Re: 戦う、理由。



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投稿者: うぉーろっ君 @ tkti029.osk.3web.ne.jp on 97/11/14 03:00:37

In Reply to: Re: ハロウィン大戦・由里編/後編(長文)

posted by VR @ 202.237.42.71 on 97/11/11 13:54:19

「榊原の娘を殺せ!!」
「手段は選ぶな! 邪魔する者があれば、まとめて消せ!!」

 榊原の娘が施設に侵入した――その事実は、彼女に遭遇した隊員より、
直ちに上層の人間に伝えられた。
 そして、彼らが選んだ措置は……抹殺。
 このまま捨てておけば、何か事有るごとにまとわりつかれ、後々面倒なことに
なりかねない。第一、目障りだ。

「しかし、どうして上の人たちは、向こうの上の人間に抗議しようとしないんで
しょうね?」
「言うだけ無駄だからさ。奴らはもはや軍部の命令を受け付けない」

 暗殺部隊の隊員の質問に、隊長が怒りのこもった声をあげる。

「そんな専横、許しておけるか。いいかみんな、正義は我らにあり、だ。
行くぞ!! 目標は銀座、大帝國劇場!!」
「了解!!」

☆       ★       ☆


「いい月夜ですね」

 彼らが声をかけられたのは、大帝国劇場が、あと角を一つ曲がれば見える
というところであった。

「……何者だ?」
「今宵はハロウィン。聖人たちが舞い降りる前夜だというのに、ずいぶん
物々しい感じですね。ご用は、我が劇場ですか?」

 隊長の誰何に答えず、男――少なくとも、声は――は、逆に用件を
たずねてきた。

「!……そうか、貴様、花組の……何故、我々のことがわかった?」
「我が劇場の陽気な俳優と事務の娘の様子がおかしかったもので。それでまぁ、
なんとなく外を見回りがてらぶらついてたら、案の定だった、て訳で」

 口調は陽気だが、月明かりを背にしているため、表情が全く読めない。

「私は、花組のみんなと、それに連なる人たちを必ず守ると、ある人と
約束したんです。出来れば、お引き取り願えませんでしょうか?」
「そうはいかん。貴様らの我が儘、もはや見逃すわけには行かない。
邪魔をするなら、貴様から先に片付けるぞ」

 隊長の声に、隊員たちが銘々に得物を構える。ナイフや絞首用ロープなど、
任務が暗殺な為、盛大な音がする銃器の類はないが、任務遂行には適した
武器ばかりだ。

「仕方ないですね……じゃあ、みんな死んで下さい」

 ため息混じりに、男はさらりと恐ろしい言葉を口にする。

「ほざけ! 丸腰で何が出来る! ……殺!!」

 隊長の掛け声を合図に、部隊全員が男に飛びかかる。
 確かに、男は何も武器を携帯していないように見える。劇場のモギリ服の
中に、これだけの人数を一度に相手に出来るような武器を隠しておけるとは
思えない。

「殺った!!」

 部隊の誰もがそう確信したその刹那。
 閃光が、そこにいる全員の目を灼いた。
 ……そして、その身体も。

☆       ★       ☆


「馬鹿な……」

 この男がここまで強いなんて、そんな話は聞いていない。
 一瞬のうちに、手練れの暗殺部隊を全滅させられるほど強いなんて。
 ……あの瞬間、男の両手から飛び出した光が、部隊全員の急所を、
高温を伴い、貫き、薙いだのだ。まるで、炎を纏った刀のように。

「雷(いかずち)を作りだし、刃と成す技とは……」

 腹部を電光の刃で薙がれ、地面に倒れ伏した隊長の顔に、未だにその事実が
信じられない、といった表情が浮かぶ。しかしその表情も、すぐに苦痛から
来る渋面に取って代わる。

「狼虎滅却・強力招雷(ごうりきしょうらい)」

 男が小刀を模した左手の雷を軽く振ると、それは四散し、消滅した。

「狼虎滅却・超力招雷(ちょうりきしょうらい)」

 同じように、大刀を模した右手の雷を振り、消滅させる。

「悪く思わないで下さい……仲間を、三度も失うわけにはいかないんです」
「待て!」

 その場から立ち去ろうとする男を、隊長が呼び止める。男の足が止まった。
だが、振り返らない。

「これが、貴様らの正義なのか? 軍の意に背き、都合の悪い人間は容赦なく
抹殺する……こんなやり方が!!」

 我ながら勝手な言い分だと思う。台詞の後半部分を、まさに実行しようと
してたのは、他ならぬ自分たちなのだから。

「私は……自分を正義だなんて思ってませんよ」

 しかし、男はそんな隊長の矛盾には触れず、質問に答える。

「私が正義を声高に叫ぶのは……あの娘たちを傷つけたくないからです。
自分たちが正義だと信じている、その心を踏みにじりたくないからなんですよ」
「馬鹿な……それは偽善だ。戦いに、正義などは存在しない」

 戦いには、二種類ある。攻める戦いと、守る戦い。
 いずれも、己のために相手を傷つける行為。
 その様なものに、「正義」などという言葉を用いること自体、そもそもの
間違いなのだ。

「その通りです。でも、その事にあの娘らが自力で気付くときまで、私からは
何も言わない。偽善者でありたい。その為なら、どんな犠牲もいとわない。
それが私の……そうですね、『正義』……と言ったところでしょうか」

 自嘲気味に話す男の言葉が、隊長にはなんとなくわかるような気がした。
 同じなのだ、自分と。
 「強き軍」のために、己の手を血で汚し続けることこそ「正義」と信じた
自分と。
 「戦い」自体に正義はない。戦いに臨む、己の心、信念、そして、想い。
それこそが、「正義」なのだ。
 それを信じるからこそ、人は戦うことが出来る。
 「正義」――字体どおりの綺麗な言葉ではない。時には醜く、汚い。
 それが、当然なのだ。なぜなら、それは人の心と同義だから。

「所詮、人は争うことでしか、互いを分かり合うことは出来ないのかもな……」

 その言葉を最期に、隊長の意識が遠くなっていった。彼がこの世で最期に
耳にしたのは、男が返した答えの言葉。

「それでも、人は分かり合うしかないんですよ……」

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またかい、俺(^^;
今回は、続編と呼ぶにはあまりに変です(^^;
と言うか、続いてません(爆)。

なんで物語の視点を、よりによって名もないやられキャラの暗殺部隊
隊長さんに設定するかな、私は(^^;

おまけに、全然ハロウィンじゃないし(^^;;;

こーゆーのは、眠いときに書くものじゃないな。
VRさんの素晴らしい作品にケチが付いちゃったかも(^^;

これを呼んで、不愉快になった皆さん、申し訳ございません m(_ _)m