第四幕



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投稿者: ditto @ tpro1.tky.3web.ne.jp on 97/12/14 00:27:00

In Reply to: 第三幕

posted by ditto @ tpro1.tky.3web.ne.jp on 97/12/14 00:25:29

(第四幕)

芸夢熱藩江戸家老・高住(以下)「殿、お迎えに上がりましたぞ。」
藩主の宮道が城から出るところへ、家老の高住が駕籠かきを連れて迎えに上がった。
「うむ、ご苦労。しかし、今日は町の風に当たりたいのでな、歩いて帰る事にする。」
「殿、師走の風は冷とうございます。お体に悪いし、もし殿に万が一のことがあれば、この高住死んでも死にきれませぬ。」
「心配する気持ちは分かる。しかし藩主たる者、町の様子の一つも知らねば良い政は出来ぬのじゃ。駕籠はお前が乗れ。」
「殿、有り難き幸せにござります。では、甘えさせていただきまする。」
「プロレスなんか見て帰るんじゃないゾ。」
(委員会:↑の最後の1フレーズ意味不明ですね。でも気にしないでね(^^)
倭寇三勇士:やめなさい!内輪ネタは。読んでる人誰もわからんでしょ(怒)。)


宮道は早速目当てのソフト屋にお忍びの格好で訪れてはみたものの、客は数える位しかいない。それとなく店員に尋ねて見たが、どのソフトも売れ行き不振で、大きなヒット作が最近無いという。やっぱり不景気なのか、町中のどこも活気がない。このところ大きな両替商が潰れてもいる。一体、この国の景気はどうなってしまうのか?そんなことさえも心配してしまうほどの有様だ。

「宮道殿ではございませぬかな?」
今日はよく声をかけられる日だ。そう思いながら後ろを振り返ると、一人の小柄な武士が立っていた。
「おや、そなたは確か...中町藩の安辺(やすべ)殿ではござりませぬか。」
安辺(以下)「中町藩の江戸詰め家老・安辺にござりまする。拙者を知っておいででござりますか。これは光栄至極。」
「ええ。」
「いままであまり話をしたことはござりませぬが、こうしてこのようなところで出会うのも何かの縁。今後は親交を深めたいと存知まする。」
「いやいや、これはご丁寧に。こちらも是非中町藩とは、藩を上げてお付き合いしたいと思ておりました。」
「おお、願ったり叶ったりじゃ。どうでござる、たまには屋敷の中という堅苦しい所ではのうて、居酒屋あたりで一杯というのも。」
「これは名案でござる。藩主や家老が、居酒屋で呑んではいかんという法はあるまいて。」
「そうと決まれば早速参りましょうぞ。」



宮道と安辺は、近くの居酒屋で暫く酒を酌み交わした。政から庶民の生活まで、話しは尽きず二人はいつの間にか意気投合していた。
そして...、一旦話しがとぎれたところで安辺が次のようにきり出した。
「時に、宮道殿。大崎の父なる者をご存じですかな?」
「大崎の父!?」
そう、大老が口にした占い師の名前だ。
「最近評判の占い師でござる。」
間違いない。
「ええ、名前だけは聞いたことがござる。」
「左様でござりまするか。では、一度占って貰っては如何でござるかな?」
「しかし人気の占い師ならば、客で長蛇の列のはず。この師走の風に、あまり待たされるのは、辛いでござる。」
「心配ご無用!わが中町藩の伝があれば、待たずに占って貰えるはずでござる。早速行きましょう。」
「おお、そうでござるか。ではお言葉に甘えさせて頂きます。」
宮道が、このとき即決したのは、物珍しかったということもある。が、実のところ大老と話せるネタを仕込んでおきたかったというのが本心だ。具卵出亜プロジェクトが成功すれば、大老と言葉を交わす機会も多くなるのではという勘ぐりから起こされた動機だった。