読切「マリアの青い手帳」



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投稿者: HRK @ meshsv70.os.mesh.ad.jp on 97/11/24 00:53:00

BAR「The Formation Flight」
ここで俺とマリアは今夜一緒に食事をすることになっていた。
マリアは用事があるということで、直接ここで待ち合わせをすることになっていた。
店内はいい雰囲気で、Victoria=Rondという女性歌手の歌声が
更にその雰囲気を盛り上げていてくれた。
今日俺は大事な話をマリアにするつもりだった。
俺の上着の内ポケットには銀の指輪がひっそりと、それでいて確かな光を放っていた。
こんな緊張した気持ちは久しぶりだった。マリアが早く来てくれないと決心が鈍ってしまいそうだった。

俺の決心が鈍りそうになった頃、マリアは現れた。
マリアは俺のことを捜したが、こちらが呼ぶまでもなくすぐに俺のことを見つけると、こちらへやってきた。
「遅かったですね、隊長。」そう言ってマリアは席に着いた。
「あ?・・ああ・・すまないマリア。」
俺はそう言ったものの、マリアの今の言動は腑に落ちなかった。
ま、まあいい。今日はもっと大切な話があるんだ、と思い直すことにした。
「と、とりあえず何かたのむかい、マリア。」
「そうですね、とりあえず何か飲み物でも頼もうかしら。」
そういうとマリアは右手を上げ、指を「パチン!」と鳴らして店の者を呼んだ。

今日のマリアはいつもと、何か、が違う。

「いらっしゃいませ。ご注文をお伺いします。」ウェイターが丁寧な口調で尋ねた。
「この『うぉーロックん』をお願い。」
「?」俺は自分のメニューを見てみたがそんなモノは載っていない。
しかし、ウェイターは「かしこまりました。」と下がっていった。
この店、マリアは良く来るんだろうか。それでそんなメニューを知っていたんだろうか?
「ロック」って言うぐらいだからお酒かな?
でも俺にはそんなことより大切なことがある。俺は考えないことにした。

「マ、マリアそういえば用事ってどんな用事だったんだい?」
俺はまず場を和ませようとした。
するとマリアはどこからともなく手帳を取り出し何かを書き込み始めた。
「68点。」
ぼそっとマリアがつぶやいた。
「へ?マ、マリアその68点って?」俺は訳が分からず尋ねた。
するとマリアはこちらを見て、それから大きく首を振り、ため息を付いた。
「33点。」
またマリアは手帳になにやら書き込んでいる。
さ、下がっている!
違う!違う!そうじゃなくて、あの手帳は、そしてその点数はいったい何なのだろうか、
たまらず俺はマリアに尋ねた。
「ね、ねえマリア。その手帳はなんなんだい?」
すると何故かマリアは怒りだしその手帳を俺にたたきつけて、
「あなたは隊長失格です!(怒)」
と怒鳴った。もう何がなんだか俺にわからなかった。
とりあえずその投げつけられた手帳を見てみたが、開かない!
何だこの手帳は!?
こんなのにどうやってマリアは・・、とマリアの方を見ると手帳を開いてまた書き込んでいる?!
え?!じゃ、じゃあこの手帳は・・
偽物かいっ!
おかしい!おかしすぎる!今日のマリアは絶対変だ!
もしかしてからかわれているのか?!

そんな俺の様子を見てマリアが言った。
「どうしたんですか、隊長。今日の隊長少し可笑しいですよ。(^^)」
違うだろっ!おかしいのは君だ、マリア!しかも「可笑しい」って何なんだよっ!
と、俺は心の中で叫んでいたが、今日はせっかく告白する覚悟が出来てるんだ。
うかつなことを言ってマリアを帰らせたくない。
俺はこらえることにした。