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投稿者:
編隊飛行  @ ppp044.vit.or.jp on 97/12/21 07:02:33
「悪かったわね。買い物につき合わせちゃって。」 
 
「気になされなくてもよろしいですわ。私、お買い物は大好きですから。」 
 
「でも、すみれさんと行くとお買い物も楽ねぇ。」 
 
「えっ?」 
 
「だって、高級品全てバーゲン価格以下で買えるんですもの。」 
 
「そうですわね・・・・。」 
 
「どうしたの?」 
 
「いえ、あの店員たちは私ではなく神崎財閥を商売相手として見ているのですわ。」 
 
「すみれさん・・・・。ごめんなさい・・・」 
 
「えっ?あっ、いいの、由里さん。もう慣れてしまいましたわ。私は神崎財閥の一人娘。 
この真実だけは絶対についてくるもの。私はそれがイヤで家を出てきたというのに。」 
 
「そ、そういえば大神さんとはうまくいってるの?」 
 
「えっ?」 
 
「私の情報網をなめちゃいけないわよ。ちゃんと調べはついてるんですからね。神崎財閥 
のパーティーでしっかり大神さんと踊っていることを。しかも、大神さん以外の男性とは 
手も繋ぎもしないって。帝都一のカップルだって上流界じゃ噂になってるわよ。」 
 
「そ、そんな・・・私、まだまだ若いですし、それに・・・。」 
 
「あらあら、そんなこと言ってると、大神さんをさくらさんに取られちゃうわよ。あの娘、 
ああ見えてもとっても積極的だから・・・。」 
 
「もう、由里さんったら・・・。」 
 
「じゃ、私は地下鉄で帰るから、ここでお別れね。ホントに今日はありがとう。」 
 
「いえ、私こそ・・・。あっ、由里さんのお住まいはどこですの?私たち、つきあいはそ 
んなに短い方ではないと思いますのに、由里さんのお住まいも、ご家族のこともなにも聞 
いたことがございませんわ。」 
 
「ふふふ。女の子、いえ、女性はね、謎が多い方が男性にとっては魅力的なのよ。すみれ 
さんもあまり大神さんに心の奥まで見せちゃダメよ。」 
 
「まぁ・・・由里さんったら・・・・。」 
 
 由里の言葉に、頬を赤く染めるすみれ。 
(そう、私はあの方の前ならば素直になれる。両親にも、大好きなおじいさまの前でさえ 
も一度も見せたことのない私・・・。子供の頃一度だけ、そうあの時を除いては・・・) 
 
「それじゃ、もうすっかり暗くなっちゃったから気をつけてね。といっても、神崎風塵流 
の使い手にかかったら、襲った方がひどい目に遭っちゃうかな?ふふふっ。」 
 
 
 
  
 
 
  
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