ザ・黒之巣会「羅刹の歓喜」



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投稿者: かとおおお @ 202.228.225.73 on 98/1/14 16:07:28

In Reply to: ザ・黒之巣会「刹那の純情」

posted by かとおおお @ 202.228.225.73 on 98/1/14 16:05:32

帝都・日本橋。黒之巣会地下本部。

「我、帝都の結界を破る法術をあみだしたり。これ、六破星降魔陣なり。
 行け、刹那! 今こそ帝都を我々のものにするのじゃ!
 …………………………
ありゃりゃ? 刹那はどこじゃ?」
「天海様、刹那なら先ほどどこかへ出かけてしまいましたが……」
「なに!? わしは聞いとらんぞ!
 ぬ〜う、わしに無断で出かけるとは言語道断じゃ!
 羅刹! 今すぐ刹那を連れ戻して来い!!」
「うがーっ、承知したっ!」
羅刹は蒸気チェンソーを手にすると、帝都の街の中へ駆け出して行った。
「兄者ーっ、どこじゃあああっ!?」


しばらく後、銀座・大帝国劇場。

『お待たせいたしました。ただいまより花組・神崎すみれ主演「椿姫の夕」を開演させていただきます』

「ふう、モギリも一段落したし、ちょっとすみれくんの舞台をのぞいて見るか……」
そこへ突然、蒸気チェンソーを振り回しながら白銀の羅刹が走りこんで来た!
「うおおおおおお、兄者ーっ!」
「うわっ! 何だ!?」
大神が身をよけると、羅刹はそのまま客席の中へ飛び込んで行った。

「兄者ーっ! どこじゃーっ!?」
客席の真ん中でチェンソーを振り回す羅刹。当然、場内は大混乱である。
「うわーっ!!」
「助けてくれーっ!」
「きゃあああっ! 誰かーっ!」
と、それまで舞台の上にいたすみれがツカツカツカと近寄ると、
パシッ!!
「あ!…………」
「ちょっとあなた、いいかげんにしてくださる? このわたくしの大切な舞台がだいなしですわ!」
すみれの手形を頬につけた羅刹は、ますます暴れだすかと思いきや、急に泣き出した。
「ウォォォォ……すみれ様、すまねえ……。俺は、大好きなすみれ様に迷惑をかけちまって……。だが、俺は…………すみれ様、すきじゃああああっ!!」
客から罵声がとぶ。
「なんでえ、すみれ様を好きなのはおめえだけじゃねえぞ!」
「そうだそうだ、ここにいるのは皆すみれ様のファンだ!」
「引っこんでな、このすっとこどっこい!」
「う、うるさい!!」
そう叫ぶと羅刹は、着物を脱いで上半身はだかになった。
「これを見ろ!!」
その背中には、でかでかと『すみれさま命』のイレズミが!
「オホホホホホホ。なかなかよいこころがけですわ。それほどこのわたくしのことを思ってくださるのなら、悪い気はいたしませんわ。さ、このハンカチで涙をお拭きになって。
後でわたくしのブロマイドを差し上げてよ」
「うおおおおお、すみれ様! 俺は最高に幸せじゃーっ!!」


同じ頃、ふたたび黒之巣会地下本部。
「ぬううううう、どうしたことじゃ。刹那も羅刹も戻らぬとは……。
 こうなれば、わしも出かけるぞ。アイリスちゃわわーん!!」


黒之巣会に明日はあるのか!?