「犬(dog)」第七回



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投稿者: 高山 比呂 @ ppp-y086.peanet.ne.jp on 97/10/26 02:24:27

In Reply to: しつこいですが・・・

posted by 高山 比呂 @ ppp-y071.peanet.ne.jp on 97/10/26 01:55:36

 一つの体育館に、二つの男女がそれぞれ集まった。
 二つの男。
「女子、また卓球だぜ。いいな〜」
 前で体育座りしている小原。
「バレーなんかやりたかねえよな」
「でも、他んとこが試合してる時、休めるからいいじゃん」
「まあ、そうだけど、練習がうざいんだよな」
 二つの女。
「かおりん、今日もダブルス、組もうね」
 前で体育座りしている山元。
「うん」
(僕かなりうまいよ。ついてこれるかな?)
「ねえ、かおりん。返事、今しちゃいなよ」
 斜め前で体育座りしている天川。
「え?」
(向こうに手紙の男子がいるってことか?)
「チャンスだよ、ねえ」
「い、いや、まだいいよ」
(僕が決めちゃまずいって)
「ねえ、返事ってなに?」
「あ、あの体育の出席の返事だよ」
(ばれたら、めんどくさくなりそうだからな)
「天川さん、ほんと?」
「え、うん。早く返事すれば、早く卓球始められるじゃない、だからね」
「あ、確かにそうだね」
「ね、そうでしょ」
(は〜、頭弱くてよかった)
 二つの男の一つの試合。
「だ〜、疲れた〜。練習つまんねえよ」
 あぐらの小原。
「ああ、最悪だったな」
「あ〜あ、やっぱ卓球いいよな〜、ちくしょ〜」
「典子と一緒にいたいからだろ」
 足を放り出して座ってる“後ろからの三番目の席の男”
「あ、そうだよ。それでおまえ、スパイクの練習んとき女子の方にばっか打ってたのか」
「ちげえよ、偶然だよ」
「いいじゃん、別に。みんな知ってんだから」
「なんだよ」
「早く告白しちゃえばいいじゃん」
「そうだよ。こいつなんか、工藤にラブレター10枚も書いたんだぜ」
「え、あの、隣のクラスの?」
「そうそう、あいつ」
「おい、言うなよ」
「ほんとに?」
「いや、嘘だよ、嘘。俺がそんな事するはずないだろ」
「ほんとだよ、ほんと。さっき授業中、天川と話してて注意されたじゃん。あん時話してたんだよ」
「うわ、やば。あいつにラブレター10枚って、おまえ」
「やってないって、ほんとに、も〜。そういや、守田。おまえ安部が好きなんだよな」
「え、そうなの?」
「ああ、だって、さっき着替えん時、言ってたもん。結婚したいくらい好きだって」
「おい、それ、おまえじゃねえかよ。嘘つくなよ」
「そうか、やっぱ安部が好きだったのか」
「だから、違うって。こいつが勝手に言ってるだけだって」
「照れなくてもいいよ。せっかくだから、女子んとこ行って、卓球、ダブルス組んでくればいいじゃん」
「それは、小原だろ」
「馬鹿言うなよ。そんなことできるわけねえだろ」
「でも、できたらやりたいんだろ」
「ま、できたらな。でも、卓球をって意味だぞ。典子とって意味じゃねえぞ」
「だから、もういいって。おまえが典子のこと好きなのと、中谷が良子のこと好きなのって、みんな知ってんだから」
「でも、中谷って、あいつ、毎日のように好きな奴が変わってんじゃねえの?こないだまで朋子だって言ってたじゃん。あいつって、女なら誰でもいいんじゃねえのか?」
「それもそうだな。典子一筋のおまえと比べちゃ悪かったな」
「うるさいよ、安部好き君」
「おい、それ違うって。10枚君の嘘だって」
「10枚君って、おまえ、なんだよそれ」
「工藤にラブレター10枚君よりはいいだろ?」
「なんだよ、あべべのくせに」
「え、あべべ?」
「そ、阿部好きだから、あべべ」
「なんだよそれ」
「いいね〜、あべべ。よろしくね、あべべ」
「うるさいな、のりお」
「のりおってなんだよ」
「典子好きの正雄君の略で、のりお。どうこれ?」
「それいいじゃない、あべべ〜」
「おい、あべべはやめろよ。10枚君」
「10枚君はなしだろ。でも、あべべはアリだよな、のりお」
「10枚君も、あべべもアリだけど、のりおは違うだろ」
「違わねえよ、のりおと10枚君はアリだ」
「いや、のりおとあべべだけだろ」
―もう、いいですよね。どうせ、こいつらのあだ名は、“窓側の後ろから二番目の男子”は“10枚君”、小原は“のりお”、森谷は“あべべ”になるんでしょうからね―
 音楽室の片隅で、コントラバスを持つかおりん。
(まいったな、こんなの使い方わかんないよ)
「かおりん」
 聞いたことのない女の子の声が、うしろ髪をひいた。
「ん、なに?」
(だれ?)
 振り向くとそこには、写真で見た裕子がフルートを持って立っていた。
「あ、裕子」
(って、呼び捨てした方がいいんだよな。それにしてもかわいいな〜。写真よりもいいよ。うあ〜、なんか一目ぼれって感じ。僕って、ロリコンか?でも、中2と高2なら別に、大丈夫だよな。ああ、こんな子、彼女にしたいな〜。せっかく女になって、気兼ねなく話せるんだから、仲良くなっちゃおうっと)
「ねえ、聞いてる?」
「え、いや、ごめん。ちょっと考えごとしてて」
(裕子のことをね)
「そう、で、今回の曲って、うまくできる?」
「あ、まだ、よく」
(使い方わからない、なんて言えないよな)
「だよね。私もまだ、うまくできないんだ」
「今回の曲、難しいからね」
(わかんないけど、適当に話しあわせておこう)
「そうそう、特に、あの盛り上がりの、ブラスとティンパニーが入ってくるところが難しいんだよね」
「本当、あれは人間業じゃないよね」
(ちょっと言い過ぎか?)
「でも、練習できればきっとできるようになるよ」
「そうだね」
(僕も練習しなきゃまずいのかな?)
「じゃ、私、今日塾あるから、先帰るね」
「うん、それじゃ。また明日」
(え、もう帰るの?もっと話したいのにな)
「また明日ね」

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第一〜六回掲載:http://www.peanet.ne.jp/~t-i1979/dog0.htm
第七回掲載予定日:11月
以降掲載予定日未定

著者の独り言
今回は3人称を書いてみたんですけど、だめですね〜(笑)。誰が誰だか、わからなくなっっちゃってますね。台詞だけじゃやっぱ無理がありますね。台詞もわざとと下手に書いてるから、読みにくいですしね。
それと、今回は展開を早めてみました。突然過ぎておかしいですけど、このおかしさが、後々に立つかもしれません。大目に見てください。(でも、自分のページに載せる時は、もうちょっと加筆する予定です)
あとですね、最後の会話が第一回と同じじゃないか?とつっこまれそうなので言っておきますが、その通りです(笑)。現実って、基本的に同じことを繰り返してるもんかな?と思いましたのでわざとこうしました。やっぱおかしかったかも・・・。
それでは、また。SeeYa!

追伸(ノックさんへの私信)
先日、キャラクターの名前が変わってることについて、指摘して頂いたのに、前回、今回と元に戻さずに進めてしまって、すいませんでした。でも、第一〜四回までを、このセガBBS「その他」内で読んだことの無い方もいらっしゃると思ったので、ページと共通の名前でいかせて頂くことにしました。ご指摘を無視したわけではありません。本当にすいませんでした。