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編隊飛行 @ ppp044.vit.or.jp on 97/12/21 07:06:40
In Reply to: Re: 師走大戦〜謎の人型蒸気 その2
posted by 編隊飛行 @ ppp044.vit.or.jp on 97/12/21 07:04:46
ガシン〜〜!!
「な、なんですって?!」
いつの間に動いたのか、人型蒸気の左手はしっかりとトンファーを掴んでいた。高速で
動いていた由里の左手が急に止められたため、何もなかった空中へ突如として2本の腕が
出現したようだ。
メキメキ・・・・。トンファーのきしむ音。パキ〜〜ン。
またしてもトンファーは折れた。由里の手には、折れたトンファーが虚しく握られてい
るだけ。
『ふふふふふ。勝負はきまったでしゅね?(ニヤリ)。死んでもらいましゅ〜〜!』
人型蒸気の右手が軽く振られる。
「きゃぁぁぁぁ〜〜」
悲鳴と共に、由里の身体は軽く3mは吹き飛んだ。頭を強く打ったのかまったく動かな
い。
『どうしてこんな小娘相手に僕が出てこなくちゃいけなかったでしゅか?こんなのは陸軍
の下っ端がやることだお☆彡簡単すぎたでしゅね(にこっ)』
「お待ちなさい!!真打ち登場ですわ。おほほほほほほほ」
どこから取り出したものか、すみれの手には長刀が握られていた。
『ふみゅ?誰でしゅか?邪魔すると許さないでしゅ〜!!ていうか☆彡な、なぜかあなた
の顔を見てると・・・その・・・蒸気が沸々とわき上がってくる・・・って蒸気は沸き上
がるからこそ蒸気なんでしゅけど(爆)。いや、そのぉ〜心の奥から響いてくるものが・
・・。なんというか、・・よく判らないでしゅけど・・・』
「なにをおっしゃってるのか判りませんわ。この帝撃一の武術家、神崎風塵流免許皆伝の
この私がお相手して差し上げますわ。さぁ、どこからでも掛かってらっしゃい!!」
『神崎・・・すみれ様・・・でしゅか?良い名前でしゅ〜♪うみゅ?神崎・・・。痛いで
しゅ・・・。あ、頭が割れそうでしゅ・・・。』
「・・・?どうなさいましたの?私に怖じ気づきましたの?」
『神崎・・・す・み・れ・・なぜだ?記憶が・・・。』
「かかって来ないのならこちらからまいりますわよ?」
『頭が・・・頭が割れるように痛いでしゅ〜〜!誰でしゅか?僕の中から何かが出てくる
でしゅ〜。ダメでしゅ〜。まだ、任務は終わってないでしゅ〜。やめて〜〜!!』
「なっ?なんですの??」
『・・・・ここは・・・・どこだ?・・・・俺は・・・・・????』
『助けなければ・・・。彼女を・・・。足をくじいて動けずに・・・・』
『山小屋で一人震えている彼女を・・・』
『すみれ・・・お前ってさあ…良く見るとキツネ見たいな顔してるよな・・・・』
「えっ?今、なんとおっしゃいましたの?」
『・・・・・・・・』
蒸気甲冑は突如動きを止め、静かに崩れ落ちた。
「ど、どうなっているのですか?私の・・・私しか知らないはずの思い出を話したと思っ
たら、急に倒れてしまうなんて。まさか・・・。」
「すみれさん・・・大丈夫ですか?・・・・」
由里が頭を押さえながら、ふらふらと歩いてくる。
「急に動かなくなってしまいましたわ・・・。それより由里さん。怪我は?」
「あっ、私は大丈夫です。それよりも、この人型蒸気はここに放って置くわけにもいきませんね。」
「そうですわね。とりあえず帝劇に運びましょう。でも、二人では重すぎて無理ですわね。」
「ご心配なく。」
ぴぃぃぃ〜〜〜!!
由里の口笛が、静かな路地で反射する。と、4名の黒装束の者たちが音もなく目の前に現れた。
「こ、この方たちは?・・・」
「いやですね。帝劇の『黒子』さんたちじゃないですか。舞台でお世話になってるでしょ?
さぁ、皆さん。この蒸気甲冑を帝劇まで運んでちょうだいね。」
黒子たちは無言のまま、蒸気甲冑を肩に担ぐと音もなく消えていった。
(由里さんっていったい何者かしら?トンファーを持ったときの身のこなし。今の黒子部
隊・・・。それに『榊原』の抹殺・・・。わたくしの知らないところで何かが動いている
のかしら?・・・)
「さぁ。私たちも帰りましょう。」
由里の問いかけに、自分の想いから引きずり出されるすみれ。
「はっ、はい。帰りましょう。」
「すみれさん。たった今見たことは、みんなには黙っていて下さいね。大神さんにも。」
笑顔で話す由里の目の奥には、なにか底知れぬ怖さが潜んでいるようで、さすがのすみれ
も黙ってうなずくしかなかった。
いつの間に降り出したものか、白い雪が舞い降りはじめた。師走。楽しい正月を控えた
この時期に、また新たな戦いが始まろうとしているのか?
<未完>
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