのか、夢中で食んでいたようだ。
トントン、ドアをノックする音。誰かの来訪らしい。
「はい、どなた?」
「紅蘭でおます。御邪魔しますー。」
来訪者は紅蘭。何かの図面だろうか。大きな紙を持っている。
「あら、紅蘭。どうかしたの?」
「あんなぁ、あやめはん。あ、マリアはんにすみれはんもおったんか、ちょうどええわ、これ見てんか。ああ、ちょっとすまんけどそこの焼き鳥退けてんか。」
紅蘭はそう言って持ってきた図面を中央に広げた。それには、二月特別公演案、と記されている。
「これは、何ですの?」
「その言葉を待っとったで、すみれはん。こんな事もあろうかと、帝劇公演が何かあったときの代案、冬バージョンや。」
「代案、しかも冬バージョン、用意がいいわね、紅蘭。」
あっけにとられるマリア、紅蘭にはいざという時の秘密道具の入っているびっくり箱を幾つ所有しているのか。
「で、どういう代物かしら、紅蘭。詳しく聞かせてくれるかしら。」
「そのために来たねん、あやめはん。あんなぁ、花やしきの敷地使うねん。帝劇の周りは大雪やけど花やしきの中やったら従業員が雪かきしとるやろ。せやからあっちで野外舞台すんねん、しかも今しかできひん本物の雪使う舞台すんねん。」
「おもしろそうね、だけど紅蘭。お客様はどうするの?」
「心配あらへんて、外見てみいや、マリアはん。」
紅蘭の言われるままにバルコニーに出てみたあやめ、マリア、すみれ。その下、帝劇玄関には百人近くの観客が列を作っていた。皆一様に寒さに負けじと手を擦りあわせたり、身を震わせながら。
「な、このお客はんたちこのまま帰すのも気ィひけへんか?」
「確かに、これでは中止と言うわけにはいかないわね。」
「でもそれなら帝劇で”マイフェアレディ”を上演したってよくありませんこと?」
「せやけどせっかくこんな中来てくれはってんから特別な事やっても罰当たらへんのちゃう、すみれはん?」
「いいわ、やってみましょうか。支配人には私が話しておくから。」
「その言葉を待っとったで、あやめはん。ほな早速花やしき行こか。」
「気が早いわね、むこうにも連絡を入れないと。」
「心配あらへん、もうしといたわ。後、お客はんたちには市営銀座線乗ってもろて花やしき行ってもらわんと。」
「用意のいい事ですわ、では、わたくしがお客様に説明差し上げてもよくってよ、わたくしが話さないと納得いたしませんでしょうから。」
「はいはい、ほな任したで。」
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