試験的小説「彼と彼女」



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投稿者: イド・ダイスケ(だい) @ kuki5DU01.stm.mesh.ad.jp on 97/9/23 23:11:07

叫び声をあげる。
人目もはばからずに。
そんな事を考えながら、街を歩いている。
気が立っているのが自分でも分かった。しかし、憤りではない。内へ、暗へ、転がるようにして大きくなって行く、自分の心。
とにかく、目に入るものすべてが気に入らない。なにもかも、悪く受け取ってしまう。すれ違う人間に苛つき、太陽の見えない黒い空が嫌でたまらない。薄汚れた街にウンザリする。
そんな自分が嫌いになる。
適当な喫茶店に入り、コーヒーを注文する。一番奥の席に腰を下ろして、なんとなく、テーブルの上で組んだ手を眺めている。と、まもなく運ばれてきたコーヒーを、手元に引き寄せて、砂糖を二つ放り込む。
小さなスプーンでかき混ぜ、ふとコーヒーの水面を見ると、自分の顔が写っていた。
琥珀色の鏡の中の顔は、怒っているように見える。鏡の中の自分はいつも怒っている。なぜ、いつもこんな顔をしているのだろう?
一口啜ったコーヒーの妙な苦みに、思わず舌打ちしそうになるが、どうにか堪えた。カップの中の自分は、ますます顔をしかめている。
──相変わらず、不機嫌な様子ね──
背後から、突然掛けられた声に、目だけをゆっくりと動かす。
──それとも、それが地?──
ニヤニヤと笑いながら、目の前の席に座る。相変わらず図々しい女だ。
──あなたって、いつも怒ってるみたい。そういうのって精神衛生上よくないんじゃない?──
ああそうですか。
──人の忠告は素直に聞いたほうがいいと思うなぁ……。あっ!ミルクティーと、チーズケーキ2つね♪──
2つ?
──あたしが2つ食べるのよ。ここのケーキと紅茶は結構いけるのよね♪ コーヒーはちょっとあれだけど──
女は、いたずらっぽく舌を出し、後半は小声で囁くように言ってから、声を出して笑う。若いウェイトレスが注文を確認し、席を離れると、女はこちらを向いて肩を竦める。

続く(のか?……)
どうなんでしょう(汗)
かんそうを頂けたらうれしいです