第二幕



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投稿者: ditto @ ykha076.tky.3web.ne.jp on 98/2/22 23:51:37

In Reply to: 第一幕

posted by ditto @ ykha076.tky.3web.ne.jp on 98/2/22 23:50:02

(第二幕)

町医者・小早川朗(以下)「誰か手を貸していただけませんか?ケガ人を診療室まで運びたいのです。」
「おおい朗!」
「え?」
「やっぱり朗じゃねえかい。どうしてこんなところに?」
「それはこっちが訊きたいけど、その話は後。手伝ってくれる?」
「ああ、任しときな。」
「ありがと...あっ...そちらは...。」
「遠山の家内です。先日は、主人のケガを治療して頂きましてありがとうございました(第28回参照)。」
「い、いえ...仕事ですから...。」
「ケガ人を運ぶんだろ。早くしねえといけねえぜ。」
「そ、そうね。担架を使うから、脚の方を持って、前を進んで!」
「よし来たぃ!」




「具合はどうだい?」
「頭を強く打って脳震盪を起こしているわ。ヘルメットをしていたから大事には至らないようだけど、二本目の競技はこれじゃあ難しいわ。」
「残念だな...まだ逆転できる地位にいるのによ。」
「選手の体の方が大切よ。誰か代わりの選手を出すしかないわ。」
「(ジィー(^.^))」
「な、なに私を見てるのよぉ?(-_-;)」
「ここはやっぱしお前が出た方が...。」
ドッガラガシャーン
「冗談言わないの!そんなの無理に決まってるでしょ。あたしゃスーパーマンと違うんだから!(-_-#)」
「に、似たようなものかと...(*_*)」

源田(以下)「うーん...」
「気がついたようね。」
「ここは?」
「大丈夫よ、心配しないで。少しばかり脳震盪を起こしていたので、ここに運び込んだのよ。」
「そうか、ありがとう。ハッ!競技は競技はどうなっている?」
「一本目を4人が全員飛び終えたところだ。今のところ第四位。」
「こうしちゃいられない!二本目を飛ばなければ!」
「無茶よ!外傷はないけど、まだ安静が必要なのよ。」
「しかし仲間が、観衆が、日本の全てのみんなが僕の飛ぶのを待っているんだ。ここで棄権などできない。」
「よし、わかった。行ってくれ。朗、お前がいくら反対しても俺は彼を飛ばせるぜ!」
「待って。」
「源田さん、早く!ここは俺が命を張ってでもくい止めるから。」
「(まったく、もうなに勘違いしてんだか...(^_^;)) 違うわ、話があるのよ。」
「話ってぇ?」
「源田選手に聞いて欲しいの。私は、医者以外にも、とある職業を人知れずやっているの...。」
「朗...。」
「それはね、決して楽じゃない、いつも生死を賭けてやっているの。そんな辛いことを何故やっているかというとね。私がやらねば誰がやる!といった使命感からなの。」
「...」
「でも、そんな辛い想いは他の人には味わせたくないの。もし貴方が使命感・義務感だけで飛んでいるのなら、飛ばせたくはないのよ。」

「...もう...今から何年前になるだろうか?...初めて飛躍台に立たされた時は?その時は下を見るだけで、怖さに縮み上がったもんだった。でも、初めて飛んだときの感触...何とも言い様のない気持ちの良いものだった。」
「源田さん...」
「その時、僕は思ったさ。誰よりも遠くへ飛びたい。鳥になりたいと。僕は決して義務感だけで飛んでいるんじゃないんだ。飛躍という競技が好きなんだよ。誰のために飛んでいる訳でもない、自分のために飛んでいるだけなのさ。だから、頼む飛ばせてくれ!」
「...あなたにはもう日の丸という十字架を背負って飛ぶようなことはないでしょう。わかったわ。さあ、飛んでちょうだい。」
「...ありがとう。」
「貴方が鳥になるところ、見せてもらうわよ。」
「ああ、任せてくれ!」
「二本目が始まっている。もう時間がねえ、急がねえと。」
「金さん、源田選手を飛躍台まで早く連れていって、頼んだわよ!」